2020/10/06

UDA土曜会(2020/10/03)

3日の土曜日は自宅のゲームプレイスペース“UDA”でのクローズドゲーム会でした。

この日の越前市は最高気温27度最低気温17度曇りの過ごしやすい一日で、エアコンは稼働させずに窓を開放して外気をたっぷりと取り入れつつ、この日のゲーム会は開始されました。

どんよりと分厚い雲が空一面を終日に渡って覆いつくしていましたが、幸い終了まで雨が降ることはありませんでした。

ゲーム会は定刻の午前9時を20分ばかり過ぎてからまずは3人で開始となりました。

熱戦が交わされた“UDA”テーブル周り近影。床にまで溢れていたボードゲームの一部を処分したことで随分とすっきりし、またかねてより放置したままだった絵もようやく壁に掛けることができました。

参加者のひとりから差し入れのベルジャンチョコレート。こんな物まで頂いてしまい恐縮するなど。ありがとうございました!


5枚のゴミより宝の1枚。翡翠の商人。3人。

この日は国産競りゲームの傑作から開始。ゲームデザインが西村裕、アートワークが長谷川登鯉。

場の8枚のカードが競りにかけられます。開始プレイヤーから欲しい枚数をビッドしていきます。競りは一種のダッチオークションで、オーバービッドするには枚数で下回る必要があります。

1枚取って1枚返すことも可能で、この場合値付けは“0.5”になります。つまり2.5と宣言すれば3枚取って1枚返すわけです。

カードには種類毎に絶対評価、マジョリティ、セットコレクションなど様々な得点計算方法があり、欲しいカードを獲得するには各プレイヤーの状況も考慮した、絶妙な値付けが要求されます。

3人中唯一の経験者ながら、針の穴を通すようなきわどい値付けの連続で、また足元を見られるシビアな展開に思うように狙ったカードが集められず敗北。

1ゲーム30分もかからない短いゲーム時間ながら濃密な駆け引きが楽しめる世界レベルの傑作ですね。たしかに途中から方針転換するのが難しく、そこが本作に対するマイナスイメージになっている人もいるのは分かりますが。

僕が理想としているゲームにかなり近く評価は9.0。これからも時折かつ末永くプレイを重ねていく予感がある、僕の人生のスタンダード。

なおこちらで興味深いデザイナーズノートも読めます。内容はまずまずハードです。


クラシック、堂々の凱旋。ケイラス1303。4人。

“西暦1303年、イングランドとの戦争は終わったもののギュイエンヌ地方は彼らの手に落ちた。この脅威に対抗するため国境付近、ケイラスの地では城の強化、近代化のために多くの人が動き始めていた…”

ワーカープレイスメントの始祖とされる名作が前作と同じくアッティアの手により生まれ変わりました。

シンプルなワーカー配置とリソースマネジメント、一切の運要素がない非常に競技性の高いタイトルで、勝敗はプレイヤーの采配に大きく委ねられる本格派。

プレイヤーによって建てられた建物が一種のアクションマスとなり、そこにワーカーを配置することで手番プレイヤーはアクションを実行、所有者にも副次的にメリットがもたらされます。

建物の間を移動する“監督官”も重要な要素で、この監督官の移動次第で発動する建物が決定されることからこの移動をめぐる駆引きも必然的に熱くなります。


前作ケイラスとの最大の違いが“人物”の存在で、この人物の所有者には一種の特殊効果が与えられます。人物はプレイヤーのアクション次第で引き抜くことも可能で、これが前作にはなかった直接的なインタラクションをもたらしています。

この人物の特殊効果やインタラクションが本作の最大の焦点のひとつで、ここがノイズになるプレイヤーも勿論いるかもしれませんが、効果がそこまで強くないという印象もあって、これは僕には正常進化のひとつとして十分ありだなと思えました。

面白いと思ったのは2005年発表の前作にはなかったこの直接的そしてやや攻撃的ともいえるインタラクションが、ソロ寄りの薄いインタラクションが昨今の重量級ストラテジでの流行りとさえいえるこの時代に採用されている点で、今ならむしろ前作の、競争のインタラクションこそが採用されるようなものなのに、ケイラスはむしろその逆を行ってるように思えたことです。そこが逆説的に早すぎるこのシリーズの特徴をある意味如実に語っているというと些か強引かもしれませんが。

シビアなワカプレ特有のアクション先取りのプレッシャーがたっぷりと味わえる、のちの諸作の嚆矢となったエポックメイキングタイトルの正当後継で、評価は8.5

今回のセッションでは登場した建物のせいもあってか、後半にかけて手元の労働者駒が余りがちになってしまったため展開がやや弛緩気味になった気もしたのですが、この辺りはもっと場数を踏まないことには結論は出せない気はします。

ブレインスポーツとでも言いたくなるような、痺れんばかりの頭脳戦に夢中になった3時間でした。


午前中2タイトルを終えたこの時点で13時をやや回っていたのでここで昼食休憩となりました。参加者4人が私の軽自動車に乗り込み、市中心部の中華料理屋まで繰り出し、お昼を摂りました。

私のボルガ天津丼、1050円也。地元越前市ならではのメニューですね。もちろん美味しくいただきました。

このあと午後からのセッションに備えてスターバックスコーヒーにも立ち寄ろうとしたのですが隣接する中央公園で何かイベントをやっていたせいもあったのか、ドライブスルーは長蛇の列で、残念ながら諦めざるをえませんでした。


あちらを立てればこちらは立たずで悶絶するプレイヤーたち。フォルム・トラヤヌム。4人。

“ローマは今まさに繁栄の絶頂期を迎えていた。皇帝トラヤヌスは後世に残る偉大なる記念碑“フォルム・トラヤヌム”の建設にすでに着手していた。またその一方各地の“コロニア”でも有能な統治者により独自の発展が始まっていたのだった…”

午後はこのタイトルから。ステファン・フェルトの2018年作。

プレイヤーは3サイクル全12ラウンドに渡ってゲームをプレイします。

各ラウンドは大きく2フェイズに分かれます。まず前半のフェイズで労働者や建築士といったリソースを獲得、後半のフェイズでそのリソースを使って建物を建てたり、中央に使者を派遣したりします。

共有する中央のメインボードとそれぞれの個人ボードというお馴染みの構成で、個人ボードのコロニア上ではパズルチックに地盤を固め、中央のメインボードであるローマに派遣した使者で陣取りを行います。

各種要素が複雑に絡み合い、何かを優先しようとすると何かを犠牲にしなければならないジレンマの連続で、プレイヤーたちはこの苦しい局面を少しでも打開しようと糸口を求めて頭をフル回転させることが終始求められる、非常にスキルフルなタイトルです。

まずはリソースを獲得、そしてリソースを使ってプランを現実化という2段階の構造自体はシンプルなものなのですが、「しまった、ああすればよかった、どうして気付かなかったんだろう!」といった軽い後悔を多くのプレイヤーがひとつのセッションの間に何度も経験することになるでしょう。そしてその思いが「次はもっと上手くやれるはず!」という喚起を促しリプレイ欲求につながるように思います。

乱数要素が皆無で、ゲーム開始時にセットされた山札とタイルのオープンによって次第に未来が確定されていく期待値ゼロサム型(という言葉は今自分が勝手に作ったものですが😓。なんとなく言いたいことが分かってもらえればと🙇)で、戦略的な歯応えは十分のタイトルです。

ただ処理に煩雑な箇所が少なくなくインストのハードルがやや高いのと、プレイヤーに要求されるスキルも低くはないのでそこが評価の焦点になってきそうです。その求められるハードルの高さが残念ながらスキル不足の自分にはやや高すぎた気もしました。ゲームは十分以上に面白いですし、そこが本作の欠点でないことは勿論ですが。7.5

初回プレイはルールラーニングと割り切り、見えてきた選択を今後のプレイで試していきたいタイトルかもしれません。

気になったのは手番は時計回りながらドラフトは右隣り固定、スタートプレイヤーの移動も右隣り固定なところで、ここを間違いやすいかなと。これはどういう効果を狙ったものなのかも興味深い部分です。


早速のリプレイ。ニューヨークズー。4人。

好感触だったローゼンベルクのポリオミノ系新作を一週間前とは全く別の面子に試してもらいたい思いもあり立卓。

前回は5人でしたが今回は4人で、全体の情報量は当然こちらの方が少なく他人の盤面も把握しやすくなります。

情報量が少なくなったことで他人の状況も考慮した中央ボードでの駆引きが発生しやすくなるわけですが、他人の状況まで注意を払う余裕はなかなかなくて、手番開始時に考えられる選択肢から自分に最適な一手を考えることで各人がほぼほぼ精一杯というのがこの日のセッションでした。

となるとインタラクションはアトラクションタイルの早取りなどの競争がメインとなるわけで、どうしても多人数ソロパズル風にはなってしまうかもしれませんね。

ゲームに習熟してくれば他人に渡せないタイルが見えてくるはずで、となると中央のロンデル上での駆引きも予想されますが、そこでのインタラクションが負の方向(他人にとってプラスなものをなんとか阻止したい!)のもので終わってしまわないか、そこが今の僕がやや気になっているところです。(実際にこの日のセッションでその萌芽のようなものが見え隠れしていたように思います。)

タイルを埋めることによるボーナスのアトラクションタイルよりも方々のタイルに動物をばらまいて繁殖に力をいれるプレイを今回は試みました。終盤になってようやく次々とタイルが埋まり始め、完成にむけて一気に加速しましたが一歩及ばず敗北。

方針が各プレイヤーによりバラバラで途中までの進捗に差は出ますが、最終盤では勝利がどちらに転んでもおかしくないギリギリの展開になることが多く、この辺りにローゼンベルクのバランス調整を見る気がするのですがどうでしょう。8.0


災害にビクビクしつつ3ラウンド。ラー・ダイスゲーム。4人。

最後はこれで〆ました。クニツィアによるラーのダイスバージョンです。

6面体ダイスが5つ。手番にこれをロールして太陽面はフィックスしますが残りは2回まで振り直しできます。アンク面は他の出目に染まるので、どの目として利用するか、そこも考えどころ。

最終的に決定した目に応じて4種のパラメータ操作を行います。

全3ラウンドで、それぞれの終了時に決算します。モニュメントの決算のみゲーム終了時なのはオリジナルのラーと一緒ですね。

あの手持ちのタイルを使った独特の競りやプレイヤーによって異なってくる対象物の価値とそれを考慮した駆引きが僕にとってのラーだったので、正直ラーらしさはほとんど残っていないというのが僕の印象ですが、名作のダウンサイジングとして、または単独作としてみればまずまずの出来で、久しぶりにプレイしましたがやはり放出するには惜しい、今後も不定期にプレイを重ねたいと思わせるのに十分な侮れない妙味は感じることができました。6.5

太陽面が4個以上になると災害が発生し、これは手番プレイヤー以外に甚大な被害を及ぼすため体勢を整えつつあるプレイヤーには脅威以外の何物でもなく、ビクビクと経過を見守っていましたが、終了間際でついに発生してしまい、セッションは盛り上がりました。リロールの回数にもよると思うのですが、1ゲームで1回発生するかどうか微妙なラインなのも絶妙なのかもしれません。


ここで午後9時を回ったあたりで、この後も残った二人でもう少し二人用のタイトルをいくつかプレイする予定でいたのですが、翌朝7時から別の予定が入っていたこともあり、体調のことも鑑み今回はここで終了としました。

ゲーム会は無事終了したもののあまりの空腹に耐えられそうもなかったので、この後残った二人でいつものラーメン屋へ繰り出しました。

新しく始まったメニューらしい濃厚ラーメン特盛り。実は食券購入時に誤ってしまい、今回はこれに。ですが天一のような濃厚さで、これはこれで美味しかったです。

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