2013/09/12

夏休みTRICKPLAY訪問記 “後編:店内ゲームプレイ編”

店内を一周したあと、早速店長とサシでボードゲームを楽しみました。

折角なのでここでしかプレイできそうにない、私も周りも未所持のゲームを中心にタイトルを選んだつもりです。

セレクタの大人向けブランド、Selecta NOBLEからの“Plan Quadrat”というゲームから開始。

2人用の完全情報型、アブストラクトゲームです。

手番には①壁を1枚配置(義務)し、②望むなら既に配置済みの壁をスライド(任意)させます。

完全に壁で囲まれたエリアができたら自分の領地となり、自コマを配置、マスの数だけ得点となります。

シンプルで明快なルールながら、うっかりしているとポロッと相手に領地を作られてしまう、油断のならない展開に注意をはらう必要のある、ピリッとした辛口のゲーム。

セレクタというとほとんど子供向けゲームばかり、というイメージがありましたが、このような個別のブランドを立てて、大人向けのタイトルも発表していたんですね。(ちなみにクレジットを確認したところ2005年製であることが分りました。)

フル木製のコンポーネントがまた素晴らしい出来で、セッション後、箱に用具が収納された本体はずっしりとした重みがあり、NOBLEの名に恥じない高級感を感じ取ることができました。

つづいてかねてよりプレイを夢見ていたアレックス・ランドルフの2人用アブストラクト、“トゥイクスト”を念願叶って初プレイ。

手番では任意のポイントにペグを刺し、桂馬飛びの位置にあるペグ同士であればブリッジで接続することができます。

こうしてラインを作っていき、相手よりも早く対辺を結ぶことができればゲームに勝利します。

評価の高さも納得の素晴らしい完成度に早速惚れ込んでしまいました。

思考のプロセスが囲碁に近いことが想像される、一手のミスが敗北につながるシビアで良質な頭脳戦で、経験も大きく勝敗に影響してくるでしょう。(逆に言えば、やればやるほど、研究すればするほど強くなりそうな奥の深さを感じさせます。)

初プレイだった私は序盤で投了させられることが2、3度続き、その都度頭を下げての再戦という情景。(そしてもちろん勝つことはありませんでしたw)

クラシックという言葉はこういうタイトルのためにあるのだな、と。打ち方について勉強したい欲求もあり、また先手でも後手でも十分に戦い方があるのであればこれは必携のタイトルではないかと思いました。

発売されたばかりの新作、“通路”の海バージョン、“海道”。

“通路”との大きな違いは①コマ同士の擦れ違いが可能、②盤上に障害物“龍”が存在、ダイスロールの結果で移動、の二点。

①の変更によりプレイヤー同士の衝突事故はなくなりましたが、プレイヤー側にこれといった防衛手段のない“龍”が乱数により自由にボード上を闊歩することで突然の脱落という可能性も出てきた本作は、とにかく“龍”から逃れることを優先視したい、パーティゲーム的な色合いが強くなったような気がしました。

自分の好みでいえばシンプルながら引き締まった前作“通路”の方が好きですが、コンポーネント全体に統一感のある、和風の凝ったアートワークには目を惹きつけられるものがあります。

ギュンター・ブルクハルトの2人用、“銅鍋屋”。

有名なタイトルですが、なかなか縁がなく(私自身未所有です)、プレイする機会に恵まれなかった本作もこの日初めて念願のプレイとなりました。

ブルクハルトの諸作にてよく採用されている、お馴染みの手法で外周に沿ってコマを進め、調合する材料を集めていくセットコレクション。集めたカードは重ねておき、確認はできないので記憶要素もあり。

シンプルで分かりやすく、また相手プレイヤーとの駆け引きもしっかりある、良質な適度ゲーで、セットコレクションが好きな自分の性格も手伝って、非常に好印象。

相手のカードを廃棄させたり、手番が増える特殊効果を狙ってゲームを進めたのが功を奏したのか、心地よく快勝。

長い間絶版状態が続き、入手が難しかった本作ですが、今年のエッセンに合わせて4人まで参加できる仕様となったリメイクが出版される模様で、私はこちらの購入を前向きに検討中です。

TRICKPLAYのウェブサイト、ホームページでも採用されている2人用アクション、“FASTRACK”。

ここに来たからにはやらないと、という由来不明の義務感に半ば駆られて立卓w

木製の円形ディスクをゴムではじき、中央のスリットから相手陣内に押し込んでいきます。最初に自分のフィールドからコマをすべてなくした(相手陣内に10個全てのディスクが存在)ほうが勝ち。

2人限定ながら5分で終わるフィラーとして優秀で、またゲーム会開始時のウォーミングアップとしての選択肢も増えたかな、という印象。

最初にちょっと練習してみたのですが物の見事に全く入ることがなく(笑)、手先の不器用さを再確認した次第。(当然実戦でも店長にボコボコにされましたw)

思っていたよりも面白く、こういうのは定番として広く普及してもおかしくはないなあ、と。

ガチ2人対戦の世界もあるかな、どうかなw

見た目のインパクトが大きいギミック系、“THIN ICE”。

手番にはコンポーネントの専用ハサミを使って下の水で濡れたボールをすくい、上のペーパーに載せていきます。
手番中に紙が破れたほうが負け。金魚すくいですw

ゲームの一部に水が使われる“水ゲー”。

次第に重みを増し、じわじわと撓んでいく紙がスリルを醸し出していて分かりやすく、子供にもすぐに気に入ってもらえそう。

プレイスペース広島にて最初に国内供給が始まったそうで、店長が所有されているのはそのときの版のようですが、現在TRICKPLAY店頭にて新版を買い求めることができます。

パーティゲームとして十分よくできています。

ギミック系が続きます。“ハムスターロール”。

手番には自分のコマを一個指定されている3つの中のいずれかのスペースに配置する義務があります。
手番中に崩れて黄色のロールの外側に落下したコマは自分のコマとして引き取ります。
最初に自分のコマをすべて置ききったほうが勝ち。

分かりやすく直感的なルール、ツォッホならではの美しくしっかりとした木製コンポーネント、ゆらゆらとしたコンポーネントの動き、見た目のインパクトなどが素晴らしく、テーブルゲームならではのエンタテイメント、楽しさを提供してくれる秀逸な一作。

すっかり気に入ってしまい、SDJの“ヴィラ・パレッティ”よりはこちらを推したいくらい。

作者はジャック・ゼメ。実はあまりいい印象のなかった僕の中のゼメですが、本作をもって上方修正。もう少し追いかけてみます(笑)。

3人でバランスゲームの新作、“KippX”。

手番には地に着いていない二か所のシーソー部分のいずれかに任意の数の自分のブロックを配置していきます。重みでバランスが変化し、配置に選んだブリッジが着地したら強制的に手番は終了。またいずれかのブロックが崩れてしまうとその場合もそれらを自分のブロックとして引き取ったうえで手番終了となります。
最初に自分のブロックを置ききったプレイヤーの勝利。

2人専用だったシーソーゲームの“キピット”がこれで4人までプレイできるようになりました。

木製のコンポーネントがしっかり仕上がっていることもあって、本作も大人がプレイしても楽しめるバランスゲームとして合格しているかと。やはりこの手のゲームはコンポーネントの出来が重要なのかな。

発売されたばかり(国内流通未定)の新作カードゲーム、“ローマンズ・ゴー・ホーム”。

特殊能力のある手札をラウンド開始時にプロットして、これまた特殊能力のある場札である得点カードの獲得を目指します。

バッティング判定もあり、ざっくり言えばテキストのある“はげたかの餌食”というかそこから一歩進んだフォー・ゲーマー版というか。

珍妙で独特の存在感があるアートワークはあまり好みではありませんが、システムの完成度は高く、デザイナーのゲームデザインに向かうセンスの良さ、理解の深さは伝わってきて、これまた良質なカードゲームだな、と。

これぞプロット!と主張せんまでの骨太なタイトルで、まあ間口の広さでいえば名作ハゲタカには及びませんがリプレイバリューは十分で、所有欲を刺激されました。欲しい!

巨匠クラウス・トイバーによるギミック系、“チップ・チップ・フラー”を3人で。

手番にはコンポーネントのカタパルトを使い、ディスク(昔懐かしフロッピーディスク?)をボード上に投げ込んでいきます。
落ちたディスクを各自のロボットが収拾すべく移動していくのですが、このロボットそれぞれに六面体ダイスが仕込まれており、移動の際それぞれのマスを仕切るラインに出っ張りがあることでダイスの出目がランダムに変化するというのがなんとも面白いギミック。

トイバーのアイデア溢れる子供向けギミックゲームで、大人が真剣にやるには不向きですが、ドイツゲームの豊饒な世界の一端を垣間見ることができました。

油で薄汚れたロボットの加工などコンポーネントの出来も抜かりはなく、流石はドイツゲームだな、と。

プレイ後すぐに欲しくなってしまいましたが現在絶版入手困難なようで残念。(また機会があれば、と気長に待つことにします。)



この後持参した国産同人ゲーム“キャットファーザー”をプレイ。

まだまだプレイしたい珍しいゲームは沢山あったのですが、帰りの電車の時刻も近づいており、店長をはじめお相手していただいた方に感謝しつつ、ここで残念ながら帰宅の途となりました。

そして帰宅。店頭にて購入したタイトルは下の写真のとおり。

これらのタイトルは今後の“越前市(福井)ボードゲームの会”に持ち込む予定ですのでお楽しみに。

それにしても楽しい時間が過ごせました。また行きたい、大阪、神戸、TRICKPLAY!

2013/09/08

夏休みTRICKPLAY訪問記 “前篇:店内紹介編”

私が主催しているオープンゲーム会、“越前市(福井)ボードゲームの会”に古くから遠方より足を運んで時折参加していただいていた関西在住のテーブルゲームファンのSeekerさんがこの度神戸市三ノ宮に神戸では初めてとなるボードゲームショップ&プレイスペース“TRICKPLAY”(http://trickplay.net/index.html)を始められたと聴き、夏休みを利用してお邪魔してきました。

猛暑の続いた今年の夏でしたが9月になるとその暑さも和らぎ、この日も比較的すごしやすい気温の中での遠出となりました。

こちらが到着した時の写真。私の地元、越前市(旧武生市)からJRで乗り継いで最寄駅三ノ宮まで約2時間、駅からは徒歩5分の距離でした。

1000種類以上のゲームがすぐにプレイできるというのはすごいですね。国内規模でも有数のストックの数ではないでしょうか。

久しぶりの対面ながら挨拶や雑談もそこそこに、出発前に地元の洋菓子店にて買い求めたお土産をお渡ししたのち、早速許可をいただいて店内の気になる箇所の写真撮影へと入りました。

こちらは一階レジと対面になるスペースにて展示されていた販売分のゲーム。メビウスゲームズやホビージャパン、テンデイズゲームズから仕入れた最近の人気タイトル、そして店長の個人的愛好タイトルが並びます。

右側の棚にはここでしか入手できないゲームもありますね。

レジ右側の棚、手前側の最下段です。ハバをメインにギミックが凝った子供向けタイトルが並びます。

つづいてその上段部分。見切れていますが人気のデッキビルド“ドミニオン”はもっとも目につきやすい高さに。その上にお絵かき系が並んでいます。“落書きプラネット”はブラックライトを使う国産同人のお絵かきゲーム。

その奥側。クニツィアなどの最近の話題作も手に取りやすい位置に。

最上段のアップ。国産玩具系が目につきます。

その下。上段左から3つ目は珍しいクラマーの“アルケミスト”。下段左のふたつはコンポーネントに石を使う“石ゲー”、その3つ右には1962年に米国3M社から出版されている“Oh Wah Ree”(終わり?)というタイトル。もうこれだけでレアタイトルがズラリという感じ。

ちなみに“ベガス”のとなりは“エイジオブエンパイア”の出たばかりと思われる拡張。

さらに下。珍しいタイトルが並びます。最下段左は吹き戻しを使うハバタイトル。

レジ右側の棚の中央部。新旧ギミック系が並びます。“THIN ICE”は最新版が店頭でも販売されていました。こちらは店長所有の旧版。コスモスの赤い箱はインカ夫妻のタイトルだったかと。

最上段へ目を移すとこんな光景が。“ケイブマンカーリング”、“ブリッとでるワン”は分かりますがそのとなりの筒状のボックスのタイトルは一体? クワリ?じゃないよねw

その右、つまり手前側。“PIX”の海外初版が。立方体のボックスが目を惹きます。

今度はレジ左側のコーナーへ。2人用ゲームや小箱がぎっしり。上段左側の“T-REX”はハンスのトリックテイク。

その最上段。なぜか二つある“トゥイクスト”が目立ちます。キピットは2人用のバランスゲーム。“セイ・エニシング”はコミュニケーションの佳作ですがまだカードの日本語化はされていないとのこと。

レジ左側コーナーの下側です。ハバや多人数でできる比較的小さい箱のものが並んでいます。一番下の辞書は“たほいや”のためのもの。

レジサイドに積んであったタイトル。まだ国内流通の始まっていない話題作も遊べます。

あやしいゲームも目立つところにデーンと並べてありました。“おっぱい神経衰弱”と同じメーカーのもののようです。

一階最後の棚、プレイスペース奥のコーナーです。

昨年のエッセンタイトルや中重量級がずらり。“プラネット・スチーム”新版がすでに。

その下側。コスモス12インチの正方形箱コーナー。国内流通のない珍しいタイトルもちらほら。

一階プレイスペースの風景。おしゃれで清潔な店内です。

奥側から入口方向を見たところ。

ホワイトボードにはここ一か月分のイベントスケジュールが。

プレイ卓に座り、レジ方向を見たところ。左側手前が販売分のスペースになります。

それでは二階へと移動します。

二階への階段の踊り場にもゲーム棚がふたつありました。これはひとつ目の上側。セレクタの子供向けタイトル、去年のエッセンの話題作の“ツイーーート”も。

その下側。関西の同人メーカー高天原の“伊能大図”の海外版“Kaigan”(ややこしいw)など珍しいタイトルが。

踊り場ふたつ目の棚、最上段。ラベンスバーガーの大箱と絶版の“ヴィジョナリー”。

その下側。砂時計を使った“ウィッティ・クロノス”、SNSがテーマの“イイネ!”、遊星からのフリーキックの同人タイトルなど。

ここから二階です。手前から奥へと順番に紹介します。

まずはフェルトやワレスがずらり。“蒸気の時代”の拡張マップも並んでいます。そして“ゴッズ・プレイグラウンド”の4人用というレアタイトルが!

やや重めのゲーマーズゲームのコーナー。左側上段の“リサイクル”はブラジルから届けられた珍しいタイトル。出来も良いそうです。実はルール和訳も公開されています。

面白そうなゲーマーズゲームたち。個人的にはフラゴーの2タイトルに目を惹かれます。

二階の最奥部。フリーゼの緑の箱は一番奥にありました。国産同人デッキビルド“トレインズ”もありますね。

二階プレイスペースも紹介します。こちらは階段部分を照らす瀟洒な照明。

二階にもこのように何卓ものゲームプレイ用テーブルが設けられています。この時は照明の電源がオフでしたのでやや暗いですね。

窓からの採光も落ち着いていてお洒落な統一感のあるプレイスペースでした。

最後にもう一度、Seekerさんといえばハバということでハバコーナーばかりを写真に収めましたのでご紹介。

有名な“飴ちゃん工場”、“マーブルすくい”もしっかり置いてありました。一番右はふいごを使う海賊のゲームだったかと。

ここで注目は“Ball der Prinzessin”というタイトル。なんと王女の女の子のスカートをめくりパンツの色を当てるという禁断のタイトル。ギミックに鏡が使われていますからね、そこからはどんなゲームなのか想像にお任せします。店長も“ハバでこんなのいいのかな”みたいなことを仰ってましたw(いやまあそんな過激なゲームじゃないですけどw)

珍しいハバの黄色じゃない箱、“ドナーヴェッター”があります。私も(Seekerさんにゲーム会に持ち込んでいただいて)プレイ経験ありますが天気をテーマにしたそれなりに面白いゲームだった気がします。

すごろくやでも取り扱われているタイトルも並べられています。店長曰く“たまにすごい当たりがあるからハバはやめられないんですよ”とのことでした。


ということで店内をざっと一周してみました。

私も初めて目にするような珍しいタイトルがたっぷりと並べられており、興奮しましたw

二階まであるプレイスペースにはプレイ用のテーブルがこれまたたっぷりと用意されており、多様なニーズに対応できる幅の広い大量の貸し出しタイトルと併せて、じっくりとお気に入りのゲームがプレイできる、理想的な空間が神戸に出現したというのがざっくりとした印象です。

今までテーブルゲームに触れたことのない人も興味を覚えられたようでしたら是非一度足を運ばれることをおすすめいたします。店長の親しみやすいガイダンスのもと、きっと今まで知らなかった未知のエンタテイメントの楽しさに時間を忘れることでしょう。

(それでは後編:プレイゲームセッションメモへとつづく…)

2013/09/05

UDA平日(二日連続)ゲーム会('13/09/03,04)

遅めの夏休みがとれたので早速平日が休みのゲーム仲間に声をかけ、二日連続で平日ゲーム会となりました。プレイしたゲームについて簡単な感想等々をこちらにて報告します。

まずはこのタイトルから。“トゥルネー”の上級ルールを初プレイ。

名作“トロワ”のデザイナー陣による、アートワークも素晴らしい、上質な戦略的カードゲーム。

上級ルールでは一部のカードの差し替え、そして第6のアクションとして、ドゥニエの支払いによるワーカーのリクルートが任意に行えるようになります。

序盤で黄色カードによる資金源を確保、白カードとの連携でゲームメイク、マネジメントが上手くいき勝利。イベントからのドゥニエの供給もあって、一ゲームを通して資金が比較的潤沢だったのも勝因だったかもしれません。

3人でのプレイもよかったのでしょうが、3×3という限られた空間でいかにマネジメントしていくかという妙味、またパールゲームズならでは(と僕には思われる)のクレバーで洗練されたシステム設計の持つ魅力に僕は魅了されているようで、今更ながらやりこんでみたいほどです。

一部のカードには使いづらいと思われるものもありますが、習熟することで、この辺りを上手く使いこなしていけるようになるのかもしれませんね。

縛りのある基本ルールも悪くないですが、本作の醍醐味は上級ルールにあるような気がします。

アンドレアス・シュテディンクによるネットワークビルドの秀作、“ハンザ・テウトニカ”。

定期的にプレイしているフェイバリットタイトルですが、久しぶりの立卓でまずはルールをおさらい。

アクション数、色、移動などの各種能力をコツコツと上げていくのはいつもの序盤の展開ですが、プレイヤーの思惑次第で細かい手の打ち方に違いがあるのも面白いのが本作の魅力か。

ボーナスタイルの引き程度にしか不確定要素がないということでいえばアブストラクト寄りで、また実に競技性の高い、プレイヤーのスキルが勝敗に直結する言い訳のきかないハードなタイトルで、ただそれにも関わらず、見通しの良さ、一種の風通しの良さから潔さのような感覚さえ感じることがあります。逆に淡泊で無味乾燥、フレーバーへの配慮の希薄さから魅力を感じられないプレイヤーもいるかもしれませんが。

ネットワーク構築の失敗など反省点の多いセッションでしたが、能力アップに見切りをつけるのが遅れ、当初より狙っていたケルンボーナスに後塵を拝したのが最大の敗着か。ゲーム終了に向けての収束の速さ、タイミングの見極めはやはり本作の肝のひとつですね、慣れたプレイヤーには言わずもがなの基本事項ですが。また移動の能力アップによる丸コマの獲得なども要注目なのかな、とか。

このゲームの特性を理解した3人での足の引っ張り合い、バランスを意識したセッションは緊張感があり、引き締まりました。今回も濃密なセッションが楽しめましたと思います。

多彩な戦略の考えられる、懐の深さがまた魅力的。

昨年発表されたワレスの新作、“エアロプレーンズ”を4人で。初日はこれにて〆ました。

メカニクスでいえばエリアインフルエンス、ネットワークビルド、ピックアンドデリバー、そしてダイスロールといった要素からなる、20世紀初頭を舞台にした航空機産業のゲーム。

ワレスというとそのカラーの強さからか、どうしても先入観というか偏見を持ちがちで、セッションに臨むほうも身構えてしまいがちですが、本作は随所でダイスロールが取り入れられていることもあり、ガチガチのプレッシャーをユーザーに与えるようなものではなく、比較的分かりやすいルール、明るいアートワークもあって、プレイアビリティにも配慮のされたものでした。

ただ逆に言うと一手一手の痺れるようなシビアな重みのようなワレス独特の味は希薄で、この辺りでプレイヤーにより評価や作品の印象は分かれるかも。

得点源となるのは①欧州、アフリカ、アジアでのエリアマジョリティと②効率的な航空機の運用への評価の二点で、特に①をめぐる陣取り争い的なプレイヤー間のインタラクションは緊張感もあり、僕自身は十分本作を楽しめました。また②についても客の奪い合いは盤上のネットワークとの兼ね合いもあり、プレイヤー間の思惑の絡み合いは濃厚で、この辺りにはワレスらしさもあるかな、と。

往年のワレスファンからは好評をもって迎えられているとは言い難いようで、それもよく分かりますし、僕自身がワレスに求めているものとはやや異なるような気もしますが、これはこれで十分面白いマネジメントゲームだと思いました。

余談ですが、この日のセッションで緑色のプレイヤーマーカー一式がどうも欠品であることが判明(ショック大!)。

あけて二日目は本作、“ブルッヘ”から開始。4人。

国内流通も始まったシュテファン・フェルトの新作ですが、僕自身はこれで4回目のプレイになります。

ハンドマネジメントをメインにダイスロールで揺らぎをもたらしている、というのがざっくりとした全体のイメージ。

ここからは僕自身のイメージとしての話。

本作に限らず一般論としての話ですが、セッションに参加するすべてのプレイヤーはゲームに勝利すべくゲーム全体を支配あるいはマネジメントすることを目指します。当初より自分の目論みのとおりマネジメントが進めばプレイヤーはゲームに勝利できますが、この時障壁となってプレイヤーの支配を阻害する要素があり、ここではとりあえずそれを“ままならなさ”と総称します。

“ままならなさ”はプレイヤーの勝利を阻もうとする、プレイヤーにとっては“招かれざる客”ですが、この“ままならなさ”がなければゲームは単純な“作業”へと還元され、エンタテイメントとしての資格を失うわけで、ゲームにおいては必要不可欠な非常に重要な要素です。

この“ままならなさ”は①他プレイヤーによる意思決定からの遡及、②ダイスロールや山札からのドローなどの結果からの遡及、のふたつがメインとなっていると考えています。そして面白いゲームの多くがこの①②の導入に上手く成功しているという印象があります。

話を本作“ブルッヘ”に戻すと、本作においてもこの①②両方の“ままならなさ”の設計がフェルトによって実に上手くなされているというのが僕の印象。

ただ①による他プレイヤーからの干渉がドイツゲームにしては強めで、プレイヤーによっては自身の方針を大きく狂わされる可能性も孕んでおり、その都度最善手を一から考え直す必要も少なくなく、そういう意味で本作は随所で短期的な戦略を楽しむゲームであり、そこから逆に重すぎない戦略ゲームとして独特な妙味をもたらしているというのが僕なりの理解。

災害や他プレイヤーからのプレッシャーに耐え抜き、運河メインの方針がドローしたカードとの相性もよく勝利。

コンポーネントの素晴らしさ、カードの強さなど諸々の面でのバランスも良い良作。

“惨劇RoopeR”にて颯爽とデビューしたBakaFire氏の第二作、昨年のゲームマーケット秋にて発表された“OWACON”。(ちなみにタイトルは日本語だと“終わった世界と紺碧の記憶”、英語だと“Old World And Code Of Nines”で略すとどちらでも“OWACON”あるいは“オワコン”となります。)

ゲーム終了時の決算方法等々が決定される18枚のカードの中から各プレイヤーに2枚づつが配られてスタート。各ラウンドにおいて各自3つのワーカーを配置していき、5ラウンドでゲーム終了。つまり都合15アクション行い、その結果で勝利点が算出されるという仕組み。

アートワークがごちゃごちゃしているせいか、もっとクセのある、参入しにくいゲームを想像していたのですが、システムは意外にも王道的なワーカー配置で、ルールの理解にはそれほどの労力を要しないはず。

ただ重要な決算の方法が、基本的に隠蔽されており、そのカードをめぐる類推や駆引きによって本作ならではの濃密なインタラクションが発生するのが本作の最大の醍醐味。

盤面がフレーバー重視に振れたアートワークのデザインで、視認性は悪いのですが、テイストを楽しむのが本作の狙いでもあり、これはむしろ正解かと。

初めてのプレイでは見えない部分も多く、どのようなメモリーがあるのか、また様々なアクションについても習熟してくるとこの世界ならではの魅力も見えてくるような気がしました。

同卓の面々にも好評だったので、同好の士が集まる機会があれば今後も立卓し、本作の真価により近づきたいところです。

ファランクスから出版されていた2007年のカードゲーム、“順風満帆(ビフォー・ザ・ウィンド)”。僕は発売直後にプレイして以来だったので6年ぶり、実に久しぶりのプレイです。

商品を仕入れ、商店に保管し、船に出荷するとういう三段階のアクションを経て勝利点を獲得していきます。

基本的には出荷する商品を集めるセットコレクションですが、アクションの選択において他プレイヤーからそのアクションを任意の金額で買収するというメカニクスから実にシビアな値付けが要求される、一種の競りゲームともとれます。

美しく落ち着いたアートワークと作品背景から良質な大人向けカードゲームという印象。

いわゆるお仕事の問題に直面することが少なくないのはマイナス評価ですが、6種の特殊アクションを加味しても全体的にはシンプルなシステムで、思考を駆け引きに専念できる、よくできたゲーム。

カードゲームでもここまで戦略的なものができるという意味で、良いサンプルとも言えるかと。

勝利一歩手前までいきながら特殊アクション“確約”にてアクションを阻害され残念ながら敗北。勝利こそ叶いませんでしたが、引き締まった充実のセッションが楽しめました。



以上二日間にわたる平日ゲーム会で、参加者の希望により“ダンジョン・オブ・マンダム”もプレイしましたので7タイトルのゲーム(うち2タイトルが初プレイ)がプレイできました。

UDAでは今後も平日ゲーム会を考えております。皆様の参加をお待ちしております。