2015/02/21

UDA祝日ゲーム会 (2015/02/11) ~何気ない一手という問題~

11日(水)の建国記念の日に“祝日ゲーム会”ということで4人で自宅ゲームスペースにてクローズゲーム会を開催しました。

プレイできたタイトルについて簡単な感想をこちらにアップしておきます。


“ロングホーン”(ブルーノ・カタラ/ブルー・オレンジ/2014年)

カタラによる2人用の完全情報型、つまりアブストラクトの近作です。昨年のゲームマーケット2014秋、テンデイズゲームズブースにて買い求めた物を今回初めてプレイしました。

舞台は1870年のテキサス、2人のプレイヤーが無法者としてより多くの牛や金塊の獲得を目指します。

場所タイル9枚をランダムに3×3の正方形となるように配置、その上にタイル毎に指定されている数の牛駒を配置、最後に19枚あるアクショントークンをランダムに1枚ずつ配置(つまり約半数のトークンしか1ゲームには登場しない寸法)したら準備終了。

プレイヤーは手番では“1.牛の強奪”と“2.移動”を行い、相手プレイヤーに手番を譲ります。

完全情報型ゆえ先の展開を読むことは可能なのですが、選択肢はいくつか存在するため、展開は枝分かれして広がっていくというのが全体的な構図。複数存在する展開の可能性を検証、吟味し、最適と思える一手の判断、決断を下すことが本作の醍醐味。

程良い調整のアクション効果、シンプルで理解しやすい基幹のルール、高い収束性、美しいヴィンセント・デュトレのアートワークと素晴らしい4色の木製の牛駒等々で全体のクオリティは水準以上で印象は上々。Positive-

気になった点がふたつ。無法者トークンの移動に関してはもう少しルールブックで細かく具体的な説明が欲しいところ。それと巾着袋はあった方がいいかと。

展開の幅の広さがやや不安要素ですが、いずれにせよ良質な2人用アブストラクトではないかと。


“王と枢機卿”(ミヒャエル・シャハト/ゴルトジーバー/2000年)

ドイツゲーム史に残る名高い名作をベストと言われている3人で。

ネットワークビルドとエリアマジョリティが相互にバランスよく上手く噛み合った、実に完成度の高い至高の一品。

発表から15年も経っているにも関わらず、この間に発表された数多の後発秀作ピュアユーロを多数プレイしてきた経験豊富なゲームファンが今やっても十分に面白いと感じるのはスタンダードであれば風化に十分耐えうるという証左かと。(あるいはこの15年にどれだけのタイトルがこの高みに到達できたのだろう。)

シンプルなシステムと盤上での熱い頭脳戦の60分でこれがシャハトの最高傑作と呼ばれることに抵抗は感じない。Positive+。たった3枚の手札とその割にはやや多彩と思われる加点方法という2つの軸が本作の面白さを抽出しているのかな、と思ったりも。

ただそのユーロ的純度の高さから、視野を広くアナログゲーム全般に拡大したときに、非ユーロ的なゲームの魅力の乏しさから人は選ぶかもしれないという思いも。このシャハトならではのあまりにもソリッドな切れ味は、フレーバーやテキストによる特殊効果、あるいはやり込みによる上達というゲームのその他の(これまた捨てがたい)魅力からはやや遠い所にあり、毛嫌いするプレイヤーがいても僕自身はなんら不思議ではありません。

なお本作については以下のレヴューが僕は大変気に入っております。全貌が分かりやすく纏められておりまた純粋にレヴュー単体としても秀逸ではないかと思っております。



“オルレアン”(ライナー・シュトックハウゼン/dlpゲームズ/2014年)

昨エッセンの話題作がようやく国内流通を開始しました。期待と共に初プレイ。4人。

中世のオルレアンを舞台に、各地域に影響力を高めようというのが本作の背景。

全18ラウンド、各ラウンド7フェイズ、またアクションも10種類と聞くととんでもなく時間がかかりそうな気がしますがこれが2時間半もあれば十分終了する割とテキパキと小気味よく進行するゲーム。

要素は少なくないですが、基幹となるシステムは同発の“ヒュペルボレア”にも似た所謂“バッグビルド”とでも呼べそうなもので、自分の巾着袋から各自のパラメータに従った枚数のチップを引き、実行したいアクションに配分して実行していくという分かりやすくて親しみの持てるもの。

やりたいこと、やれることが多岐に渡っており、全18ラウンドもあるのに関わらず、(ゲーム自体の面白さもあって)終了するのはあっという間で、焦点を絞った効率的なプレイなしでは勝利には絡めないでしょう。

BGG等でも一部の建物が強いという意見も出ているようで(この点は自分自身非常に気になるところだったりします)、ここでバランスが崩壊していないかどうかは今後の各プレイヤーの研究を待ちたいところですが、上質なフェルトのゲーマーズゲームから制約やペナルティを幾分排除し、自由度をより加味したような本格的な戦略的マネジメントゲームという印象で評価はPositive

何度も言うようですが、得点獲得への道が複数用意されており、また自由度も高いためどこから手を着けていけばよいのか、その判断、選択にプレイヤー個々の手腕が試される、良質な本格派。

デザイナーの個性というかクセが希薄な事から、例えばワレスやフェルトのような濃厚な味わいをもたらす印象深さこそ残しませんが、(入念なデベロップもあったのか)高いプレイアビリティからストレスも少なく、これまた今期エッセン個人的5傑入りと言っていいかと。


“ディ・スタウファー”(アンドレアス・シュテディンク/ハンス・イム・グリュック/2014年)

すでに各所で評判も上々の“ハンス×シュテディンク”という本作で〆ました。これが2回目。4人。

舞台は12~13世紀、ヘンリー6世統治下のシュタウファー朝。プレイヤーは配下の一貴族として統治下各州での影響力を競うというもの。

シンプルで実に機能的なボード中央のアクション選択部分(手番順とアクション選択を同時に行うという素晴らしいアイデア!)とその周辺をぐるりと囲む各州でのエリアマジョリティという2つの軸がまずは中心となる骨格を作り、そこに各種宝箱や特殊能力カードが加点方法の選択肢や各プレイヤーの取り得る選択肢を周りから肉付けすることでゲームを多面的なものにしているというのが僕の本作のビジョン。

“洗練”という言葉がぴったりとくるような美しいルール、高い収束性と見通しの良さから来る敷居の低さそしてそこからの高いプレイアビリティと高い評判も納得の出来。Positive

ここからはネガティブでやや神経質な話。細かい話ですが喉に刺さった小骨のように若干気になっていることをちょっと掘り下げて考えてみます。
本作ではゲーム開始時に、ゲーム終了時の状況次第で大量得点が可能な3枚の“目的”カード(あるいは“ミッション”カード?)然としたものを受け取ります。ドイツゲームではよくあるタイプのあれのことです。
この所謂“ミッション”の達成にやや危機感というか“危うさ”を僕は感じていまして。というのはこの大量得点の契機が“他者の何気ない一手”によって簡単に妨害されてしまう可能性がやや高すぎる疑惑を拭い去れないでいるのです。
マルチプレイヤーズゲームというのは複数の人間の意思決定の積み重ねであると考えます。この意志の決定こそがボードゲームの最大の醍醐味のひとつであり、そこにできうるだけ神経を集中するのがありうべき姿です。
この意志決定ひとつひとつにはいわば重要度のようなものがあり、たとえば2時間のセッションの雌雄を決するような最終盤の大事な一手もあれば、序盤での己のパラメーター値を若干変化させるだけの小さな一手もあります。
本作の最終盤では多くのプレイヤーが(勝利に遠い位置にいるプレイヤーはあるいは逆転の可能性にすがって)“目的”カードの達成に向けて神経をすり減らして(なにせ成功すればそれに見合うだけの大きな見返りがあるわけですから)盤面に集中し、頭をフル回転させ、そして“渾身の一手”を放ちます。
このときそんな他者の状況になぞ全く注意を払っていないあるプレイヤーの“何気ない一手”によってその“渾身の一手”が簡単に水泡に帰すことが簡単に許されていいのだろうか、という思いが僕にはあります。ここで重要なのは、あるプレイヤーにはその大量得点を妨害するという意志がその一手の判断には介在していないという点です。
そのような状況を僕は“インタラクションの功罪”と見ます。複数の人間の意思決定がもたらす面白さの可能性と危険性がマルチプレイヤーズゲームにおいては不可避なのではないかということです。
その危険性の部分をデザイナーがルールメイクで回避するべきなのかどうか、またそれは可能なのかどうか、等々…。
おそらく本作“ディ・スタウファー”が洗練された高い完成度のタイトルゆえ、自分の中にそんな問題提起が自然と生まれたのだろうと思ってはいます。
といっても本作が今言ったような危険性を孕んでいるかどうか、その判断もついていないというのが正直な実情ではあるのですが…。


というわけでこの日は4タイトルを消化できました。

参加者各位にはいつも通り謝意を。また機会がありましたらどうぞ手合せ願います。

2015/01/30

UDA土曜ゲーム会 2015年1月 (2015/01/24)

自宅1階のゲーム倉庫&プレイスペース“UDA”で毎月開催しているクローズド(といっても参加希望者は随時募集しておりますがw)ゲーム会の久々のレポートです。

11月と12月にもいつものように開催していたのですが(エッセン新作の数々をメインに消化できました)、忙しさにかまけて更新していなかったので中2か月空けて、ということになりますが、今月分はいつも通りの感じでプレイしたタイトルについて簡単な感想をこちらに書き留めておきます。


“フレッシュフィッシュ新版”(フリーデマン・フリーゼ/2Fシュピーレ/2014年)

まずはフリーゼ自身の手により新しく生まれかわった“フレッシュ・フィッシュ”から。

自分のお店とトラックを最短距離で結ぶことが目的のパズルチックなユーロ。

手番は二択で①予約ディスクの配置、②山のタイルをめくり配置、のいずれかを行います。②のアクションで“店”タイルを引いた場合競りとなりプレイヤー間で握り競りによる競合が始まります。

1997年に発表されている旧版ではやや分かりにくいことから“抜け”の心配があった“道路”の設置に関する処理(フリーゼ自身の言葉を引用するなら「多くのプレイヤーは道を可視化するのに困難を感じました」)。この部分が特異でやや敷居の高い印象をもたらしていたのが旧版でしたが、この部分がまずは随分と分かりやすいルールに改められており、またそれに伴い全体的にルールは分かりやすく、新規参入にあたっての敷居が低くなったというのが第一印象。

この改訂でプレイアビリティは間違いなく上昇しているのですが、同時にフリーゼらしいと僕には思えた旧版ならではのフリーク受けの良い妙味も減退しているようで、ここが新版の評価の分かれ目になりそう。

とはいえ予約ディスクの配置やタイルのドローのタイミングをめぐるプレイヤー間の駆引きは本作でも十分に楽しめるもので、僕はまずは新版でやってみてそれから同梱されている旧版のルールにも挑戦してみるというのもひとつの選択肢かな、と。(幸いにもボード裏面が97年旧版に対応している一種のリバーシブル仕様です。)

総じて分かりやすく60分で終わるきっぱりとしたピュアユーロ。Neutral+


“ダンジョン・バザール”(P・セチェット、S・ルキアーニ、D・タスキーニ/クレイニオ・クリエイション/2014年)

“ツォルキン”のコンビ+1名による注目のエッセン新作。

プレイヤーはダンジョンに挑むいわば勇者たちにアイテムを売る商人。ただ自らがゴブリンを率いてダンジョンにももぐりオーガや会計士といったキャラクターと取引きもするというもの。

メカニクスとしてはエリアマジョリティ、ポイント制アクション選択、ドラフトなど。

最初にそのラウンドに登場する勇者たちが公開され、そこの情報をもとに今回売り出す商品にめぼしを付けてダンジョンに入り、手に入ったアイテムたちを清算フェイズで勇者たちに売り捌いていくという流れ。

テーマ、フレーバー面での出来は良く出来ており、細部まで手抜きのない美しいアートワークもあって世界観は十分楽しめるのですが、(これがあの“ツォルキン”の2人なのかと思わずにはいられない)細かい部分でのルールの粗さやバランスの調整不足感はセッションを通して終始感じられるもので、ダイヤの原石のような、秀作にもなりえた可能性は感じられるものの、あと一歩が足りない惜しい一作という印象。システムも世界観に沿ったもので全体的なマッチングはかっちりしているのですが。

あとカード、タイル等のいくつかのエラーがかなりのマイナスポイント(これが最近では稀に見る相当大きなもので…。納期に間に合わせるため相当急いだ?)で評価はNeutral-。こういうヒューマンエラーにはどうしても厳しくなってしまうなあ…。


“グラスロード”(ウヴェ・ローゼンベルク/フォイヤーラント/2013年)

ローゼンベルク卿のエッセン13年作が遂に日本語版として発売されたので早速入手して立卓。

チェコ共和国国境付近、バイエルンの森を貫く240キロの“ガラスの道”を舞台にしたハンドマネジメント、リソースマネジメント、バッティング等がメインメカニクスのゲーム。

全員共通の15枚の手札から5枚を選択。手番で1枚プレイするのを3回繰り返せば1ラウンド終了で全4ラウンドでゲーム終了。

このカードプレイフェイズのメカニクスが特徴的で、スタPから順にプロットしておいた手札を公開してプレイしていく際、他Pは手札に持っているカードがあれば義務として公開します。この時手番プレイヤーは1枚に載る2アクションのうち1アクションしかプレイできず、逆に他Pはボーナスとして手番外であるにも関わらず1アクションが実行できます。つまり先手プレイヤーがプロットすると思われるカードを手札に残しておく“読み”が重要になるわけです。ここに他Pの状況を冷静に分析して行動を予想する醍醐味があります。

もうひとつ特徴的なのが各Pが持つ特製の“生産ホイール”によるリソースの管理。全てのリソースをこの機能的に計算されたデザインの個人ボード上で管理するのですが、原料となるリソースと加工品となる製品の管理が自動的に処理されるこの設計は非常に効率的で優秀という印象。この“生産ボード”が重要なツールとして行われる本作のリソースマネジメントは“流石はローゼンベルク”とでも言いたくなるようなシビアで洗練されたもので、僕などは最先端のリソースマネジメントを見た思い。(矢印の多い所謂“矢印ゲー”ですなw)

以上2点が印象に残る、“濃い面白さ”をしっかりと内包しつつも60分で終わる収束性の良さも併せ持った優等生的モダンユーロ。Positive-

周りに十分に目配せできて初めて活きてくる各種の仕掛けからか、初めてのプレイでは本作の持つ醍醐味を十分に味わうことは困難であろうと思われる敷居の高さはありますが、それは習熟度の問題でしょう。(あと日本語サイコー!やっぱプレイしやすい!)


“マングロービア”(エイリフ・スヴェンソン/ツォッホ/2014年)

ツォッホ発のエッセン新作にして話題作を初プレイ。

メカニクスとしてはワーカープレイスメント、エリアマジョリティ、ハンドマネジメントなど。

ワーカー配置といってもワーカーはひとつだけで、このオンリーワンのコマで二つのアクションと手番順(というか実行順というか)の決定を同時に行うのがまずはミソ。シンプルにして諸要素が凝縮されていることもあって、ここでの選択には実に良質なジレンマが。

また主戦場となる島での争いは格子状に配置されている正方形のマスにコマとなる小屋を配置していくことで行われるのですが、複数のエリアが複雑に(といっても状況は一目で把握できるものですが)絡み合う構造で、一つの小屋が複数のエリアに影響を及ぼすことからここでもアクション選択と同様にひとつの意思決定が複数の結果に影響を及ぼすという構造。

根本部分でのシンプルさはしっかりと守りつつ、しかしながらインタラクションがもたらすプレイヤー間のパワーバランスが盤上に入り乱れる様はまさに良質なドイツゲーム的陣取りの理想形で、刻一刻と変化していく盤上の状況からは一刻も目を離すことができず、夢中になって勝敗の行方に集中しているとあっという間に時間が過ぎ去ってしまう至福の刻をもたらしてくれる良質なゲームという印象。

特に目新しく斬新と思えるメカニクスがあるわけではないですが、既存のものを上手く組合せたり提示したりすることで経験豊かなプレイヤーにも新鮮な楽しさを提供し夢中にさせてくれるゲームが出来上がるのですからこれはこれでデザイナーの力量に他ならないという思いです。

ノンテキストでプレイアビリティも上々の最新ユーロに二重丸を。今のところ特に欠点も見当たらず、またツォッホの最上級コンポーネントもあって評価はPositive。現時点でのエッセン14個人的五傑入り確定。

戦術的にアミュレット特化が強いという評判もあるようですが今回のセッションでは特化型は(10点以上のリードを許して)2位止まり。1位はアミュレットにも配慮しつつバランスよく要所を抑えたプレイヤーで、このあたりしっかりとバランス調整もできているという印象です。(因みにアミュレット完全無視型は最下位でした。)

おそらく新進気鋭のデザイナーだと思われるスヴェンソンは個人的には一躍注目のデザイナーに躍り出たという印象。この人が“マンモス”のオストビー(この人も好き)と共作したのが“ドゥードゥルシティ”なのですよね。


“シェッフェルン”(ライナー・シュトックハウゼン/dlp/2014年)

キックスターター出身のシュトックハウゼンによるエッセン14新作。

ラウンド開始時に配られた4枚の手札。手番になったら①表向きにプレイすることで対応するリムジンを移動する、か②裏向きにプレイすることでキャラを変え、乗っているリムジンを変更するか、この二択を繰り返し、四巡して手札を使い切ればラウンド終了。自分のリムジンが停まっている店のお金が貰えるという寸法。

シンプルを地で行く、ルールの簡単なユーロで、それなりに考えどころやジレンマもあるのですが、結局は他Pの持つ手札次第というのが最終解答という印象は拭えず、まあ淡々とした進行もあって場は選ぶのかな、と。

運次第ですし勝っても負けてもその場限りの後腐れなしで、セッションの間はワイワイと盛り上がれるなら楽しめるかと。まあ僕には存在意義の薄い一作。Negative+


“世界の七不思議”(アントワン・ボザ/レポス/2010年)

言わずと知れた名作を久しぶりに立卓。

当初は発売されたばかりの拡張“バベル”を立てるつもりだったのですが未プレイ者がいたこともあり、まずは基本、そのあとで“バベル”を、という流れに(とはいえ時間の都合もあり結局“バベル”は立ちませんでしたが…。)。

テックツリーにハンドマネジメントやリソースマネジメント、そしてドラフトの醍醐味が存分に味わえる軽量級文明発展型カードゲーム。

プレイアビリティが抜群に高く、敷居の低さに比して学習効果は高く、プレイ経験が強さに反映される懐の深さも。

収束性の高さ、競技性、リプレイアビリティ、拡張の可能性、戦略の研究欲求などなどの長所が多数見受けられるゼロ年代ドイツゲームのひとつの成果であり、ボザの最高傑作というのが僕の中での本作の立ち位置(あえて不満らしいことをいえばこの邦題かな。ゲームには全く非はないのでなんですがあんまり好きになれないこの感覚。)。Positive

天邪鬼な性格のせいか判官びいきな性格の成せるわざか、メジャー過ぎるタイトルにはどうしても距離を置いてしまいたくなるのですが、この日の久しぶりのプレイで、まだまだプレイ数が少ない名作だなという思いも生まれ、各種拡張も含めて今後もっと積極的に立卓していきたいという欲求さえ。(でもできるのか!?)


“ニエット!”(ステファン・ドラ/ゴルトジーバー/1997年)

どうしてもひとつはトリックテイクがやりたくて、このタイトルで〆ました。

4スート、1から9の9ランク(ただし1のみ2枚)でマストフォロー、切り札、スーパー切り札あり。

ディールのあとトリックを開始する前にスタPや点数、切り札となるスートなど各種の取り決めを行う“ピサ”や“トリックマイスター”と同系統のタイプで、順番に黒ディスクをボードに置いていくことでひとつひとつの可能性を否定(NJET!)していき、残された各1マスでそのラウンドのルールが決定されるというのが大きな特徴で、ここでの各プレイヤーの動きを注視することもまたペアを組む際の大きな判断材料になっているところがミソ。

勝敗に大きく影響を及ぼすルールが各プレイヤーの投票によって決定されるというのはやはりアドバンストであり、またその高い競技性もあって、ある程度トリックテイクに慣れ親しんだ中上級者向けというのが僕の評価。そして変態的変則的というよりクラシックな保守本道を進んでいった結果としてのひとつのカタチという感覚を僕は持っています。(などとエラそうに言ってますがトリックテイク
の森はあまりにも深淵で、この持論さえ簡単に崩壊しかねない感覚もまたあるのですが…。)

ドラの完成されたシステム、フォービンケルの美しく品のあるアートワーク、そしてゴルトジーバーの高品質なコンポーネントと三拍子揃った名作。Positive-



以上7タイトルを終日にわたって代わる代わる立卓した一日でした。ではまた来月!

2015/01/17

越前市(福井)ボードゲームの会 1月ゲーム会(2015/01/11)

主催を務めるゲーム会への参加で今年初のゲーム会参加となりました。

プレイできたタイトルについて簡単な感想をこちらにてまとめておきます。


“ヤバラス”(キャメロン・ブラウン/ネスター・ゲームズ/2009年)

スペインに居を構え、秀逸なアブストラクトを発信し続けるネスター・ゲームズ。代表作といってよい2人用アブストラクトからこの日は開始。

ルールは端的にいえば三目作ってしまってはいけない四目並べ。つまり二目と間1マス空けて一目のラインを作るのが目的です。

シンプルながら奥深く味わい深い、また非常に分かりやすいアブストラクトで、いったんプレイし始めると中毒のように何度も続けてプレイしたくなる魅力が。Positive

先手が若干有利なのかなとか定石はあるのだろうかなどなど気になる点も少なくなく、今後も末永く立卓していきたいタイトルのひとつ。

盤面を通して二人の間で会話が成立するのも良く出来たアブストラクトの証左でしょうね。

長期戦になり盤面を埋め尽くすような展開になるといかに三目から逃れるのかという勝負にもなりそう。


“ゼロ”(ライナー・クニツィア/テンデイズ・ゲームズ/2014年)

クニツィアの名作を昨年国内ショップにより再版されたバージョンで。

ゲームは7つのスート、8つのランクからなる全56枚のカードからなります。

数字がそのまま失点になりますが、同じスートやランクをそろえていくことで帳消しにし、理論上の満点である“0”点をめざすハンドマネジメント、セットコレクション。

ディールが終わるとデッキからのドローが一切ないため場の5枚を含めたプレイヤーひとりあたり9枚×プレイヤー数のカードのみでセッションが進行するゼロサム構造。

数学者クニツィアのデザインしたこのカード構成が絶妙なのか、シンプルなルールながら濃厚なジレンマの連続で、控えめな存在感ながらピカリと光る完成度の高いカードゲームの絶好のサンプルのひとつ足り得る資格十分。Positive-

場の5枚を媒介にした緩やかなカードの循環という印象。

(ちなみにオリジナルは1998年ベルリナー・シュピール・カルテンより。)


“ドラゴン・スレイヤー”(デイヴィッド・J・モーティマー/インディ・ボーズ&カーズ/2014年)

ダイスロールによるシンプルなセットコレクション。

ヒット率の高いパブリッシャーゆえ本作にも期待していたけれどこれはちょっと…か。

プレイヤーの意志による選択やインタラクションが薄く、多人数ソリティア色濃厚ながら手番でのアクションもほぼダイスロールの結果次第で機械的な処理がほとんどゆえ、まあレッドドラゴンがどうこうとか参加者各位が展開にフレーバー的な味付けをして盛り上げていかなければ辛いタイトルか…。Negative

次作には期待してます。>パブリッシャー殿


“グランオクトパスの夜”(フレデリック・モラード/イエロ/2014年)

シンプルなプロット→バッティング、セットコレクション。アドバンスト・ルールもあるようだが今回は基本ルールを4人で。

“カルティスト”と“落し仔”という2種類のコマを各自が操り、勝利条件となるアイテムの収集を目指すクトゥルフテーマもの。

プロットするのはアクションではなく進みたい場所で、ミニマルに延々とその場所のプロットを続けるのみというのはシンプルというよりやや味気なく、なんだか物足りないという印象。

他者の行動をその所持アイテムの状況から推測するのがゲーム性を生み出すのは分かるつもりだけれど、端的に“お仕事”問題が発生しやすいという問題点も見逃せず、Negative+

メカニズム的に同ジャンルで(意外に激戦区という印象)、これより秀でていると思われるタイトルは少なくなく、僕にとって存在意義は薄いか。

存在感十分の木製コマ、美しいアートワークはイエロのナイスワークだけれどね。


“ドゥードゥル・シティ”(エイリフ・スヴェンソン、クリスチャン・アムンゼン・オストビー/アポルタ・ゲームズ/2014年)

ダイスロールの結果を効率よく自分のシートに書き込むことで得点に反映していく“クウィックス”や“ストリームス”、“ローリング・ジャパン”などど同系統のメカニクスのタイトル。

ひとつしかない青ダイスは全プレイヤーが共有、プレイヤー数+1個ある白ダイスをスタートプレイヤーから順に選択していくことで決定される1マスに道路となる線を引いていく。

先にあげた親戚関係にあるような他タイトル群にくらべて、ややゲーマーよりというか勘案すべき要素が増えているという印象で、テーブルゲーム初心者より多数のタイトルを経験済みの中級者以上にウケがいいかも。

脳内に描いていた当初の街の設計図どおりにいくはずもなく、そのままならなさに悶えつついかに美しく修正していくかが本作の妙味だろうか。Neutral+。リプレイ欲求も刺激されるし、まあ悪くない新規参入者という位置付け。


“ラ・イスラ”(ステファン・フェルト/アレア/2014年)

さてフェルト翁期待のエッセン新作。

①ラウンド開始時にドローする三枚の手札を三種のアクションに如何に割り振るか、②ボード上の動物を囲むことで入手し勝利点に繋げる、この①②のふたつが本作の二大柱という印象。

①は(デッキからのドローなので)運要素ありかつインタラクションなしの完全ソロプレイ、②は完全情報ゆえ運要素なしかつ動物は有限で早いもの勝ちなのでインタラクションありという構図。このふたつをマネジメントしていくのが本作の妙味か。

ルールやゲームの骨組みはシンプルでハードルが低いのは確か。しかし盤面の情報と手札(たったの3枚なのに!)をにらめっこして最善手は何かと考え始めると途端に深い深い迷宮の中に潜っていくようなこの感覚だ。

ふとなにやらパズルを解かされているような感覚にはっとすること少々。ここを面白いと思えるかどうかで本作の評価が分かれるような気がする。(ゲームなんてインタラクションが薄くなればなるほどパズルになっていくといってもいいかな、と。)

僕にはこのパズルはいささか難解すぎるけれど3枚の手札のハンドマネジメントの面白さはまた格別という印象で僕の評価はPositive-

しかしフェルトはほんとにいろんなアイテムを出してくるなあと、そこにも感心しきり。本作の丸いモジュラーボードにも新鮮な驚き。


“オロンゴ”(ライナー・クニツィア/ラベンスバーガー/2014年)

フェルトのあとは巨人クニツィアの新作を。4人と3人でこの日計2回プレイ。

握り競りと陣取りという分かりやすく熱い組合せ。

ルール、インタラクション、情報量、運要素といった各所のバランスの塩梅がまずは絶妙。

肥大化とシンプル偏重が二大潮流にも見える最近のユーロの中でこのシンプルな90年代的手触りは非アップトゥデートという感覚もまた否定できないものの大きな安心感とシンプル故に風化に耐えうる強靭な骨格には往年の名作ユーロの数々と同等の質が。Positive

既出なのかどうか、浅学の僕には判断できないけれど(おそらく初出だろう)、この独特な競りのメカニクスがまた良くできている。

ただ難点が皆無なわけではない。コンポーネントについて二点。視認性という言葉を持ち出したくなるタイルと白色のプラ製貝殻コマ。タイルについては“ある/ない”の判別が瞬時には着きにくい。また曲線を多用したデザインの貝殻は盤上に配置した時に安定性の面でやや難あり。これなら僕は単純に白円形ディスクを使いたくなる。(そしてこのために実際に発注したのだけれど。)

複雑なルールやテキストによる特殊効果がなくてもリプレイアビリティの高いゲームは作れるという好サンプル。


“マラケシュ”(ドミニク・エアハルト/ギガミック/2007年)

分かりやすいシンプルなルールと絨毯を敷き詰めていくという見た目のインパクトで掴みは十分な2008年度SDJノミネート作“ズライカ”の正確にはリメイク作。

手番開始時に市場のマネージャー駒の進行方向を3つの選択肢から選んだあとはダイスロールで自動処理というシンプルさ。“期待値”という言葉でもって短期的な視野での最大効率(あるいは予想される最小の損害)を考えつつプレイするようないわばすれっからしのゲーマーにはシンプルすぎて妙味が薄いというかなんというか。

手広く絨毯つまり自分の領土を盤面全体に分散させるか、一続きの広大な土地を形成し一攫千金の夢を見るかという選択肢もあるかもしれないけれど、そこまでのジレンマもないかなというのが率直な印象で、僕にとっての存在意義は薄く、端的にいえばノットフォーミーな一作。

流石はギガミック、コンポーネントの出来、魅力は十分だし、この“絨毯を敷き詰めていく”というギミックは立卓される場次第では大いにウケそうなのもまた確かだけれど。Negative+


“インフェルノ”(ライナー・クニツィア/テンデイズ・ゲームズ/2014年)

前述の“ゼロ”と同じく、東京三鷹のゲームショップ“テンデイズ・ゲームズ”から日本独自のバージョンとして再版されたクニツィアのカードゲームを5人で。

こちらはスタPがプレイしたカードと同じ色か数字を手札からプレイしていく一種のゴーアウト型。

プレイできない(あるいはしたくない)場合、それまでにプレイされたカード全てを失点として受け入れるというルールのせいでゲームが激辛の唐辛子のように刺激的になっていて流石はクニツィアとそのジレンマに身悶えすること必至。

クレバーかつ冷静な佇まいでもって、失点が低いうちに降りることも当然必要ながら、その押し引きの判断は容易ではなく、このジレンマこそクニツィアそのもの。Positive-

誰もが引かずに怒涛のようにカードがプレイされ始めるともう止まれなくなるこの光景は本作あるあるかとw

静の“ゼロ”に対し、動の“インフェルノ”と捉えることも可能で、それはまたクニツィアのデザイナーとしての多芸ぶりをなにより物語っているなあと。



この日は他に“キャメル・アップ”などをプレイ。

また他の卓では“コルト・エクスプレス”や“ナッソーの海賊”など新旧多数のタイトルが立てられ盛り上がっていました。

参加していただいた皆さんには謝意を。また今年も月1ペースでこのオープンゲーム会を開催していきたいものです。ではまた何卒。

2014/11/28

シュリンクを斬る!㊵ “枯山水(かれさんすい)”の巻

新品のボードゲームを開封しコンポーネントを紹介するこの企画、今回で遂に40タイトル目となりました。

今回は日本人デザイナーによる日本の出版社からの日本固有の文化をテーマにしたまさに純日本製ボードゲームともいえる魅惑のタイトルを取り上げます。

ゲーム本体近影。淡く渋いボックスアート。

それではシュリンクに刃を入れます。

ズズズ…。

切れ目からシュリンクを破っていきます。

まずは裏面をバッサリ。

表にまわりシュリンクを取り払います。

シュリンクを剥がしました。

毛筆体で書かれたタイトル。

デザイナーもアーティストも日本人。

製作を手掛けたニュー・ゲームズ・オーダーのロゴも毛筆体調でこのとおりキまってます。

ボックス側面の仕様表示。ここのイメージも和風で抜かりありません。

ボックス背面全景。

ゲームの背景について。

ご存じの方も多いはず。

コンポーネントの一覧。

プレイ中のイメージイラスト。

イマジンゲームズとニューゲームズオーダーのロゴも。

お馴染みの注意書きも日本語でこの通り。

燦然と輝く“Made in Japan”の文字。

それでは箱を開けます。

ぱかっと。

ルールブックです。当然ながら日本語表記1冊のみ。

いろんな形状の石が入っているようです。

ルールブックの中身。

巻末には様々な名庭師がモチーフとなっている作庭家カードの一覧も。渋すぎるw

サマリも4枚付属。

サマリ裏面。タイルの内訳もしっかり記載されている辺りに本格的な競技志向が窺えます。

実際にゲームに採用された名庭園の数々。これだけでも美しい。

ルールブックの下からはこちらのパンチングシートが4枚。

打ち抜きました。抜きやすさはDの“やや悪い”というのが僕の印象。ドイツ製の高いクオリティには今一歩足りないか。厚みもやや薄い印象。

つづいていわゆる個人ボードとなる“庭園ボード”。全4枚。

これは某大手ドイツパブリッシャーへのオマージュか。それにしても分かりやすいw

分かるでしょうか、タイルを置くため厚みに差が設けられており段差が作られています。

全4枚すべてに異なるアートワークが施されている凝りよう。

こちらがメインボードとなる“寺院ボード”。

様々な石。カテゴリ毎に記号が付与されている模様。

細かい部分まで描き込まれた実に美しいアートワーク。

裏面は黒一色でした。

箱に残っていたのはこれら。

まずはカード。

袋から取り出しました。カードは大きく二種類あるようです。

まずはこちら“名庭園カード”。

そして“作庭家カード”。

裏面は二種類ともこれで統一されていました。残念ながらエンボス加工はなし。そこまでは要求しませんがw

(※本記事コメント欄にても確認できますが、読者の方からの情報提供によりカード裏面のデザインがやや異なることが判明しましたのでこちらに付言させていただきます。)

木製コマです。プレイヤー毎に4色、“禅僧”と“円相”です。

そしてこれが最注目の石25個。

これが“立石(大)”5個。ずっしりとした存在感すら醸しています。

手に取ってみました。素晴らしい質感でした。

残りの“石”。

すべて手塗りという凝りよう。そしてそれ相応の高い品質。素晴らしい仕事に頭が下がります。

石膏製の“石”の数々。自分の撮影技術の未熟さゆえこの質感をお伝えできないのがもどかしいところ。

種類毎に分類してみました。石をコンポーネントに採用したいわゆる“石”ゲーは今までにも何点かありましたがここまで凝った作りのものは初めてでしょう。

それでは箱にしまっていきます。

メインボードで蓋。

その上に個人ボード。

さらにその上にルールブックとサマリ。

上箱をかぶせてはい終了。

ドイツやアメリカ、ヨーロッパに向けて「どうだい、これがニッポンのボードゲームなんだぜ!」と発信したいくらいの非常に高いクオリティの“純”国産ボードゲームの登場です。早くプレイしてみたい!