2020/09/29

えちボ(越前市ボードゲームの会) 9月ゲーム会(2020/09/27)

27日の日曜日は地元越前市でのオープンゲーム会“えちボ”に参加してきました。

前日の26日土曜日も休日だったのですが、この日は前日の金曜日から断続的に降り続ける雨が朝から続いており、日中何度か警報さえ発表されていたように時折地面を叩きつけるように激しく降ることもあって、翌日のゲーム会当日の天気がどうなるのか心配していたのですが、当日の日曜日は朝から青空が広がる素晴らしく気持ちの良い秋晴れとなり、ゲームの持ち込みにも心配は必要ありませんでした(まあもっとも会場の“市民プラザたけふ”には4階建ての駐車場が併設されているので、持ち込みたいボードゲームが雨に濡れる心配はまずほとんどないのですが…)。

当日の朝は早めに準備して余裕をもって家を出、会場までの道中にあるファミリーマート店内のイートインスペースで軽く朝食を摂りつつ、午前9時開始予定のゲーム会ながら8時45分頃には会場入りして着々と設営に勤しんでいました。

なお同会場はJR武生駅にも隣接しており、遠方からJR線を利用した参加にも十分対応できる立地条件であることはひとこと付言しておきたいと思います。こちらでの参加も是非ご検討下さい。


葉隠とは死ぬことと見つけたり。葉隠、4人。

この日のスタートはこれ。数寄ゲームズから国内供給の始まったばかりの新作トリックテイキング。

特徴的なのは低ランクの青(村人)と高ランクの赤(侍)という2スート構成で、リードプレイヤーが赤をプレイした場合のみフォローの義務が発生するところ。

また5枚の特殊トークン“幟”を使うことで、そのラウンドのみ得点が倍になったり、中央の場札と手札を交換したりできます。

1ラウンドが4トリックで構成され全8ラウンド。獲得した1トリックが単純に1点、逆にゼロトリックなら減点でマイナス2点のペナルティがあることからとにかくトリックの獲得を目指したいゲームで、ディール次第の運要素は若干否めないものがあり(そこを補助してくれるのが“幟”なんですが)、それほど競技性は高くない部類か。

もっともその運要素に対抗する幟トークンの使い時のジレンマや手札を選ぶ際にプレイヤーの判断スキルを問われる瞬間もあって、そのあたりがどれくらいプレイヤーに訴求するかで評価は分かれそう。

例えば「今回の手札、どうにも弱いなあ。できれば幟使いたいけれど、この先のラウンドは大丈夫だろうか?」みたいにプレイヤーに判断を迫られるあたりは本作の醍醐味のひとつかと。

とはいえ僕の好みのトリテはもっとガチ寄り、変則よりなので、ゆらゆらと展開が掴みづらい本作に若干の戸惑いは否めず評価は5.5

オールユニークと思われるカードのアートワークは素晴らしいですね。(人物のアートワークを活かすための縦長のカードなんだろうか。)


ドラゴンの恐怖から、突然、脱兎のごとく。ノギ・ザ・パス、5人。

“ドラゴン討伐のために召集された勇者たち。だがあまりの強さに彼らは我先にと逃亡したのだった…”

クニツィア“アバンダン・シップ”のポーランドパブリッシャーリメイクです。

各プレイヤーは秘匿情報として3匹のウサギを担当します。手番ではいずれかのダイスを使っていずれかのウサギを操作します。この操作により対応するコマが基本的には前進するのですが、場合によっては後退もします。

ダイスには何度も利用できる出目と使い切りの出目があり、手番開始時に使い切りのダイスがすべて使われていたら新たに全てのダイスを振り直してアクションを続行していきます。

ゴールはお姫様の待つお城なんですが最も早く着いてしまうと臆病者のレッテルを貼られて0点、2位以下がそれぞれ5、3、2点と得点できます。

絵に描いたようなクニツィア節で、まあこういうファミリーゲームを作らせるたら右に出るデザイナーはいませんね。

ゲームは十分面白かったんですが、ダイスの選択における動機付けが弱いというか、選択自体の重みにやや欠ける印象は拭えず、そこが惜しい気も。6.0

巨大なドラゴン駒や一目散に逃げかえってるシルエットの再現が素晴らしいウサギ駒、そして牧歌的なボードのアートワークはポーランドパブリッシャー発のクオリティの高さを感じずにはいられません。


荒波を掻き分けて、すすめ、海賊さん。ワイルドパイレーツ、5人。

1989年初出のトリックテイキング&スゴロク。

マストフォロー、マストラフで獲得したトリックの数だけ船を進めます。

マスにはアクションが指示されたものもあり、そこに止まったら各アクションの処理になるのでプレイヤー毎に狙っていきたいトリック数が異なるのが本作のミソ&醍醐味。

また後からやってきた船に踏まれてしまうと一つ前の錨マスまで戻されます。

デザイナーの意図は読み取れますし、そこは間違いなく楽しめたんですが、現代の洗練されたユーロゲームにたっぷりと舌が肥えてしまった我々が素直に楽しむには些か厳しかったのも事実で、ただそれは本作の瑕疵などでは全くなく、ちょっとしたもどかしさの残る残念な一作だったかもしれません。

気になったのは収束性と負のインタラクション。やはり古いタイトルならではの冗長性は否めず、残念ながら協議終了。“プレイしていて楽しいのでこのまま終わらなければいい”というわけにもいかないわけで、ここからは僕の勝手な自論なんですが、セッションにおいて“早く終わらせたいな”と思えてしまったらそれはそのゲームの最大の瑕疵で、デザインの敗北だと思っています。逆にゲームが終了した時に“ああもっとプレイしたい”と思わせることができればこれは完全にデザイナーの(プレイヤーに対する)勝利なんだとも。

欧米のデザイナーがそんな事を考えていたかどうかは分かりませんが、この30年、収束性について日々進歩を遂げていったことは間違いのない事実で、如何に短い時間内でプレイヤーに高い満足感を与えられるか、そこに神経を割いたゲームデザインが多くのタイトルで試みられてきたはずです。

と同時に31年も前のゲームなのに本質的な本作ならではの妙味は揺るがないものもあって(プレイできたこと自体に対する満足感もあり)感心するなど。うまく現代的にアレンジできればいまでも全然通用する気はしました。6.5


ここで午前の部を終了。昼食休憩となりました。この時点で12名3卓という状況でした。昼食は近場の飲食店に足を運ぶ人もいれば階下のアルプラザでお弁当やら総菜やらを買ってきて会場で食べる人もいましたが、私は後者を選択。売り場に備え付けの電子レンジで温めたのち3階の会場で参加者と談笑しつつ昼食を楽しみました。


ここは遥かなるアイルランド、吹き抜けていく爽やかな風。セルティック。4人。

“ケルトの王グロウベルグに死が近づいています。4つの部族による後継者争いが始まりました。近隣の地域を切り開いたり、外部との交易で最も影響力を高めた部族がケルト民族の皇子となります”

先日よりゲームストアバネストから国内供給の始まった今年の新作。ピック&デリバリの一種といっていいのかどうか分かりませんがおつかい系。

2つあるいは3つの地点に民族を派遣するか、外縁部で商取引を行ってカードを手に入れるかして得点化します。

特徴的なのは手番プレイヤーが移動する際他人も同行できるところで、始点終点の両方が同じであることに制限されますが、これによって効率的に移動できるのは勝利のためには欠かせない重要な要素でしょう。

したがって他人とはなるべく離れないようにしつつ、そのマスを同じくする駒は自分からはなるべく移動アクションを発動させないことが基本的な戦略になるようにも思われました。

もうひとつ特徴的だったのが最終決算の計算方法で、達成した目的地カードの数で制限がかかる中、同種を多数集めてもそれほど高い点数は望めない仕組みはまずまず良くできているかと。

ただ目的地特化型がどうにも強いように思われ、得点計算のバランスには疑問が残ったのと、チケットトゥライドなどと同様に目的地カードの“引き運”はこの手のゲームでは避けては通れない問題ですね。

盤面全体に駒を広げ、目的地カードの“待ち”を広くしたつもりでしたが目的地達成速攻型に終了トリガーを引かれてあえなく敗北。6.0

ケルトの文化がふんだんに反映されたメインボードとボックスのアートワークは美麗そのもの。本日のアートワーク大賞。


餌を狙う鳥と鳥を狙うキツネ、6人ベスト説。にわとりの餌場。6人。

ステファン・ドラの2001年のバッティングゲームです。

6つの“餌場”に毎ラウンドひとつづつキューブ(1~3点)が配置されます。

プレイヤーは手札から裏向きに1枚をプロットします。カードには大きく分けて得点源であるキューブを獲得するための“鳥”(細かい話ですが鳥は各餌場毎ににわとりやアヒルなど全6種類があります。もちろんフレーバーでしかありませんが。)とその餌場に対してプレイされた“鳥”を手札にできる“キツネ”の2種類があります。また全てのカードは各餌場のいずれかに対応しており、強さを示す数値も付されています。

その餌場に鳥1羽でバッティングしなければ全てのキューブが手に入りますが、他にも鳥がいればまずは自由交渉、それでも解決しなければダイスロールで単独勝利者を決定します。

キツネは単独だと空振りで何も起こりませんが、鳥がいればその鳥カードを手札として入手できるチャンスです。キツネも他のキツネとバッティングすればダイスロールでの勝負(交渉は最初からなし)になります。

獲得されなかったキューブは餌場に残るので、場合によってはどんどんキューブが膨れ上がる餌場も出てきてゲームは否が応でも盛り上がるようにデザインされており、この辺りはさすがはドラ、抜かりなしといったところでしょうか。

交渉が嫌いな僕ですが、この程度であれば問題ないですし、特にネガティブな部分が見当たらないお手本のようなバッティングピュアユーロで、名作として長くプレイされつづけるポテンシャルは十分かと。8.0

あえて気になった点を挙げるなら、“セッションによってゲームの面白さの凹凸が出やすい”かもしれないと思われたところでしょうか。盛り上がるセッションもあれば全くそうならないこともあるかな、という。

あと残った手札がそのまま点数になるので6のカードは温存し、キツネをとにかく使っていくという戦法が強いのかどうかはちょっと検証してみたいところです。(とはいえこの時のセッションではうまく大量のキューブを集めたプレイヤーの勝利に終わりましたが。)

アートワークは一目見てこの人とわかるであろうドリス・マテウスですね。


溢れんばかりの大量の木製動物コマの愉悦。ニューヨークズー。5人。

“自然動物園を設計します。最初に完成できるのは誰でしょう”

テンデイズゲームズから国内版の流通が始まったばかりのウヴェ・ローゼンベルクによる新作です。

中央のボード上にてプレイヤーは1個の象コマを共有します。手番ではこの象を時計まわりに進め、止まったマスに応じたアクションを行います。

アクションは囲い地タイルの獲得&配置か動物コマの獲得&配置の2つで、最初に自分のボードをタイルで埋めきったプレイヤーがゲームに勝利します。

象コマを移動した際、繁殖ラインを横切っていたら手番プレイヤーのメインアクションの後で、該当プレイヤー全員による“繁殖”が起こり、つがいの動物たちに子供が生まれます。

囲い地タイルはポリオミノで本作にはテトロミノ(4マス)、ペントミノ(5マス)、ヘキソミノ(6マス)、ヘプトミノ(7マス)の四種類が登場します。

期待の新作でこちらのハードルも上がっていたのですが裏切られませんでした。大きいタイルを配置できれば当然広い範囲をカバーできますが、小さいタイルには動物で埋めやすいというメリットもあったりと細かいルールやひとつひとつの要素がうまく嚙み合っていてゲームの完成度に貢献しているという印象で、ポリオミノに拘り続けてきたローゼンベルクのひとつの到達点といっても過言ではない気がしました。

なによりも勝利条件である“すべての空白地をタイルで埋める”という目的に心の底から熱中できたのが楽しかったですね。ゲームの本来あるべき姿はやはり勝利条件の達成に夢中になれることなんじゃないかとこのセッションで感じました。

気になった点は直感的ではない細かいルールが少々含まれているところでしょうか。とはいえ明確化はされているので、ここはインストの時にしっかり落とし込んで乗り越えていきたい部分です。8.5

しかしポリオミノはローゼンベルクのライフワークになってきた感さえあります(笑)。僕にはここでひとつ区切りができたように思えるのですが、この後もまだ発表されても不思議ではないですね。


メディチから競りを省いても果たしてメディチか問題。メディチ・ザ・ダイスゲーム。4人。

名作メディチのダイスゲーム版です。クニツィアの2020年新作。

手番では5D6してそのうち最大3つのダイスを選択。選んだダイスの数字と商品をシートにマークします。

手番外のプレイヤーは手番プレイヤーに選ばれなかったダイスの中からひとつを選択し、同様にマークしていきます。

3ラウンド制で3回ある決算は相対評価で、各要素で2位までにのみ点数が入る仕組み。

あの名作競りゲームから大胆に競りをばっさりと排除しロール&ライトとして新作が出来上がったという印象で、タイトルからどうしてもメディチと比較したくなりますが、純粋な単独新作として水準以上の出来ではないかと。

ボーナスで絶対評価として10あるいは20点が入るところや点数計算が逐一相対評価のあたりに名作の微かな残り香を感じたりも。

気になったのは全員が同時にシートに書き込むのか、ガチに時計回りで書き込んでいくのか、どちらを選択しますか問題(この時は前者を採用)。面倒ですが個人的には衝立を準備して全員同時がいいように思いました。各自がシートをテーブル中央に寄せてこの衝立ありのやり方も試してみたいかもしれません。

若干の6出ろシステム臭を感じましたが十分楽しめました。7.0


この時点で夕方6時ころ。参加者は19名で4卓が立っていました。この頃合いで退出される参加者も多いので一旦リセットして約30分の休憩タイムとなりました。自分も最後のセッションに向けて甘味と飲み物を補給しました。


やっぱり人生にはティータイムが必要だ。アルバリ。4人。

“レッサーヒマラヤの過酷な環境の中、瓦礫の山を切り崩して開拓し、紅茶畑で茶葉の栽培、収穫を行います。収入を元手にダージリンの町に向けて伸びていくヒマラヤ鉄道の建設に貢献しましょう”

本作でこの日は〆ました。スノードニアの流れを汲むトニー・ボイデルのワーカープレイスメントです。

プレイヤーはリソースの獲得や駅、鉄道の建設、紅茶畑の開拓などを通して勝利点を積み重ねていきます。

特徴的なのは“天候”の存在。天候には晴れ、雨、霧の3種類があり、そのラウンドの天候により一部のパラメータが調整されます。アクションの中にはこれらのパラメータに基づいて効率が左右されるものもあります。天候は翌日と翌々日まで情報として開示されているので、ここに注意を払ったプレイングが重要で、またそれが本作の大きな醍醐味ともなっています。この天候のメカニクスは前作のスノードニアにもあった印象的で記憶に残るメカニクスで、作者のボイデルもここは外せなかったのかもしれません。

やりたいことはたくさんあるのに、ワーカーはたったふたつというのがまずは厳しいところ。実はチャイという貴重な(そして随所で役に立つ!)リソースをふるまうことでティーハウスで休憩中の3人目のワーカーを引っ張ってこれるのですが、そのためには“設備”が必要で、で設備のためには○○が必要で(以下同様に続く)、という連鎖が続き、序盤からひたすらコツコツと足場を築き上げる忍耐が必要な地味で質実剛健なタイトルで、ただ実はここでの効率的なプレイが、見た目にはほとんど差はないのですが、後半に向けて一歩抜きんでるための大切な時間のゲームなのかもしれません。

ひたすら地歩を固めるプレイが続くように感じるからか、ゲームは些か冗長なものに思えるかもしれませんが、この時のセッションがそうだったように、収束は急速に訪れます。集めたリソース等々を勝利点に変換していくフェイズに突入するとゲームは一気に終わりに近づく印象で、プレイヤーがまだ中盤くらいだと高を括っている段階で実は終盤に差し掛かっていると思っていてもいいかもしれません。実際この時もインストを除いた実プレイは約2時間で、これはプレイ中には想定しえなかった時間でした。

それも踏まえて、このゲームのメインは、形を作るまでの地味な時間帯なのかもしれず、好き嫌いもそこで分かれるかもしれません。

僕はこのセッションのためにサマリを作成していたのですが、やや分かりにくい点も少なくない本作ですし、インストを補助してくれる面もあり、このサマリは実に役に立ちました。

この日はセッションを通してルールに若干の不明点が見つかりましたが、シンプルと言っても良い基本的にはオーソドックスで骨太なワーカープレイスメントです。他人より効率的にアクションを積み重ね、盤面に注意を払って適切な判断を重ねることができたプレイヤーは最後に勝利するでしょう。

カードテキストが嫌いな僕にはそこが気になりましたがこればっかりは、ですね。7.0


以上バラエティに富んだ新旧合計8タイトルを終日にわたってプレイし楽しむことができた充実の一日でした。この後会場の後片付けを残った参加者たちと行ってこの日は撤収、会場をあとにしました(そういえばこの日は盛大な忘れ物が2点ありまして。撤収時やや途方に暮れていたところ、この解散の時にタイミングよく当事者が戻ってきてくれたので事なきを得ましたが。いや自分も気をつけよう。とはいいつつ流石にそれは忘れないような気も、などなどw)。なお次回10月の“えちボ”は18日(日)の予定です。


そしていつものラーメン屋さんで恒例の反省会。大盛りラーメン、煮玉子、青菜トッピング。ゲームにどっぷりと集中したせいもあって、いつもこの時間帯はお腹ペコペコなので、体にはよくないと分かってはいても、この誘惑には勝てそうもありません。その分明日からまた頑張るということで!