2015/09/30

UDA9月ゲーム会(2015/09/26)

月1のペースで毎月開催している土曜日のクローズ会でプレイできたタイトルの感想です。

見事KDJに輝いたペリカン&プフィスターの“ブルームサービス”。

“魔法にかかったみたい”から継承されたトリックテイクのマストフォローさながらのメカニクスと“強気/弱気”という強弱二段階あるアクション。このふたつをうまく融合させることで本作ならではの妙味を産み出すことに成功しているのが非常に印象的。

ボード上の状況をよく分析した後に、他人の動向やリターンを考慮した最適な行動などを考えたうえでのアクションプロットの悩ましさ(ジレンマ!)と、当初の思惑通りに事が運んだ時の爽快感は得難いものがあり、なるほどKDJも納得の出来の面白さ。Positive-

自コマが二つあるのが良い点で、これにより視野が広がるというか余裕が生まれるというか、選択肢が広がり、また時には事後の策として保険にもなり得、いい意味でアクションプロットにおいて嫌なプレッシャーを低減させているように思いました。

つづいて“ルイスクラーク探検隊”のダイスバージョン、“ディスカバリーズ:ルイスクラークの足跡”。

手番でまずは二択のアクション選択。A)ダイスの配置、B)ダイスの回収&ダイスロール、のいずれかを選択する。

ダイスには自分の色、他人の色、中立の色の3つがあり、そのどれもが等しく自分のアクションに利用できるが、他人の色のダイスはそのプレイヤーが手番でBを選択した時に有無をいわさず回収されてしまうリスクがあり、この辺りの興味深いメカニズム、ダイスの動きが本作ならではのインタラクションを生んでいるのがひとつの注目点。

地味で華やかさには乏しいが、地に足の着いた良質なやや軽めのゲーマーズゲームという印象で、これはこれでしっかりゲームとして完成している。Positive-

前作にあたるボード版は僕にはトゥーマッチですでに放出済みだが、高い収束性もあって、本作はリプレイ欲求も高く、今後もちびちびとプレイしていきたい味わい深い一品になり得そう。

クレメンス・フランツの味わい深いアートワークを纏った、本国で発売されたばかり、日本国内流通はまだ始まっていない今エッセンの新作、“スカイアイランド”。

“ブルームサービス”のペリカン&プフィスターの最新作は値付け&タイル配置。

袋から引いた3枚のタイルについて2枚は値付けし、1枚は廃棄、これを各自の衝立ての中で秘密裏に行う。この処理を終えたら衝立てを外してスタPから他人のタイルを(望むならその値段で)購入し自分の場に配置するという流れ。他人に買われなかったタイルは責任もって(笑)自分で購入する。

この根本となる(というか寧ろこれしかないとも言える)エンジンひとつで不満点や諸問題が解決されており、洗練された2015年型最新のピュアユーロタイル配置ゲームの座を獲得しているという印象。Cで始まる名作タイル配置ゲームが短くない年月を経てここまで来たのだという感も。Positive-

ルックアウトというとローゼンベルクをはじめとした重量級が多い印象があるけれど、本作は全6ラウンドがあっという間で、この収束性こそが今日のピュアユーロということだろうか。

毎回異なる決算のタイル(リプレイアビリティに貢献!)とラウンド毎に決められたオンの仕組みなども素晴らしく、そこから実は存外高い競技性も感じる。

大きな話題となったデビュー作“宝石の煌き”のマーク・アンドレの第二作“バロニィ”。

真価を問われるのは第二作ということで、僕自身かなり注目していた本作をこの日ようやく初プレイ。

評判のとおり運要素のないマルチな多人数アブストラクトで、切れ味の鋭い日本刀のような、一切の言い訳を否定するかのような佇まいにはおそらく好き嫌いが分かれるのではないかと。

微妙に調整されたカタン式の初期配置や得点の加算方法、各種ユニットの特質など(唯一の可動するコマ騎士は若干色が薄い点などは実に細かい配慮!)に作者マーク・アンドレのチューニング魂を感じてしまうのは私だけ?

ゴールという一点をめざして、そこまでひたすら無駄のない一手を打ち続けないといけないという感触から僕などは“ああこの辺が宝石の煌きそのものじゃねえか”と感じいった次第で、この辺り例えるなら陸上トラック競技ではもっとも辛い400とか800なんかの中距離走をイメージしてしまうのですよね。だからこの人のゲームはなんだかとっても辛い(笑)。

純粋な思考型のテーブルゲームで、好きな人にはたまらない魅力はあるかと。まあ強い人には一生勝てないタイプだろうけれど。ただ完成度は間違いなく高い。が評価はやや厳しくNeutral+

たった4ページのルールの潔さである。

クニツィア2002年のタイトル、“ドラゴンズランド”。

二つの六面体ダイスを使った変型すごろく&セットコレクションの佳品。

ボックスアートやタイトルもそうだが、見た目が(まあそして実際のところ)ゼロ年代の良質な間口広めのファミリーストラテジということもあって、当初ダイスは普通の6面体ダイスだと信じて疑わずに(まあそりゃそうだw)プレイしていたのだけれど、出目がどうも偏ってるなあと参加者一同が疑問に思い、検証したところ実は二つともかなり出目がデフォルメされているユニークの変型6面体ダイスであることが発覚し、全員が驚いたあの瞬間が実はこの日のハイライトだったかも(笑)。

クニツィアですし、緻密な確率計算のもとにこうなったのでしょうね。いや流石は一流のデザイナーだなあ、と感心するなど。抜かりないですよ、ほんとに。

そのダイスの貢献も大きかったのでしょう、ゲーマーのみでのセッションは中だるみもなく、ピリリと終始締まった展開で、終了のタイミングをめぐる駆引きも熱いものが。Neutral+

自分はずっと割と上手くいっている(勝利にも絡めている!)と思っていたのですが結果は散々で、敗因がどこにあったのか、翌日もぼんやりと考えていたりしました。

あと久しぶりに“イリウム”がやりたくなったり。昔よりほんとクニツィア好きになったなあとw

同じくクニツィア、こちらは2008年作“キャステラーズ”。

インパクト十分の木製コマからバランスゲー臭や下手するとネタゲー臭すら感じてしまいますが(まあそれもしょうがないw)内実はルールがしっかり機能しているファミリーゲーム。

手番では3種のアクションから2つのアクションを実行。潔く簡潔した塔(人間の!)の組み立てルールや程良い他者との絡みからの良質なインタラクション、何かしら有用でほぼ無駄にはならない点に起因していると思われる木製コマの巾着袋からのドローも運要素はちょうどいい塩梅という印象で、いやはやトータルに良く出来た隠れた佳作。Neutral+

絶版で入手が難しいのが残念ですが、クニツィアはいま国内版オリジナルでの再版がブームだし、これなんかもいいんじゃないですかね、と思ったり。

袋の中に手を突っ込んでゴツゴツとした大きめの木製コマを引っ張り出してくるこの感覚こそアナログゲームならではの魅力!

そして最後にワレスの“ラ・ストラーダ”で〆ました。

ワレスにしては珍しいくらいの軽めの(陣取り要素強めの)ネットワークビルド。

アクションポイントによるコストの支払いで“道”を引き目的地をつなげることで得点源とします。

非常に簡潔に整理されているルールに起因しているのでしょう、プレイ感は軽快といってもいいくらいですが、強い強いインタラクションやなるほどあの“蒸気の時代”の作者だなとはっとする瞬間もあるなどジレンマや思考性は十分に確保されており、おやおやワレスはこういうのも作れるのだなあ、と。Neutral+

コスモスからの出版ということもあってか、本作はもっぱらピュアユーロそのもので(しかも2015年の今プレイしても十分面白い)、そこにワレスの多面的な魅力を確認することができたのはこの日の収穫のひとつだったかと。こうなると未プレイのまま棚に眠っているもうひとつのコスモス発ワレス“チロス”も俄然プレイしたくなってくるわけです。


以上この日はこの他カードゲームをふたつプレイ。テーブルゲームの持つ豊かな魅力をたっぷりと堪能できた実りある一日でした。

2015/03/17

シュリンクを斬る!㊶ “ネプチューン(Neptun)”の巻

ディルク・ヘンが昨年のエッセンにて発表した新作“ネプチューン”の箱を開けたのでこちらでレポートします。

もはやすっかりお馴染みとなったクィーンの大箱です。

しっかりシュリンクがかかってます。

それではシュリンクを切ります。

ズブズブ…

できた切れ目からシュリンクを剥がします。

バリバリ…

ムシャムシャ…

はいシュリンクを取り払いました。

作者ディルク・ヘンのクレジットと真っ赤なタイトルロゴ。

お馴染みクィーンのロゴも。

仕様の表記。おやドイツ語のみ?

ボックス裏面。

作者やアートワーク担当者のクレジットが。

製造はEU。クィーン社の住所も。

それでは箱を開けます。

ぐぐぐ…

ぱかっ。

一番上に入っていたのはルールブックでした。

ルールブックを取り出しました。

珍しくドイツ語のもの1冊のみ。ボックスの表記のとおりです。

つづいてゲームボード。

取り出しました。

四つ折りです。

広げてみました。正方形のボードです。

美しい地中海が描かれたマップです。

ボード裏面。

この人がタイトルにもなっているネプチューンでしょう。

つづいてパンチングシート。

広げてみたところ。

全てのタイルを打ち抜きました。

これが“契約チャート”。

裏面にはプレイヤーカラーが刷られています。

コインです。通貨としての単位は設定されていないようです。

左が“距離マーカー”、右の船は“ボーナスタイル”。

“得点タイル”です。

裏面にはこの通り地域とラウンドが。

それぞれを小袋に仕分けました。ちなみにダイソーの2番を使っています。

つづいてカードです。

フィルムを剥がします。

このとおり。全部で110枚。

全部で3種類。

都市カード30枚。

商品カード30枚。

オールカード50枚。

裏面はこの通り。

カードは3種ともまとめて一袋に。

そして木製駒。

検品も兼ねて並べてみました。欠品はなし。

ゲーム開始時に各プレイヤーに支給される“船”。

そして“プレイ順マーカー”と“神殿トークン”。

特に分けることもせず小袋にまとめて納めました。

箱にコンポーネントを納めます。

こんな感じで上段、下段で分けてみました。

ボードで蓋。

最後にルールブック。

終了。

地中海を舞台にした軽中量級の交易ゲームの登場です。ノンテキストのピュアユーロ、プレイが楽しみです。