2014/01/29

越前市(福井)ボードゲームの会 1月ゲーム会('14/01/26)

2014年になって最初の“越ボ”です。(みなさん今年も宜しくお願い致します!m(__)m)

プレイできたタイトルについて感想、雑感などをこちらにてまとめておきます。


“ブルー・プリント”(Yves Tourigny/ズィーマン/2013年)

まずはこれから。米国ズィーマンからのダイスゲーム。ホビージャパンにより国内流通が開始されています。

発売直後はあまりピンとくるものがなくスルーを決め込んでいたのですが、最近じわじわと興味が湧いていたところ参加者のひとりが持ち込まれていたので立卓をリクエスト。4人でこのゲームからこの日は開始となりました。

場にある7つ(4人プレイ時)のダイスからひとつを選択し、自分の設計図(青写真ブループリント)カード上にルールに則って配置していきます。すべての設計図が6つのダイスにより完成するので6巡することで1ラウンドが終了し決算。都合3ラウンド行います。

シンプルで理解しやすいルールは間口の広さ十分のとっつきやすいもの。しかしながら幅広く用意されている完成した建物への評価判定(つまり得点手段)から様々な手の伸ばし様が考えられ、ダイスの出目の状況もあってゲーム自体はジレンマに富むものとなっておりそこに単調の二文字はありません。

ダイスゲームとして大きく出色の出来とまでは言いませんが、スルーで終わらせずに良かった、プレイできて良かったというのが正直な感想で、きっちり60分弱で終わる収束性の良さもあって現在購入を検討中。

パズル的要素が若干強めなのがノットフォーミー要素ですが評価はPositive-で。運要素はそれほど強いとは思われませんでした。

“ポルターファス”(アンドレアス・シュミット/ツォッホ/2013年)

メビウスゲームズから国内供給の始まった最新のドイツゲーム。

親が酒場の店主となり樽型の木製コマをダイスカップを使って振ります。その合計値が親以外の全てのプレイヤーつまり客に提供できる酒の杯数となります。この杯数をめぐる熱い駆け引き、心理的読み合いが本作の持つ面白さであり醍醐味。

一見子供向けゲームのようで、しかししっかりと構築された大人にも十分に楽しめる完成度の高いシステムにはどこにも穴がなく、プレイにおけるストレスは皆無で、これは安心の良質ドイツゲーム印。

ツォッホらしく、コースターや木製の樽コマ、ダイスカップなどコンポーネントもしっかり作られており、これらが雰囲気の醸成にも一役買っているところがまた憎い。

とにかく樽の出目をめぐる心理戦オンリーともいえるシンプルさにプレイヤーの好き嫌いは出るかもしれませんが熱くなる人は相当熱くなりそう。評価はPositive-

参加者に好評でリクエストによりこの日2回目の立卓もありました。

“ノアの方舟”(クリストフ・ベーレ/アミーゴ/2013年)

アミーゴからの新作カードゲームを3人で。

場に並んだ3枚(3人プレイ時)の動物カードをめぐり、まずは一巡のみの競りを行い最高額入札者から順に欲しいカードを選んでいきます。この時ゲーム中3回のみ使用できる緑色のチップを使うことでカードを2枚もしくは0枚取ることも可能。ゲーム終了時には“つがい”つまりペアになった動物のみ得点となり(ノアの方舟ですからね)、シングルのものは減点。

獲得したカードは裏向きで自分の前に配置、二度と見ることはできないのでここはメモリー要素。

動物がテーマの記憶要素ありセットコレクションで、これはまごうかたなきファミリーゲームで、その視点に立って見れば良く出来ていますね。

ただすれっからしの私のようなフリークの心に引っ掛かる要素は希薄でゲーマー的には評価はNegative

とは言え家族や親戚が集まるような場であれば今後も登場する機会はありそう。

“バンパイア”(ライナー・クニツィア/ゴルトジーバー/2000年)

クニツィアによるシンプルなセットコレクション。僕の駄文を読むよりは“Board Game Guide500”におけるけがわさんの紹介文を読む方が遥かに有益だけれどそういうわけにもいかないので…

手番での選択肢は非常に限られたものだが、にもかかわらずクニツィアらしい良質なジレンマはしっかりとプレイヤーを悩ませるもので、14年も前に発売されているにも関わらず今プレイしても存分に楽しめるのはシンプルで完成度の高いシステムこそ風化に耐えうるということの証左。

それほど高い評価を受けていないというか、クニツィアの諸作の中で取り上げられることが少ないように思えるのが不思議なほどしっかりと構成されたセットコレクションのひとつのお手本のようなカードゲームで、ゴルトジーバーの良質なカードやフォービンケルの秀逸なアートワークもあり、トータルなプロダクツとしての完成度も高いですね。

僕にとってクニツィアは作品単位で好き嫌いの大きく分かれる傾向にあるデザイナーなんだけれど、本作は間違いなくフォーミーサイドのクニツィアで評価はPositive

シャハトの“コールトゥグローリー”とどうしても比較してしまいたくなるというか…。

“炭鉱讃歌”(ウォルフガング・クラマー&ミヒャエル・キースリング/ペガサス/2013年)

クラマー&キースリングのエッセンタイトルを初プレイ。

メインとなるメカニクスはオーソドックスなワーカー配置で、選択されたアクションは以降ワーカーの配置コストが微増するというやんわりとした規則が非常にプレイヤーにフレンドリーで、まずはここが好印象。

加えて炭鉱での石炭の採掘から出荷して得点化するまでのトータルな流れが実に分かりやすく、場全体の情報把握のしやすさ、プレイアビリティの高さ、そしてワーカー配置特有の“先んずれば制す”という空気からのギリギリとしたプレッシャーなどから実に濃厚なセッションが楽しめる。

クラマー&キースリングといえば今期エッセンでは“ノーティカス”というこちらも完成度の高い秀作を発表していたけれど、収束性の高さ、場全体の情報量、そして競技性などの面で見て僕は本作の方が好みと言えそうだ。

分かりやすいルールが参入の間口を広げ、またインストのハードルを下げているのも素晴らしく評価はPositive。ギリギリのところでゲーマーズゲームになっていない(と僕は思う)こういうタイトルは高く評価されていいんじゃないかと。今期個人的エッセン5傑入り。

“Welcome!”(ワンモアゲーム!/2013年)

お手軽なカードゲームということもあってもう随分とプレイを重ねている国産同人タイトル。

そして未だに僕の中で最終的な評価がはっきりしていないタイトルでもあったりする。

この不思議なプレイ感はどこにもない得難い感覚で、まだまだこれからもプレイを重ねることになりそうだ。

はっきりとした論理的な整理のついていない現時点での評価はシビアにNegative+。中毒性の高いタイトルだとも。この日も2回連続でプレイ。

“狐返し”(スパ帝国/2013年)

あまりにもシンプルな国産同人ブラフゲーム。

メカニクス的には悪くないけれど、(それを狙っているのだろうけれど)個人的にはどうにもシンプルすぎるか。

ミニマリズムの境地、贅肉を削ぎ落とした果てにはたしてゲームとしての面白さが残っているのか、という疑問も。

ということで評価はNegative。ミニマリズムが如何に困難で危ういかということについて考えたり。

“サンスーシ”(ミヒャエル・キースリング/ラベンスバーガー/2013年)

キースリング単独によるエッセンタイトル。

2枚の手札から1枚を選び、場の10枚のタイルからルールに適合するタイルを選択し、自分のボードに配置することで庭園を豊かにしていくピュアユーロ。

今回は初プレイということもあって拡張は外しましたが基本ルールだけだと淡泊とも思えるほどのシンプルさで、何のフレーバーもないここまでシンプルなシステム原理主義的ユーロを多くの人が楽しめるのかといういらぬ危惧もないことはない。

キースリング単独というと僕はまず大好きな“ヴァイキング”が頭に浮かび、あの面白さをどうしても期待してしまったのですが、ここにはその陰はなく、まあ最初はちょっとがっかりもしたのですが、いやしかしこれはこれで高い完成度を誇れるゲーム、“遊び”のもたらす面白さ、そして知的興奮を理解できているデザイナーならではのタイトルではないか、というのがセッションを終えたあとでの僕の感想。そしてこういう骨組みだけのようなタイトルこそが年月の風化に耐えクラシックになり得る可能性を秘めているのではないか、というのが僕の半ば妄想。

本体に最初から封入されている拡張もこれはなんとしてもプレイしないわけにはいきませんね。

運要素の強さなど検討したい課題も残されていますが評価はPositive-。キースリングはしっかりとした力量のあるデザイナーだというのがやはり僕の認識です。



以上この日は8タイトル10セッションを一日楽しみました。

初参加者2名を含む総参加者11名、お疲れ様でした。また来月もたっぷりとテーブルゲームを楽しみましょう。では。

シュリンクを斬る!㉙ “エベレスト(MOUNT EVEREST)”の巻

新品のボードゲームを開封し、コンポーネントの魅力をお伝えするシリーズ、その第29弾です。

今回はポーランドのパブリッシャー、REBELより発表された“エベレスト”の箱を開けます。


こちらが裏面。国内のゲームショップでの購入のため和訳ルールブックが貼付されています。

まずはこの和訳ルールブックを慎重に取り外します。(余談ですが僕はこの作業があまり好きではありません…)

びりりり…とセロテープを剥がします。

はい、きれいに剥がしました。

それではシュリンクに刃を入れます。

ぶすり!

切れ目からシュリンクを剥がしていきます。

びりびり、ばさばさ…。

表面に回ってこちらもばっさりいきます。

はい、剥がし終わりました。

作者アダム・カルーザのクレジットが確認できます。“K2”でお馴染みのデザイナーですね。

REBELの美しいロゴもこの通り。

2~5人で楽しめる中量級ゲームというところでしょうか。

裏面はこのとおり。英語とポーランド語の二か国語で説明されています。

裏面左上。デザイナーとアートワーク担当者のクレジットもありますね。

メイドインポーランド。自国内での生産だったようです。

それでは箱を開けます。ぐぐぐ…。

ぱかり!

ルールブックですね。

ルールブックも二か国語分、英語のものとポーランド語のもの計二冊が入っていました。

英語のルールブックをちょっと繙いてみます。美しいイラストでゲーム開始時のセッティングが説明されているページですね。

随所にイラストや例を盛り込んで理解を助けるよう書かれたお馴染みのルールブックですね。

二冊のルールブックの下からはパンチングシートが。

タイル類がまとめられたパンチングシートはこの2枚。美しいですね。では抜いていきます。

パンチングシート2枚分のタイルをすべて抜き終わりました。抜きやすさはA(良い)~E(悪い)の五段階評価でCの普通といった感じでした。

小袋に仕分けます。ダイソーの2番がちょうど合いました。

一部をアップで。こちらは登山家と観光客のトークン。

こちらは氷瀑トークンとキャンプタイル。

パンチングシートの下からはメインボードが。

しっかりとした厚みのある四つ折りもの。

展開してみました。美しいエベレストの山並みが眼前に。

細かく描き込まれたアートワーク。

どういったメカニクスのルールなのか気になってきますね。

標高8848メートル、世界最高峰エベレスト山の山頂です。隣りにはもうひとつ別の山も。

リバーシブル仕様のゲームボードで、こちら裏面は難易度の高い面。

ゲームボードの下はこんな感じでした。

ガイドボードが各プレイヤーに2枚づつ、計10枚。

ガイドボードの1枚。こちらにてガイドやクライアントのステータスを管理するようです。

裏面。アイコンがあるので何色のガイドボードかはここでも認識できます。

そしてプレイヤーカード。各プレイヤー毎に24枚、計120枚あります。

裏面。カードの方にもアイコンの表記がありますね。

それでは包んでいるフィルムを剥がします。ツツーッ。

このように5人分のプレイヤーカードが入っていました。

5つに分けようか、迷いましたが結局1つに。大きめの袋が必要でした。

残りのコンポーネント。

天候タイル12枚。

ご覧のように夏と冬が6枚づつありました。

ひとつにまとめて小袋に納入。

最後に木製コマ。

並べるとこんな感じ。ガイドコマは各プレイヤーに3つ、2種類の形状があります。黒い丸いコマは天候マーカーです。

いつものように多方面からぱちり。

付属の袋は生地が薄く、頼りなかったのでダイソー製に移し替えました。

REBELのカタログも入っていました。

こちらも英語とポーランド語の二か国語。まだ“アンバー”積んだままだった…w

それでは箱にしまっていきましょう。重め大きめのものから入れていきます。

これでひととおりコンポーネントは納入。

ゲームボードで蓋をするような感じ。

最後に原文ルールブック。

蓋をして終了です。

自らはガイドとなって登山家と観光客というクライアントを頂上へと導くマネジメントゲーム。プレイが楽しみです。