18日の日曜日は地元越前市のオープンゲーム会“えちボ”に主催として参加してきました。
前日のゲーム会の記事にも書いたように土曜日は肌寒くどんよりとした空模様の一日でしたが、一転この日は朝から秋晴れの気持ち良い青空が朝から広がりました。
会場の準備もあって当日は早めに自宅を出発、会場までの道すがらコンビニでホットコーヒーとサンドイッチを買って施設入り、午前8時半頃に受付を済ませました。
この日は事前の予約状況から土足禁止でテーブルや椅子も常備されていない部屋にせざるを得なかったのですが、当日受付を済ませてみると別の部屋に空きがあることが判明、急遽会場を変更させてもらいました。
この日はこのアクションゲームから開始。テーブルカーリング。2人。
オリンピックの正式競技にもなっているスポーツのテーブルゲーム化。ストーンを模したコマにはベアリング状にボールがはめこまれており、これが実際の競技のようにツルツルとマットの上を滑っていきます。
もっともスィープにあたる部分は割愛されているため投擲のみで狙った位置に放り込むことが要求されます。
スポーツのボードゲーム化は個人的には鬼門という印象があるのですが、このカーリングは“氷上のチェス”とも呼ばれているように、頭脳戦心理戦のウェイトが大きい競技であることもあって、テーブルゲームとの相性も良いように思いました。7.0。
自分の持ち込みではなかったのですがアマゾンで比較的安く入手できるそうで、ひとつ持っていても悪くないかなと思ったり。ただ広めのテーブルが必要になるかもしれません。
続いてクニツィアのロール&ライト。4人。mosesのドイツ版で。
5×5の25マスにダイスロールの出目によって指定された6種類のシンボルのいずれかをマークしていきます。
ダイスは2個を同時に振り、出目は隣接する2マスとしてマークしなければなりません。制約はそれくらいで、書く位置などの制限もなし。
同じシンボルが多く並んでいるほど高得点というシンプル極まりないルールです。
面白いと思ったのは人間の心理としてどうしても25マス全てを綺麗に埋めたくなるのですが、実際には勝者は2マス残してしまったプレイヤーだったりして、“マスを捨てる”ことも時には必要なのかなと。まあ全埋めを優先して得点を犠牲にしていてはもちろん駄目なわけで、人間の本能との折り合いをいかに上手くつけられるかも本作の妙味なのかもしれませんね。6.5。
クニツィア続投。テイクイット!。4人。
イッツマインやいただき!の邦題(メビウス)でも有名なクニツィアの旧作を今回初プレイ。
いずれかのプレイヤーが山札から1枚ずつカードを場に並べていきます。欲しいところで「いただき!」ということで場のカード全てを獲得。この宣言は各プレイヤー3回までというシンプルルール。
カードにはペア、ジョーカー、10、通常といくつかの種類があり、中にはマイナス点をもたらすものも少なくなく、またゲームが進行することでプレイヤー毎に取りたいカード、取りたくないカードの偏りが出てくるのもクニツィアらしく、本作のポイントになっているかと。6.5。
どちらが早かったか問題は避けては通れないのでベルなりなんなりあったほうがいいかもしれませんね。
午前中はこの3タイトルで〆て、ここから4人で昼食休憩に。もう1卓は話題の新作“アルマ・マータ”が朝イチから立っていたのですがまだしばらく終わりそうにもなかったので4人だけ先にお昼にしました。
お昼は会場から歩いて3分の中華料理店へ。会場には窓がなく、外の様子が皆目分からないのですが、外に出てみると素晴らしい晴天で、雲ひとつない青空が広がる中、4人で談笑しつつお店まで歩きました。
この日の私のオーダー、豚肉細切れチャーハン。安定の美味しさ。
会場に戻るとこのタイミングで参加のプレイヤーも何人かいて午後は3卓での開始となりました。
さらにクニツィア続投w バビロニア。4人。
“ネブカドネザル2世の時代、新バビロニア帝国はもっとも豊かな時代を向かえていた。チグリス川とユーフラテス川に挟まれた肥沃な土地で、網の目のような交易ルートを確立し、それぞれが部族の繁栄を目指していた”
というわけで期せずしてクニツィアが続きますw 昨年のエッセン新作をアークライトの国内流通版で。
手番の流れはシンプルで、①派閥コマの配置、②得点計算、③派閥コマの補充、という三段階の流れ。
派閥コマは大別して“貴族”と“農民”の2種類があり、やや性質は異なります。またジグラットを包囲した際マジョリティを得ることで場のジグラットカードを得ます。このカードがプレイヤーに固有の能力をもたらします。
砂漠を越えてからじっくりとクニツィアがシステムに磨きをかけてきた一連の陣取りタイトルの最新作に、名作チグリス&ユーフラテスのテーマを載せてきたと解釈することもでき、また完成度の高さもあって、ここらでひとつ区切りとなるようなクニツィアの意気込みが感じられる好タイトルという印象。
展開において、そのマスにどのプレイヤーがコマを置いたかでゲームの勝敗に大きく影響を与えそうな重要なマスが発生することから、そのマスをめぐるヒリつくような軋轢のインタラクションがほぼほぼ必ず発生する点はインタラクションに対する個々のプレイヤーの好みが試されるところで、最近のソロ寄りの薄いインタラクションに慣れ親しんでいるとここに拒否反応を起こしかねない気もしました。
リンクをつなげるのか、ジグラットに広く手を伸ばすのか、あるいはその他といった相反する複数のスコアリングにおいて、他者の動向や自分の手持ちコマの状況も鑑みつつ、バランス良く自陣を伸ばせたプレイヤーが最後には勝利するのかなと。
これをやっていれば勝てるという必勝法はもちろんありませんし、実プレイ60分で終わる収束性の良さながら、これぞ陣取りという濃厚な体験ができる秀作かと。8.0。
“黎明期の人類。彼らは森林や砂漠など散り散りになって生活していた。やがて彼らは故郷を離れ、他の部族に出会い、そしてそこで知識や文化を交換していった”
ピュアユーロの傑作“王と枢機卿”のシャハト自身によるリメイク、“イワリ”を4人で。
今回のセッションは海外では流通の始まった私の持込みによる通常版で、ルール上は場札が4枚になったことや一部の地域での最終得点計算が変更になった以外には大きな変更はなく、あの有名な3ー2ー1ルールを踏襲した、真っ当な新アートワーク、新コンポーネント版王と枢機卿とでも呼びたいもので、当然ながら序盤からヒリヒリするような緊張感のあるプレイングフィールはあのタイトルそのもの。
大きく変わったアートワークはファンタジー調のもので、マテウス・ミザクによるイラストは間違いなく美しく、ハンドとして手に持って眺めているだけで贅沢な気分になりました。
ただオリジナルのフランツ・フォービンケルによる中世ヨーロッパがテーマのアートワークも素晴らしかっただけに、ここはどちらがより好みなのかはプレイヤーにより意見は分かれるところでしょうね。
ルール上の最大の変更は、特定の条件を達成することで獲得できる“偉業”で、このアイテムが配置されたエリアは最終決算の得点が2倍、3倍…となるところ。
当然ながらこの大きな得点が獲得できる可能性のあるエリアは競争率が高まる注目の的となり、起伏に盛り上がりをもたらすことを意図したルール上のデザインだと思ったのですが、今回のセッションでは参加者の意識が不十分だったせいもあるのか、熾烈な争いが起こることもなく決着してしまった印象で、こちらの予想を裏切り、不完全燃焼のような形で終わってしまったのが残念でした。
この点が今回のセッションで残った大きな疑問点の一つで、オリジナル前作の愛好者たちによる終了後の感想戦もいつになく長引きました。
僕は何より、一個一個の駒が一点になる潔さや、マジョリティ、上限値をめぐって、その“駒一個”の重みが好きだったせいもあって、そしてそこにこそシャハトの魅力を感じていたので、本作の決算方法が今風にアップデートされたものであろうと個人的には解釈しているのですが、オリジナルは超えていないというのが一戦してみての率直な感想です。7.0。
まだ結論を出すにはいささか早いと思いますし、このあたりは今後プレイを重ねてみて判断したいところです。
これはヤッツィー2020か。チリダイスを希望者多数につき強引に5人で。
六面体ダイスが6つ。ただしそれぞれ1、2、3、4、5、6の目が赤くなっています。
手番でこの6つのダイスを振ります。振り直しは一手番で何回でもできますが、ゲーム全体を通して30回までというライフ制。また赤の出目は好きな目に変更できます。
この条件で役を作り、合計得点で雌雄を決します。
何回でも振り直し可能、そして赤は好きな目にできるというのがなんとも刺激的かつ背徳的で、そこがダイスロールのギャンブル性と非常に相性がよく、狙いはバッチリ。
中辛、激辛、超激辛という高難度ながら一発逆転も狙える高得点が可能な特殊な役もまたプレイヤーの挑戦欲を刺激するスパイスとしてピリリと効いており、なるほどこの2020年に出る意義はあるなあと。
ただヤッツィー系のダウンタイムの長さもまた健在で、ここが僕には最大のマイナスポイントに。まあこれは避けては通れないんですけどね。
テーマの通りゲームは非常に刺激的なんですが、収束性に寛容なら、という条件付きでお薦めの佳作。7.0。
“すべての動物たちがリゾートを満喫しています。そんな光景をあなたはうらめしく眺めるだけ。なぜならあなたはナマケモノで、自分で移動するなんて考えられないから。でもその幸せそうな景色をあきらめきれなかったあなたはある妙案を思いつきました…”
このタイトルでこの日のゲーム会を〆ました。ファスト・スロースを5人で。
フリーゼの2019年作でメカニクスはピック&デリバーです。
主人公というかプレイヤーはナマケモノなのですが、これを一種の荷物と見なすことも可能で、この荷物を周りの各種動物コマが運ぶことで目的となる各地の木の葉を集めていきます。通常のピック&デリバーとは主客の視点が逆になっており、このあたりフリーゼらしい気もしました。
手番の流れは①ドロー、②プレイ、③ハンドリミットのチェック、というシンプルなもの。
これを繰り返し、木の葉を最初に規定数集めたプレイヤーがゲームに勝利します。
ナマケモノの移動を助ける動物の個々の能力がそれぞれ非常にユニーク(移動可能な地形や各種能力が細かく規定されています)で、その一長一短を理解し、また盤面の情報を整理することで、2手3手先の展開を思い描き、そのプランニングに沿ったカードドローが求められるところが本作の一番の醍醐味かと。
ゲームの文法をしっかりと理解しているデザイナーが古典的メカニクスへ新しい一石を投じた快作で、ボードゲームの面白さ、楽しさがたっぷりと味わえました。
将来的な展望を計画する楽しさと、それを反故しかねない他プレイヤーの動向への怠ることの許されない注意が勝利には不可欠で、他人のカードドローをしっかりと意識しておくことでその今後の動きを予想することもまた要求されます。
あるいは他者の予想を出し抜いた動き、動物コマの利用でそのプレイヤーから動物を離れさせ、なるべく他のプレイヤーが狙っている動物を利用させないアクションを狙っていきたいところがあって、実際に上手く出し抜けたときの相手の落胆(断末魔!w)とこちらの快感は本作ならではのものかもしれません。
油断しているとあっさりと収束してしまうため中盤から終盤は思っているよりもずっと早い展開になりかねないので、このあたり注意していた方がいいかもしれませんね。また通過できない地形などついつい見落としてしまいがちなのでここは全員のダブルチェック、相互チェックで慎重にゲームを進めたいところです。
僕はフリーゼは作品毎に好き嫌いの差が大きいデザイナーなんですが、本作は国内未流通が残念な御大健在をアピールする好タイトルかと。8.0。
これもまだまだプレイを重ねて研究してみたいタイトルですね。
以上この日は計7タイトルをプレイ。このあと恒例の反省会となりました。
というわけで、いつものラーメン屋さんです。3人だったのですが、2日連続のゲーム会だったせいで疲労もあったのか、私はお二人の話を聞くばかりだった気がします。ま、それもまた楽しかったわけですが。
というわけでこの日も無事終了。参加者の皆さん、お疲れさまでした。また来月のえちボも魅力的なボードゲームに出会いたいものです。