2013/07/27

越前市(福井)ボードゲームの会 7月ゲーム会('13/07/21)

私が主催している地元オープンゲーム会でプレイできたゲームについての簡単な感想などです。

開始時間より2人でこのゲーム。スパ帝国の“クエスト・フォー・ザ・ニュー・ワールド”。

1から5までの5枚の手札をプレイして場札を獲得していくセットコレクション。

国産の2人用同人ゲームですが、これが実に素晴らしい出来。

“ジレンマの円環”とでもいえばいいのか、裏の裏の裏の…といった具合に駆け引きをめぐる思いはどこまでも続いていくもので、これはひとえにゲームメカニクスの勝利かと。

“小さくて完璧なゲームを作ろう”というスパ帝国さん自身のモットーはすでにほぼ達成されていますね。

こんなシンプルで完結したシステムのゲーム、既発のドイツゲームに似たようなものがあっても不思議ではないのですが、いまのところちょっと思い浮かびませんね(うーん、あったかなー)。

3人でジャック・ゼメの“ペリカン・ベイ”。

3種類の地形が合うように配置していき加点していくタイル・プレイスメント。

引き運が強めなのはまあ競技的になりすぎて発生するデメリットを避けるためのものでしょうからそれはそれで納得。

ペリカンコマの取り合いは単純にトッププレイヤーに対するストッパーとしてのものでしょうが、逆にトップの独走の補助にもなりかねず、この辺りマルチプレイヤーズゲームは難しいなあ、と思ったり。

面白さもあって良いゲームだと思いましたが、微妙にノットフォーミー臭。完成一歩手前というか、ファミリーゲームではない感覚がマイナス方向への評価へ向かわせているのかな。

午後イチはこのカードゲームから。“スシゴー!”。

シンプルなドラフト&セットコレクション。

可愛いアートワークとメカニクスの妙味などトータルで見た作品全体の完成度はすばらしく高いかと。

フリークにも競技としてセッションを十分に楽しめる穴のないシステムながら、ビギナーを取り込むのにも十分な間口の広さで、これは良くできたカードゲームの登場だと感心しきり。

ドラフトとセットコレクションの相性は抜群ですね。

作者フィル・ハーディングはたしか“考古学カードゲーム”の人だったはず。あれもセットコレクションの佳品でしたね。

今年度のカードゲームベスト3に入りそうな予感があります。是非プレイを!

なんといってもコンポーネントのインパクトが大きい“イースター島”。4人。

ジレンマの妙味が味わえる一種のレースゲーム。

コロヴィー二とランドルフによる1994年のタイトルです。

何度も繰り返しプレイしたくなるようなタイトルではありませんが、メカニクスとコンポーネントのマッチングはハズしてはいませんし、30分でこれだけのセッションが楽しめるのならまずまず。

山札を作る時に捨て札をリシャッフルしないというルールはゲームをひとえに競技性の向上へと向かわせるもので、この点が本作の最大のネックか。良い面もあれば悪い面もあるかなと思います。

実際の石をコンポーネントに使用した“石ゲー”。“石ゲー”だけでちょっとした特集が作れそうですね。(←読んでみたいw)

5人で“ワンナイト人狼”。

あっさりと終わるプチ人狼で、まあこれはこれでありかと。

これで何度目かのセッションですが人狼側はやっぱりつらいかなw まだ人狼になったことないですけどねw

シュタウペの“もっとよせて!”。

1から100までの100枚のカードを使用するシンプルなハンドマネジメント。

3回目のプレイで、さすがに初回時のインパクトこそなくなりましたが、手軽にジレンマが楽しめる良作という印象は変わりません。

ディールされた手札次第とみる運要素の強い側面もありますが、まあそういうゲームですからねw

ワンディールで終了するには早すぎるかな。規定点数を決めるか、規定ラウンド制がいいかもしれませんね。

これもビギナーへの間口の広さはすばらしいですね。それでいながら、ある程度先の展開が読めることからくるジレンマもあって、流石はシュタウペ。

日本同人ゲーム界の雄、カナイ製作所の“シークレット・ガーデン”、5人。

ゲームマーケット2013春にてプロトタイプが一人一部制限、限定50部が頒布されたカナイ製作所の文字通りの新作(というかまだ製品版未発売なので新作以前の状態ですが)。

“姫・旅人”サイドと“大臣”サイドに秘密裏に分かれ、互いに相手側の正体を探っていくカナイ版“人狼”。

ゲーム開始時に配られる役割カードによって役割が決定され、ラウンドごとに配られる行動カードによってアクションを行っていくという構図。

何をしゃべってもよいと規定されていますが、アクションのひとつひとつは厳密に規定されており(つまりこの部分では質問と回答に厳格なルールがある)、セッションの間は各プレイヤーが論理の深いの森の中をさまようことになります。

人狼というよりは収束性のよい論理的な犯人当て推理ゲームに近いという印象。

人狼やレジスタンスとはまた違う、これは純粋なカナイ製作所の新作オリジナルゲームで、実際のところ実にカナイ製作所らしさが随所で味わえる一作。

おそらく入念な調整が施された製品版が今後発売されることになると思いますがこれは期待したいところです。


メビウス便にて入手して以来長らく積んでいた“アーティファクト”をようやくプレイ、4人。

1から4の4枚の手札をプロットして宝物の欠けらを収集していくプロット&バッティングゲーム。

収束性よく、卒のない良質なドイツゲームで十分面白いのですが、逆に特筆すべき点も少ないか。

間口は広く、良質な適度ゲームなので、若干ドイツゲームを齧ったようなプレイヤーには最適かも。

ドイツゲームらしい素晴らしい3種類の木製コマ(ノッポ、女子、太っちょ)があるのですが、ノッポと女子の区別がややつきにくいのが少々残念。

最後はこれで〆ました。オインクゲームズの“小早川”、5人。

シンプルなルール、見事な収束性、のしかかるジレンマなどなど、コンポーネントやアートワークも含めて良質な国産タイトル。

どこまでもチキンなプレイで(笑)、ほとんど勝負を挑むことなく終わるというww

こんなタイトルが発表されるのであれば今後もオインクゲームズには注目し続けるだろうな、という一作かな、と。

この他、写真を撮り忘れてしまいましたが、日本語版が発売されたドット絵お絵かきゲーム“PIX”も9人でプレイ。多数の傑作とともにセッションは盛り上がりました。


以上にてこの日はやや早め(午後6時半ころ)に閉幕。

厳しい暑さの中、会場にお越しいただいた参加者の皆様に感謝。また一緒にボードゲームを楽しみましょう。

2013/07/12

シュリンクを斬る!㉑ “ピックス(pix)”の巻

いま話題の新機軸お絵かきゲーム、“ピックス”のシュリンクを切ったので簡単にレポートします。


ボックス表面。タイトルがドットで表現されています。


それでは切ります。


シュリンクをはがしていきます。ぺりぺり。


ばさーっ。


おっと、これは日本語ルールブックでしたか。


表に回り、シュリンクはがし、終了。


仕様です。すべてがドットw


ボックス背面はこんな感じ。


問題集ですね。分かります?


こちらがルールブックの表紙です。ちょっと見てみます。


ルールが2ページで書かれています。すべてピクセル。いいですねー、こういうの好きですw


ルールブック裏面。


結局絵を描くのは得意でも苦手でもよいと…w


それでは箱を開けます。ぐぐぐ…。


ぱかり!


中身はこんな感じ。


上箱裏面。傑作集記録用ですね。なるほどあれは“タクシー”かw


中身を取り出していきます。


このようにブリスターが挟んであり、いわば2段仕様になっています。


ブリスターを取りました。


中身をすべて取り出しました。


カードのシュリンクを剥がしていきます。


こんな感じでお題とヒントが二つづつ書かれています。


こんなカードも用意されていますね。


中身はこんな感じ。“ケンタウロス”とか“ノアの箱舟”とかってww


こちらが各プレイヤーに支給されるマグネットボード。しっかりと厚みがあり、重いです。



このように全部で9枚あります。黒だけ3枚ありますね。


これが得点チップ。正解すると正解者と絵を描いた人それぞれがひとつもらえます。


絵を描くのに使うドットです。各プレイヤーが黒20個、赤1個、矢印1個を持ちます。


すべてに磁石がついています。


私もひとつ挑戦。うわ、意外にムズイw ヒントは今日のお昼に食べたものです。


それでは箱に戻していきます。


ブリスターで蓋をして…


最後にボード類をのせる。


日本語ルールブックで蓋。


はい、終了。


想像力でもって自由な発想を楽しむ新しいお絵かきゲームの登場です。今度のゲーム会に持ち込んでみようと思います。

(ちなみに私の出題、正解は“ラーメン”でした。分かった人、いたかな…。)

UDAゲーム会(2013/07/06)

毎月恒例となりつつある月イチ土曜日の自宅ゲーム会です。先日7月分を開催したのでプレイしたタイトルの感想を簡単にレポートします。


この日はこのタイトルから開始。ムーン&ワイスブルムの“オアシス”。

各プレイヤーが公開したカードのセットを1番手から選択し、内容をアクションとして即時処理していきます。

明快で完結した完成度の高いメカニクスが高いプレイアビリティ、豊かなインタラクション、そして収束性などを同時に実現している、世評の高さも頷ける実に良質な陣取り型ドイツゲーム。

効果の高いアクションの供与はすべからく他プレイヤーの利益となりますが、その見返りに早い番手を得られる可能性も高く、そこは悩みどころ。良質なジレンマです。

最終的な勝利点も陣地の数と勝利点タイルの枚数の積で計算されるため、各プレイヤーの思惑が濃厚に交錯するのも熱い。

惜しくも1点差で惜敗。ほとんど1番手を獲得できず、陣地も伸び悩んでいたため勝利は意識していなかったので思わぬ善戦は予想外でした。

これは今後も末永くプレイしたい一品。ガチな陣取りなのである種のストレスは覚悟した方がいいでしょうか。4人がベストかな。

ムーンならではのある種のマイルドな感覚ってないですか? ムーンに対する好き嫌いはその感覚を受容できるかどうかじゃないかと思うこともあります。


ハラルド・リースケによる“晴れたらいいね”。

4種の地形からなるヘックスで埋められたボードに6種の天候チップを配置し、帰宅の途を急ぐ村人を先導していきます。

天気を真っ向からメインテーマに据えたその斬新さにまずは一票。

例えば湖に雪を降らせることで凍らせ通行可能になるといったその類いのアイデアは面白いですし、僕も魅力を感じましたが、ゲームとしての完成度はあと一歩という気も。

とはいえチャレンジングな独創性は印象的で、童話“北風と太陽”を思わせる存在感たっぷりの木製コマもあって、プレイヤーの記憶に残るタイトルだなー、と。

マップの中央部は混雑が予想されるので、急がば回れとばかりに迂回した方が早い帰宅を期待できるかもしれませんね。


ステファン・ドーラによる2001年作の多人数アブストラクト、“メディナ”。

荒廃した都市メディナをプレイヤーたちが復興していくというテーマで、ずっしりとした大きめの木製コマがボード上に並べられていく様はテーマとも見事にマッチしており、雰囲気は素晴らしい。

衝立により各プレイヤーの持ちコマは隠されていますが、運要素はゼロで、言い訳の一切できないガチ勝負のアブストラクト。

手番ではルールに則って二つのコマを配置していくだけのシンプルなシステムながら、どこで屋根を配置し自分の宮殿として確保するか、その判断にのしかかるジレンマは相当なものです。

多人数アブストラクトはいろんな意味で難しい部分があるように思っていますが、本作は卒なく上手くまとめられており、これはドーラのデザインの勝利ではないかと。

やばい、面白いじゃないか! ということでこの日のベストはこのタイトルに。

好き嫌いはかなり分かれそうですが、ほぼシステムのみで構成されている完成度の高いゲームのお手本のようなタイトル。

勝敗結果は惨敗でしたがプレイできて本当に良かった。こんなドイツゲームと出会えるから旧作もやめられないんですよね。


“アルハンブラ”のダイスゲームバージョン、“アルハンブラ・ダイスゲーム”を久しぶりに立卓。作者はもちろんディルク・ヘン。

手番では2回までのリロールが可能なダイスロールでもって建築ポイントを稼ぎ、勝利点の獲得をプレイヤーそれぞれが目指します。

ダイスゲームはダイスロールがシステムの中核に据えられている以上、運要素が強めであることは一般的には免れませんが、そのダイスロールの結果がどのようにシステムに取り入れられているかによって、パーティよりのシンプルな運ゲーにもなれば、フリーク向けのストラテジックな要素もあるタイトルになり得るところが面白いところ。

本作は若干の戦略性が上手く取り入れられたファミリー向けのバランスの良いダイスゲームで、間口は広く、新規プレイヤーの参入しやすいタイトル。

各種チップの使いどころやレーンの選択がよいジレンマを生み出しており、運だけで勝敗が決まってしまうようなバランスではないので、僕のようなフリークでもセッションを十分に楽しむことが出来ました。

逆転の難しさは本家“アルハンブラ”同様で、今回のセッションでも序盤でのリードが埋められることなくゲームが収束してしまい、この辺りで好き嫌いが分かれるかもしれません。ただ総じて良質なダイスゲームだというのが僕の感想です。


おなじみクニツィアの“ラー”の自身によるリメイク、“ラーの司祭”。これも久しぶりのプレイ。

本家との大きな違いは多くのタイルに表裏の別があり、ドローしたプレイヤーがどちらの面を使用するか選択できる点。

なるほど!と納得できるアイデアの導入で、元々のタイトルのシステムが時の風化に耐えうるに十分な強度を持っていたこととも相俟って、これも十分に面白いドイツゲーム。

個人的にはタイルの表裏の選択がもっと戦略的で、そこがゲームとしての面白さに直結していたほうがベターか、とも思いましたが、セッションを重ねることでタイル毎の得点方法がすべて頭に入っているような習熟したプレイヤー同士のゲームであれば十分戦略的でヒリヒリするような展開になりそう。

覚えるまでは点数計算についてプレイヤーひとりひとりにサマリがあったほうが絶対良かったかな(というか必須か)。

“ラー”とこれとどちらに軍配を上げるか、僕はまあ“ラー”の絶対的ともいえる完成度の高さを選びますけど…。


アラン・R・ムーンを代表するシリーズの目下のところの最新作、“エアラインズ・ヨーロッパ”。

大好きな“ユニオン・パシフィック”の後継作ですが、ややマイルド調整が強すぎ、陣取りのヒリヒリするようなやり取りのシビアさが失われてしまっているようで、僕はやっぱり前作のほうが好み。

まあこの辺りはプレイヤーの好み次第で、本作の、のびのびとしたムードの方をとるプレイヤーも少なくはないかと。

いずれにせよ株要素と路線拡張のメカニクスの共存を、家族でもプレイできる高いプレイアビリティでもって間口を大きく広げることに成功している、ドイツゲームを代表する一作であることは間違いないですね。

エア・アバクス株のマークが甘く、3株で筆頭株主になりえたプレイヤーがタイブレイクまでもつれこんだ接戦に勝利。これはちょっと甘すぎたかw


そして本作“雄牛のパーティ”にて〆。

クラマーのお馴染みのアートワークでのカードゲームですが、内容は某ビッグタイトルとは大きく異なります。

ざっくばらんに言えば、場札を引き取り、自分の場に昇順にプレイしていく、ということなのですが、実に不思議なプレイ感で、この日が2回目のセッションだったのですが、いまだにどこかルールを間違えていたような気がして止みませんw

ソロプレイ感も強く、クラマーの割にはイマイチというか、失敗作の気配も感じましたが、もう一度ルールを精査して、新たにセッションに臨みたい欲求があります。本当の評価はそれからでしょうか。


以上7ゲームを消化してこの日のUDA会を終了。

“セッションのため”を中心に用意された環境の中でのクローズ会はやはり格別の充実感がありますね。足を運んでいただいた参加者各位に感謝しております。