2020/09/29

えちボ(越前市ボードゲームの会) 9月ゲーム会(2020/09/27)

27日の日曜日は地元越前市でのオープンゲーム会“えちボ”に参加してきました。

前日の26日土曜日も休日だったのですが、この日は前日の金曜日から断続的に降り続ける雨が朝から続いており、日中何度か警報さえ発表されていたように時折地面を叩きつけるように激しく降ることもあって、翌日のゲーム会当日の天気がどうなるのか心配していたのですが、当日の日曜日は朝から青空が広がる素晴らしく気持ちの良い秋晴れとなり、ゲームの持ち込みにも心配は必要ありませんでした(まあもっとも会場の“市民プラザたけふ”には4階建ての駐車場が併設されているので、持ち込みたいボードゲームが雨に濡れる心配はまずほとんどないのですが…)。

当日の朝は早めに準備して余裕をもって家を出、会場までの道中にあるファミリーマート店内のイートインスペースで軽く朝食を摂りつつ、午前9時開始予定のゲーム会ながら8時45分頃には会場入りして着々と設営に勤しんでいました。

なお同会場はJR武生駅にも隣接しており、遠方からJR線を利用した参加にも十分対応できる立地条件であることはひとこと付言しておきたいと思います。こちらでの参加も是非ご検討下さい。


葉隠とは死ぬことと見つけたり。葉隠、4人。

この日のスタートはこれ。数寄ゲームズから国内供給の始まったばかりの新作トリックテイキング。

特徴的なのは低ランクの青(村人)と高ランクの赤(侍)という2スート構成で、リードプレイヤーが赤をプレイした場合のみフォローの義務が発生するところ。

また5枚の特殊トークン“幟”を使うことで、そのラウンドのみ得点が倍になったり、中央の場札と手札を交換したりできます。

1ラウンドが4トリックで構成され全8ラウンド。獲得した1トリックが単純に1点、逆にゼロトリックなら減点でマイナス2点のペナルティがあることからとにかくトリックの獲得を目指したいゲームで、ディール次第の運要素は若干否めないものがあり(そこを補助してくれるのが“幟”なんですが)、それほど競技性は高くない部類か。

もっともその運要素に対抗する幟トークンの使い時のジレンマや手札を選ぶ際にプレイヤーの判断スキルを問われる瞬間もあって、そのあたりがどれくらいプレイヤーに訴求するかで評価は分かれそう。

例えば「今回の手札、どうにも弱いなあ。できれば幟使いたいけれど、この先のラウンドは大丈夫だろうか?」みたいにプレイヤーに判断を迫られるあたりは本作の醍醐味のひとつかと。

とはいえ僕の好みのトリテはもっとガチ寄り、変則よりなので、ゆらゆらと展開が掴みづらい本作に若干の戸惑いは否めず評価は5.5

オールユニークと思われるカードのアートワークは素晴らしいですね。(人物のアートワークを活かすための縦長のカードなんだろうか。)


ドラゴンの恐怖から、突然、脱兎のごとく。ノギ・ザ・パス、5人。

“ドラゴン討伐のために召集された勇者たち。だがあまりの強さに彼らは我先にと逃亡したのだった…”

クニツィア“アバンダン・シップ”のポーランドパブリッシャーリメイクです。

各プレイヤーは秘匿情報として3匹のウサギを担当します。手番ではいずれかのダイスを使っていずれかのウサギを操作します。この操作により対応するコマが基本的には前進するのですが、場合によっては後退もします。

ダイスには何度も利用できる出目と使い切りの出目があり、手番開始時に使い切りのダイスがすべて使われていたら新たに全てのダイスを振り直してアクションを続行していきます。

ゴールはお姫様の待つお城なんですが最も早く着いてしまうと臆病者のレッテルを貼られて0点、2位以下がそれぞれ5、3、2点と得点できます。

絵に描いたようなクニツィア節で、まあこういうファミリーゲームを作らせるたら右に出るデザイナーはいませんね。

ゲームは十分面白かったんですが、ダイスの選択における動機付けが弱いというか、選択自体の重みにやや欠ける印象は拭えず、そこが惜しい気も。6.0

巨大なドラゴン駒や一目散に逃げかえってるシルエットの再現が素晴らしいウサギ駒、そして牧歌的なボードのアートワークはポーランドパブリッシャー発のクオリティの高さを感じずにはいられません。


荒波を掻き分けて、すすめ、海賊さん。ワイルドパイレーツ、5人。

1989年初出のトリックテイキング&スゴロク。

マストフォロー、マストラフで獲得したトリックの数だけ船を進めます。

マスにはアクションが指示されたものもあり、そこに止まったら各アクションの処理になるのでプレイヤー毎に狙っていきたいトリック数が異なるのが本作のミソ&醍醐味。

また後からやってきた船に踏まれてしまうと一つ前の錨マスまで戻されます。

デザイナーの意図は読み取れますし、そこは間違いなく楽しめたんですが、現代の洗練されたユーロゲームにたっぷりと舌が肥えてしまった我々が素直に楽しむには些か厳しかったのも事実で、ただそれは本作の瑕疵などでは全くなく、ちょっとしたもどかしさの残る残念な一作だったかもしれません。

気になったのは収束性と負のインタラクション。やはり古いタイトルならではの冗長性は否めず、残念ながら協議終了。“プレイしていて楽しいのでこのまま終わらなければいい”というわけにもいかないわけで、ここからは僕の勝手な自論なんですが、セッションにおいて“早く終わらせたいな”と思えてしまったらそれはそのゲームの最大の瑕疵で、デザインの敗北だと思っています。逆にゲームが終了した時に“ああもっとプレイしたい”と思わせることができればこれは完全にデザイナーの(プレイヤーに対する)勝利なんだとも。

欧米のデザイナーがそんな事を考えていたかどうかは分かりませんが、この30年、収束性について日々進歩を遂げていったことは間違いのない事実で、如何に短い時間内でプレイヤーに高い満足感を与えられるか、そこに神経を割いたゲームデザインが多くのタイトルで試みられてきたはずです。

と同時に31年も前のゲームなのに本質的な本作ならではの妙味は揺るがないものもあって(プレイできたこと自体に対する満足感もあり)感心するなど。うまく現代的にアレンジできればいまでも全然通用する気はしました。6.5


ここで午前の部を終了。昼食休憩となりました。この時点で12名3卓という状況でした。昼食は近場の飲食店に足を運ぶ人もいれば階下のアルプラザでお弁当やら総菜やらを買ってきて会場で食べる人もいましたが、私は後者を選択。売り場に備え付けの電子レンジで温めたのち3階の会場で参加者と談笑しつつ昼食を楽しみました。


ここは遥かなるアイルランド、吹き抜けていく爽やかな風。セルティック。4人。

“ケルトの王グロウベルグに死が近づいています。4つの部族による後継者争いが始まりました。近隣の地域を切り開いたり、外部との交易で最も影響力を高めた部族がケルト民族の皇子となります”

先日よりゲームストアバネストから国内供給の始まった今年の新作。ピック&デリバリの一種といっていいのかどうか分かりませんがおつかい系。

2つあるいは3つの地点に民族を派遣するか、外縁部で商取引を行ってカードを手に入れるかして得点化します。

特徴的なのは手番プレイヤーが移動する際他人も同行できるところで、始点終点の両方が同じであることに制限されますが、これによって効率的に移動できるのは勝利のためには欠かせない重要な要素でしょう。

したがって他人とはなるべく離れないようにしつつ、そのマスを同じくする駒は自分からはなるべく移動アクションを発動させないことが基本的な戦略になるようにも思われました。

もうひとつ特徴的だったのが最終決算の計算方法で、達成した目的地カードの数で制限がかかる中、同種を多数集めてもそれほど高い点数は望めない仕組みはまずまず良くできているかと。

ただ目的地特化型がどうにも強いように思われ、得点計算のバランスには疑問が残ったのと、チケットトゥライドなどと同様に目的地カードの“引き運”はこの手のゲームでは避けては通れない問題ですね。

盤面全体に駒を広げ、目的地カードの“待ち”を広くしたつもりでしたが目的地達成速攻型に終了トリガーを引かれてあえなく敗北。6.0

ケルトの文化がふんだんに反映されたメインボードとボックスのアートワークは美麗そのもの。本日のアートワーク大賞。


餌を狙う鳥と鳥を狙うキツネ、6人ベスト説。にわとりの餌場。6人。

ステファン・ドラの2001年のバッティングゲームです。

6つの“餌場”に毎ラウンドひとつづつキューブ(1~3点)が配置されます。

プレイヤーは手札から裏向きに1枚をプロットします。カードには大きく分けて得点源であるキューブを獲得するための“鳥”(細かい話ですが鳥は各餌場毎ににわとりやアヒルなど全6種類があります。もちろんフレーバーでしかありませんが。)とその餌場に対してプレイされた“鳥”を手札にできる“キツネ”の2種類があります。また全てのカードは各餌場のいずれかに対応しており、強さを示す数値も付されています。

その餌場に鳥1羽でバッティングしなければ全てのキューブが手に入りますが、他にも鳥がいればまずは自由交渉、それでも解決しなければダイスロールで単独勝利者を決定します。

キツネは単独だと空振りで何も起こりませんが、鳥がいればその鳥カードを手札として入手できるチャンスです。キツネも他のキツネとバッティングすればダイスロールでの勝負(交渉は最初からなし)になります。

獲得されなかったキューブは餌場に残るので、場合によってはどんどんキューブが膨れ上がる餌場も出てきてゲームは否が応でも盛り上がるようにデザインされており、この辺りはさすがはドラ、抜かりなしといったところでしょうか。

交渉が嫌いな僕ですが、この程度であれば問題ないですし、特にネガティブな部分が見当たらないお手本のようなバッティングピュアユーロで、名作として長くプレイされつづけるポテンシャルは十分かと。8.0

あえて気になった点を挙げるなら、“セッションによってゲームの面白さの凹凸が出やすい”かもしれないと思われたところでしょうか。盛り上がるセッションもあれば全くそうならないこともあるかな、という。

あと残った手札がそのまま点数になるので6のカードは温存し、キツネをとにかく使っていくという戦法が強いのかどうかはちょっと検証してみたいところです。(とはいえこの時のセッションではうまく大量のキューブを集めたプレイヤーの勝利に終わりましたが。)

アートワークは一目見てこの人とわかるであろうドリス・マテウスですね。


溢れんばかりの大量の木製動物コマの愉悦。ニューヨークズー。5人。

“自然動物園を設計します。最初に完成できるのは誰でしょう”

テンデイズゲームズから国内版の流通が始まったばかりのウヴェ・ローゼンベルクによる新作です。

中央のボード上にてプレイヤーは1個の象コマを共有します。手番ではこの象を時計まわりに進め、止まったマスに応じたアクションを行います。

アクションは囲い地タイルの獲得&配置か動物コマの獲得&配置の2つで、最初に自分のボードをタイルで埋めきったプレイヤーがゲームに勝利します。

象コマを移動した際、繁殖ラインを横切っていたら手番プレイヤーのメインアクションの後で、該当プレイヤー全員による“繁殖”が起こり、つがいの動物たちに子供が生まれます。

囲い地タイルはポリオミノで本作にはテトロミノ(4マス)、ペントミノ(5マス)、ヘキソミノ(6マス)、ヘプトミノ(7マス)の四種類が登場します。

期待の新作でこちらのハードルも上がっていたのですが裏切られませんでした。大きいタイルを配置できれば当然広い範囲をカバーできますが、小さいタイルには動物で埋めやすいというメリットもあったりと細かいルールやひとつひとつの要素がうまく嚙み合っていてゲームの完成度に貢献しているという印象で、ポリオミノに拘り続けてきたローゼンベルクのひとつの到達点といっても過言ではない気がしました。

なによりも勝利条件である“すべての空白地をタイルで埋める”という目的に心の底から熱中できたのが楽しかったですね。ゲームの本来あるべき姿はやはり勝利条件の達成に夢中になれることなんじゃないかとこのセッションで感じました。

気になった点は直感的ではない細かいルールが少々含まれているところでしょうか。とはいえ明確化はされているので、ここはインストの時にしっかり落とし込んで乗り越えていきたい部分です。8.5

しかしポリオミノはローゼンベルクのライフワークになってきた感さえあります(笑)。僕にはここでひとつ区切りができたように思えるのですが、この後もまだ発表されても不思議ではないですね。


メディチから競りを省いても果たしてメディチか問題。メディチ・ザ・ダイスゲーム。4人。

名作メディチのダイスゲーム版です。クニツィアの2020年新作。

手番では5D6してそのうち最大3つのダイスを選択。選んだダイスの数字と商品をシートにマークします。

手番外のプレイヤーは手番プレイヤーに選ばれなかったダイスの中からひとつを選択し、同様にマークしていきます。

3ラウンド制で3回ある決算は相対評価で、各要素で2位までにのみ点数が入る仕組み。

あの名作競りゲームから大胆に競りをばっさりと排除しロール&ライトとして新作が出来上がったという印象で、タイトルからどうしてもメディチと比較したくなりますが、純粋な単独新作として水準以上の出来ではないかと。

ボーナスで絶対評価として10あるいは20点が入るところや点数計算が逐一相対評価のあたりに名作の微かな残り香を感じたりも。

気になったのは全員が同時にシートに書き込むのか、ガチに時計回りで書き込んでいくのか、どちらを選択しますか問題(この時は前者を採用)。面倒ですが個人的には衝立を準備して全員同時がいいように思いました。各自がシートをテーブル中央に寄せてこの衝立ありのやり方も試してみたいかもしれません。

若干の6出ろシステム臭を感じましたが十分楽しめました。7.0


この時点で夕方6時ころ。参加者は19名で4卓が立っていました。この頃合いで退出される参加者も多いので一旦リセットして約30分の休憩タイムとなりました。自分も最後のセッションに向けて甘味と飲み物を補給しました。


やっぱり人生にはティータイムが必要だ。アルバリ。4人。

“レッサーヒマラヤの過酷な環境の中、瓦礫の山を切り崩して開拓し、紅茶畑で茶葉の栽培、収穫を行います。収入を元手にダージリンの町に向けて伸びていくヒマラヤ鉄道の建設に貢献しましょう”

本作でこの日は〆ました。スノードニアの流れを汲むトニー・ボイデルのワーカープレイスメントです。

プレイヤーはリソースの獲得や駅、鉄道の建設、紅茶畑の開拓などを通して勝利点を積み重ねていきます。

特徴的なのは“天候”の存在。天候には晴れ、雨、霧の3種類があり、そのラウンドの天候により一部のパラメータが調整されます。アクションの中にはこれらのパラメータに基づいて効率が左右されるものもあります。天候は翌日と翌々日まで情報として開示されているので、ここに注意を払ったプレイングが重要で、またそれが本作の大きな醍醐味ともなっています。この天候のメカニクスは前作のスノードニアにもあった印象的で記憶に残るメカニクスで、作者のボイデルもここは外せなかったのかもしれません。

やりたいことはたくさんあるのに、ワーカーはたったふたつというのがまずは厳しいところ。実はチャイという貴重な(そして随所で役に立つ!)リソースをふるまうことでティーハウスで休憩中の3人目のワーカーを引っ張ってこれるのですが、そのためには“設備”が必要で、で設備のためには○○が必要で(以下同様に続く)、という連鎖が続き、序盤からひたすらコツコツと足場を築き上げる忍耐が必要な地味で質実剛健なタイトルで、ただ実はここでの効率的なプレイが、見た目にはほとんど差はないのですが、後半に向けて一歩抜きんでるための大切な時間のゲームなのかもしれません。

ひたすら地歩を固めるプレイが続くように感じるからか、ゲームは些か冗長なものに思えるかもしれませんが、この時のセッションがそうだったように、収束は急速に訪れます。集めたリソース等々を勝利点に変換していくフェイズに突入するとゲームは一気に終わりに近づく印象で、プレイヤーがまだ中盤くらいだと高を括っている段階で実は終盤に差し掛かっていると思っていてもいいかもしれません。実際この時もインストを除いた実プレイは約2時間で、これはプレイ中には想定しえなかった時間でした。

それも踏まえて、このゲームのメインは、形を作るまでの地味な時間帯なのかもしれず、好き嫌いもそこで分かれるかもしれません。

僕はこのセッションのためにサマリを作成していたのですが、やや分かりにくい点も少なくない本作ですし、インストを補助してくれる面もあり、このサマリは実に役に立ちました。

この日はセッションを通してルールに若干の不明点が見つかりましたが、シンプルと言っても良い基本的にはオーソドックスで骨太なワーカープレイスメントです。他人より効率的にアクションを積み重ね、盤面に注意を払って適切な判断を重ねることができたプレイヤーは最後に勝利するでしょう。

カードテキストが嫌いな僕にはそこが気になりましたがこればっかりは、ですね。7.0


以上バラエティに富んだ新旧合計8タイトルを終日にわたってプレイし楽しむことができた充実の一日でした。この後会場の後片付けを残った参加者たちと行ってこの日は撤収、会場をあとにしました(そういえばこの日は盛大な忘れ物が2点ありまして。撤収時やや途方に暮れていたところ、この解散の時にタイミングよく当事者が戻ってきてくれたので事なきを得ましたが。いや自分も気をつけよう。とはいいつつ流石にそれは忘れないような気も、などなどw)。なお次回10月の“えちボ”は18日(日)の予定です。


そしていつものラーメン屋さんで恒例の反省会。大盛りラーメン、煮玉子、青菜トッピング。ゲームにどっぷりと集中したせいもあって、いつもこの時間帯はお腹ペコペコなので、体にはよくないと分かってはいても、この誘惑には勝てそうもありません。その分明日からまた頑張るということで!

2019/12/22

“サンスーシ”について

(※この記事はボードゲーム紹介Advent Calendarの22日目の記事として書きました。)

みなさん初めまして。北陸のピュアユーロ信者“サトウハヤト”と申します。短く“はと”と名乗っていたりもします。

毎年楽しく読ませていただく一方のこちらのアドベントカレンダーでしたが、今回初めて書き手のほうで参加させて頂きます。駄文にどうかしばらくお付き合いを。

昨日の記事は九州でボードゲームを楽しまれているKINUさんの個人的年間ベストの発表でした。ノミネートの5タイトルは私も納得のラインナップで読み応えがありましたね。(ところでヴァルシュの“深い谷の酒場”、正式な国内流通はないまま終わるのでしょうか。)





さて今回、私は“サンスーシ”というボードゲームについて紹介したいと思います。

“サンスーシ”はドイツ人のゲームデザイナー、ミヒャエル・キースリングが2013年にラベンスバーガー社から発表したタイトルです。

ミヒャエル・キースリングというと最近では“アズール”が大ヒットを記録したことでその名前をご存知の方も多いかもしれません。
他に“ヘブン&エール”や“リバーボート”などのデザインも手掛けており、ここ最近確実に知名度を上げていますが、本作は彼がまだそれほど有名ではなかった頃のタイトルで(あるいはクラマー&キースリングのネームバリューが強くて、あのクラマーの良き相棒としての認識が一般的だったかもしれませんね)、このゲームタイトルを初めて耳にするプレイヤーも少なくないかもしれませんね。

作品の舞台となった“サンスーシ宮殿”はドイツ北東部の都市ポツダムにあるサンスーシ公園にあるロココ式建築の宮殿です。1745年にフリードリヒ2世によって建てられ、1990年には世界遺産に登録されました。


因みに漢名は“無憂宮”(サンスーシがフランス語の“Sans Souci(憂いなし)”から来ているため)というそうです。


上空から見たサンスーシ宮殿。このように宮殿前が6段の美しい階層構造の庭園になっているのが特徴です。




ではゲーム本体を見ていきましょう。


ボックスです。アートワークはジュリアン・デルヴァル。馴染みのない名前かもしれませんが、チケットトゥライド(乗車券)などを手掛けたアーティストです。言われてみると“ああ、なるほど!”と納得される方もおられるかも。


ボックスの背面。


個人ボードです。9つの列(縦列)と6つの行(横列)からなる全54マスから全体の庭が構成されています。
列には“モチーフ”が、行には“色”が割り当てられています。行に書かれている1から6の数字は条件を満たした時に得られる得点を表しています。
54マスのうち15マスにはすでに庭タイルが描きこまれ、これはすでに庭タイルが配置済みであることを表しています。

この個人ボードは最大プレイヤー数と同じく4枚あり、それぞれに表裏があって全部ユニークなので開始時の庭は全部で8パターンあることになります。


中央に配置されるメインボードです。ちなみにコンポーネントのアートワークはデルヴァルに代わって(僕の大好きな)ハラルド・リースケが担当。


庭タイルです。このタイルを個人ボードのマスに配置していくことで各自が自分の庭園を作っていきます。


庭タイルの裏面。ローマ数字はプレイヤー人数により使用するタイルを選り分けるためのもの。例えば3人プレイならⅡとⅢを使うという具合。4人でプレイする場合もちろん全てのタイルを使います。

庭タイルは9種類のモチーフ毎に9枚あります。4人プレイの場合使うタイル枚数は全81枚となります。特にレアリティはありません。


この庭タイル、持ってみるとよく分かるんですが、しっかりとした厚みのあるもので、この分厚いタイルをパチパチと自分のボードに配置していくことになります。ユーロゲームに顕著な分厚いタイルは僕の好きなコンポーネントのひとつでもあります。


庭タイルをメインボードにセットし、ゲーム開始時のセットアップをしてみました。
手番では中央のカラーリングされた10個の枠内に配置されたタイルのいずれか1枚を選び、自分のボードに配置していきます。
周りには山札として適当にタイルが積まれています。


ゲーム開始時各プレイヤーに配られるカードです。全18枚。これらをシャッフルして各自の山札とした後、そこからドローして2枚を手札として持ちます。


カードの内訳。上から順に50点100点マーカー、自由選択、モチーフ9枚、色8枚で全18枚。

色カードをプレイすると2色いずれかの枠の中のタイルが選べます。つまりこのカードを使った場合常に4択ということになります。
モチーフカードをプレイするとそのモチーフが描かれたタイルのうちから1枚選ぶことになります。
自由選択はいわばジョーカーで、これを使った時のみ10枚の中から自由に1枚を選べます。貴重なカードなのでここぞという時にタイミングを見極めて使っていきたいカードです。


先程のメインボードをアップにしてみました。
階段のモチーフのカードを使うと場の2枚のいずれかが選択できます。噴水のカードであれば1枚しかないので選択肢はないことになりますね。
カードの使い方、タイルの選び方が分かって頂けると思います。


ゲーム開始時の個人ボード。このように上部に貴族9人を配置してゲームを開始します。

この光景、僕なんかは同じくキースリングが今年発表したばかりの新作“雅(Miyabi)”の灯篭コマを配置した時を想起してしまうのですがどうでしょう。同じタイル配置ですし、まあ少々強引ですが“雅(Miyabi)
”のルーツは本作にあるとかないとか、そういう仮説も可能かなと(まあ半ば冗談ですがw)。


プレイヤーは手番ではまずカードをプレイしてタイルを獲得し、それを配置します。

配置はそのタイルがあったメインボード上の枠の色とそのタイルのモチーフに合致したマスにのみ置けます。そのようなマスは1つしかないので配置場所における選択肢はありません。
またもしそのマスにすでにタイルが配置済みの場合、裏面の庭師の方を向けて対応する行か列のいずれかのマスに配置します。それも全て埋まっていた時に限り任意のマスに配置できます。


ゲームが始まって何枚か庭タイルが置かれた個人ボード。

カードをプレイし、タイルを配置したら、貴族を移動させます。この貴族の移動は任意で、毎手番必ず行うアクションではありません。

貴族はタイルに描かれた道に沿って、その列の、より下方(手前)に移動する必要があります。移動の途中で他の列に入ったり、上方に行くのは構いません。移動を終えた時に先程の条件を満たしていればいいわけです。


いちばん左の貴族を赤い線のように移動させてみました。これで4点獲得です。もうひとつ下のタイルまで移動すれば5点だったのですが、


次のラウンドでこのように移動すれば5点なので結果的にはこちらの方が高得点ということになります。このようにして得点を稼ぐのが本作のポイントのひとつなのです。

この後メインボードにタイルを補充し、手札を1枚補充したら手番は終了です。

こうように手番を重ねていき、全18枚全てのカードを使い切ったらゲームは終了です。(この“全てのカードを必ず使い切る”という点もまたポイントのひとつで、そのことを意識したマネジメントも本作の醍醐味のひとつですね。)

ゲームが終わると完成した行や列、そして話が前後してしまいましたがゲーム開始時に配られる2枚の指示カードにより得点できます。


こちらがその指示カード。
最初に配られる2枚の指示カードは最後まで自分だけが知り得る秘匿情報で、これらのカードが配られたあとで、最初の手番の前に、プレイヤーは個人ボードのどちらの面を使うのか選ぶこともできます。

因みに拡張も本体に同梱されています。


これがその拡張ボード。こちらも表裏2面あります。


拡張を取り入れる場合このように個人ボードにセットします。配置するマス、タイルに応じてボーナスやペナルティが発生します。


どうです?なかなか面白そうじゃないですか?シンプルで例外のない実にすっきりとしたピュアユーロであることが分って頂けたでしょうか。

残念ながら既に絶版で国内流通も終了していますが、中古であれば比較的安価で入手もしやすいと思われます。この記事を読んで少しでも興味を持って頂けたのであれば、一度はプレイする価値は十分にあると思います。





さて最後に蛇足といいますか、僕の本作に対する印象を少々。

このようにルール自体は簡単で分かりやすいファミリーゲームですが、パズルチックでインタラクションは希薄、また手なりでのプレイに終始しやすい傾向など僕自身の好みのコアな部分とはやや外れるというのが実は正直なところです。

ただそれは個人の好みの問題であり、端正で素直な完成度の高いピュアユーロ特有の輝きは発表から6年を経ても陰ることはなく、もし本作が話題にならないという理由でボードゲーム愛好者の記憶から消えていってしまうのはなんだか惜しい気がした事もあり今回このように紹介してみました。

実際本作は発表の翌年にSdJのリコメンドを獲得しており、それは本国ドイツでの評価の高さを窺わせます。
またあの(ピュアユーロには些か厳しい)BGGでレート7.1(2019年現在)というのも意外だったりします。

(それらを勿論否定するわけではありませんが)ここには派手な特殊効果やコンボも濃厚で魅力的なフレーバーもガチガチの競技性もヒリヒリするようなマゾヒズムもありません。ここにあるのはピュアユーロ特有の淡泊な味(そしてそれのみ)です。濃厚で高級なグルメ料理に食べ飽きてしまったなら、時にはこんな一汁一菜は如何でしょうか。

(この流れでピュアユーロの定義や魅力についても色々と考察してみたくなりましたが、話が長くなりそうなのでそちらはまた別の機会にでも…。)

明日はご自身がゲームデザインもされているあかしあさんの記事です。こちらも楽しみですね。では!

2015/09/30

UDA9月ゲーム会(2015/09/26)

月1のペースで毎月開催している土曜日のクローズ会でプレイできたタイトルの感想です。

見事KDJに輝いたペリカン&プフィスターの“ブルームサービス”。

“魔法にかかったみたい”から継承されたトリックテイクのマストフォローさながらのメカニクスと“強気/弱気”という強弱二段階あるアクション。このふたつをうまく融合させることで本作ならではの妙味を産み出すことに成功しているのが非常に印象的。

ボード上の状況をよく分析した後に、他人の動向やリターンを考慮した最適な行動などを考えたうえでのアクションプロットの悩ましさ(ジレンマ!)と、当初の思惑通りに事が運んだ時の爽快感は得難いものがあり、なるほどKDJも納得の出来の面白さ。Positive-

自コマが二つあるのが良い点で、これにより視野が広がるというか余裕が生まれるというか、選択肢が広がり、また時には事後の策として保険にもなり得、いい意味でアクションプロットにおいて嫌なプレッシャーを低減させているように思いました。

つづいて“ルイスクラーク探検隊”のダイスバージョン、“ディスカバリーズ:ルイスクラークの足跡”。

手番でまずは二択のアクション選択。A)ダイスの配置、B)ダイスの回収&ダイスロール、のいずれかを選択する。

ダイスには自分の色、他人の色、中立の色の3つがあり、そのどれもが等しく自分のアクションに利用できるが、他人の色のダイスはそのプレイヤーが手番でBを選択した時に有無をいわさず回収されてしまうリスクがあり、この辺りの興味深いメカニズム、ダイスの動きが本作ならではのインタラクションを生んでいるのがひとつの注目点。

地味で華やかさには乏しいが、地に足の着いた良質なやや軽めのゲーマーズゲームという印象で、これはこれでしっかりゲームとして完成している。Positive-

前作にあたるボード版は僕にはトゥーマッチですでに放出済みだが、高い収束性もあって、本作はリプレイ欲求も高く、今後もちびちびとプレイしていきたい味わい深い一品になり得そう。

クレメンス・フランツの味わい深いアートワークを纏った、本国で発売されたばかり、日本国内流通はまだ始まっていない今エッセンの新作、“スカイアイランド”。

“ブルームサービス”のペリカン&プフィスターの最新作は値付け&タイル配置。

袋から引いた3枚のタイルについて2枚は値付けし、1枚は廃棄、これを各自の衝立ての中で秘密裏に行う。この処理を終えたら衝立てを外してスタPから他人のタイルを(望むならその値段で)購入し自分の場に配置するという流れ。他人に買われなかったタイルは責任もって(笑)自分で購入する。

この根本となる(というか寧ろこれしかないとも言える)エンジンひとつで不満点や諸問題が解決されており、洗練された2015年型最新のピュアユーロタイル配置ゲームの座を獲得しているという印象。Cで始まる名作タイル配置ゲームが短くない年月を経てここまで来たのだという感も。Positive-

ルックアウトというとローゼンベルクをはじめとした重量級が多い印象があるけれど、本作は全6ラウンドがあっという間で、この収束性こそが今日のピュアユーロということだろうか。

毎回異なる決算のタイル(リプレイアビリティに貢献!)とラウンド毎に決められたオンの仕組みなども素晴らしく、そこから実は存外高い競技性も感じる。

大きな話題となったデビュー作“宝石の煌き”のマーク・アンドレの第二作“バロニィ”。

真価を問われるのは第二作ということで、僕自身かなり注目していた本作をこの日ようやく初プレイ。

評判のとおり運要素のないマルチな多人数アブストラクトで、切れ味の鋭い日本刀のような、一切の言い訳を否定するかのような佇まいにはおそらく好き嫌いが分かれるのではないかと。

微妙に調整されたカタン式の初期配置や得点の加算方法、各種ユニットの特質など(唯一の可動するコマ騎士は若干色が薄い点などは実に細かい配慮!)に作者マーク・アンドレのチューニング魂を感じてしまうのは私だけ?

ゴールという一点をめざして、そこまでひたすら無駄のない一手を打ち続けないといけないという感触から僕などは“ああこの辺が宝石の煌きそのものじゃねえか”と感じいった次第で、この辺り例えるなら陸上トラック競技ではもっとも辛い400とか800なんかの中距離走をイメージしてしまうのですよね。だからこの人のゲームはなんだかとっても辛い(笑)。

純粋な思考型のテーブルゲームで、好きな人にはたまらない魅力はあるかと。まあ強い人には一生勝てないタイプだろうけれど。ただ完成度は間違いなく高い。が評価はやや厳しくNeutral+

たった4ページのルールの潔さである。

クニツィア2002年のタイトル、“ドラゴンズランド”。

二つの六面体ダイスを使った変型すごろく&セットコレクションの佳品。

ボックスアートやタイトルもそうだが、見た目が(まあそして実際のところ)ゼロ年代の良質な間口広めのファミリーストラテジということもあって、当初ダイスは普通の6面体ダイスだと信じて疑わずに(まあそりゃそうだw)プレイしていたのだけれど、出目がどうも偏ってるなあと参加者一同が疑問に思い、検証したところ実は二つともかなり出目がデフォルメされているユニークの変型6面体ダイスであることが発覚し、全員が驚いたあの瞬間が実はこの日のハイライトだったかも(笑)。

クニツィアですし、緻密な確率計算のもとにこうなったのでしょうね。いや流石は一流のデザイナーだなあ、と感心するなど。抜かりないですよ、ほんとに。

そのダイスの貢献も大きかったのでしょう、ゲーマーのみでのセッションは中だるみもなく、ピリリと終始締まった展開で、終了のタイミングをめぐる駆引きも熱いものが。Neutral+

自分はずっと割と上手くいっている(勝利にも絡めている!)と思っていたのですが結果は散々で、敗因がどこにあったのか、翌日もぼんやりと考えていたりしました。

あと久しぶりに“イリウム”がやりたくなったり。昔よりほんとクニツィア好きになったなあとw

同じくクニツィア、こちらは2008年作“キャステラーズ”。

インパクト十分の木製コマからバランスゲー臭や下手するとネタゲー臭すら感じてしまいますが(まあそれもしょうがないw)内実はルールがしっかり機能しているファミリーゲーム。

手番では3種のアクションから2つのアクションを実行。潔く簡潔した塔(人間の!)の組み立てルールや程良い他者との絡みからの良質なインタラクション、何かしら有用でほぼ無駄にはならない点に起因していると思われる木製コマの巾着袋からのドローも運要素はちょうどいい塩梅という印象で、いやはやトータルに良く出来た隠れた佳作。Neutral+

絶版で入手が難しいのが残念ですが、クニツィアはいま国内版オリジナルでの再版がブームだし、これなんかもいいんじゃないですかね、と思ったり。

袋の中に手を突っ込んでゴツゴツとした大きめの木製コマを引っ張り出してくるこの感覚こそアナログゲームならではの魅力!

そして最後にワレスの“ラ・ストラーダ”で〆ました。

ワレスにしては珍しいくらいの軽めの(陣取り要素強めの)ネットワークビルド。

アクションポイントによるコストの支払いで“道”を引き目的地をつなげることで得点源とします。

非常に簡潔に整理されているルールに起因しているのでしょう、プレイ感は軽快といってもいいくらいですが、強い強いインタラクションやなるほどあの“蒸気の時代”の作者だなとはっとする瞬間もあるなどジレンマや思考性は十分に確保されており、おやおやワレスはこういうのも作れるのだなあ、と。Neutral+

コスモスからの出版ということもあってか、本作はもっぱらピュアユーロそのもので(しかも2015年の今プレイしても十分面白い)、そこにワレスの多面的な魅力を確認することができたのはこの日の収穫のひとつだったかと。こうなると未プレイのまま棚に眠っているもうひとつのコスモス発ワレス“チロス”も俄然プレイしたくなってくるわけです。


以上この日はこの他カードゲームをふたつプレイ。テーブルゲームの持つ豊かな魅力をたっぷりと堪能できた実りある一日でした。

2015/03/17

シュリンクを斬る!㊶ “ネプチューン(Neptun)”の巻

ディルク・ヘンが昨年のエッセンにて発表した新作“ネプチューン”の箱を開けたのでこちらでレポートします。

もはやすっかりお馴染みとなったクィーンの大箱です。

しっかりシュリンクがかかってます。

それではシュリンクを切ります。

ズブズブ…

できた切れ目からシュリンクを剥がします。

バリバリ…

ムシャムシャ…

はいシュリンクを取り払いました。

作者ディルク・ヘンのクレジットと真っ赤なタイトルロゴ。

お馴染みクィーンのロゴも。

仕様の表記。おやドイツ語のみ?

ボックス裏面。

作者やアートワーク担当者のクレジットが。

製造はEU。クィーン社の住所も。

それでは箱を開けます。

ぐぐぐ…

ぱかっ。

一番上に入っていたのはルールブックでした。

ルールブックを取り出しました。

珍しくドイツ語のもの1冊のみ。ボックスの表記のとおりです。

つづいてゲームボード。

取り出しました。

四つ折りです。

広げてみました。正方形のボードです。

美しい地中海が描かれたマップです。

ボード裏面。

この人がタイトルにもなっているネプチューンでしょう。

つづいてパンチングシート。

広げてみたところ。

全てのタイルを打ち抜きました。

これが“契約チャート”。

裏面にはプレイヤーカラーが刷られています。

コインです。通貨としての単位は設定されていないようです。

左が“距離マーカー”、右の船は“ボーナスタイル”。

“得点タイル”です。

裏面にはこの通り地域とラウンドが。

それぞれを小袋に仕分けました。ちなみにダイソーの2番を使っています。

つづいてカードです。

フィルムを剥がします。

このとおり。全部で110枚。

全部で3種類。

都市カード30枚。

商品カード30枚。

オールカード50枚。

裏面はこの通り。

カードは3種ともまとめて一袋に。

そして木製駒。

検品も兼ねて並べてみました。欠品はなし。

ゲーム開始時に各プレイヤーに支給される“船”。

そして“プレイ順マーカー”と“神殿トークン”。

特に分けることもせず小袋にまとめて納めました。

箱にコンポーネントを納めます。

こんな感じで上段、下段で分けてみました。

ボードで蓋。

最後にルールブック。

終了。

地中海を舞台にした軽中量級の交易ゲームの登場です。ノンテキストのピュアユーロ、プレイが楽しみです。