この日はこのタイトルから開始。ムーン&ワイスブルムの“オアシス”。
各プレイヤーが公開したカードのセットを1番手から選択し、内容をアクションとして即時処理していきます。
明快で完結した完成度の高いメカニクスが高いプレイアビリティ、豊かなインタラクション、そして収束性などを同時に実現している、世評の高さも頷ける実に良質な陣取り型ドイツゲーム。
効果の高いアクションの供与はすべからく他プレイヤーの利益となりますが、その見返りに早い番手を得られる可能性も高く、そこは悩みどころ。良質なジレンマです。
最終的な勝利点も陣地の数と勝利点タイルの枚数の積で計算されるため、各プレイヤーの思惑が濃厚に交錯するのも熱い。
惜しくも1点差で惜敗。ほとんど1番手を獲得できず、陣地も伸び悩んでいたため勝利は意識していなかったので思わぬ善戦は予想外でした。
これは今後も末永くプレイしたい一品。ガチな陣取りなのである種のストレスは覚悟した方がいいでしょうか。4人がベストかな。
ムーンならではのある種のマイルドな感覚ってないですか? ムーンに対する好き嫌いはその感覚を受容できるかどうかじゃないかと思うこともあります。
4種の地形からなるヘックスで埋められたボードに6種の天候チップを配置し、帰宅の途を急ぐ村人を先導していきます。
天気を真っ向からメインテーマに据えたその斬新さにまずは一票。
例えば湖に雪を降らせることで凍らせ通行可能になるといったその類いのアイデアは面白いですし、僕も魅力を感じましたが、ゲームとしての完成度はあと一歩という気も。
とはいえチャレンジングな独創性は印象的で、童話“北風と太陽”を思わせる存在感たっぷりの木製コマもあって、プレイヤーの記憶に残るタイトルだなー、と。
マップの中央部は混雑が予想されるので、急がば回れとばかりに迂回した方が早い帰宅を期待できるかもしれませんね。
ステファン・ドーラによる2001年作の多人数アブストラクト、“メディナ”。
荒廃した都市メディナをプレイヤーたちが復興していくというテーマで、ずっしりとした大きめの木製コマがボード上に並べられていく様はテーマとも見事にマッチしており、雰囲気は素晴らしい。
衝立により各プレイヤーの持ちコマは隠されていますが、運要素はゼロで、言い訳の一切できないガチ勝負のアブストラクト。
手番ではルールに則って二つのコマを配置していくだけのシンプルなシステムながら、どこで屋根を配置し自分の宮殿として確保するか、その判断にのしかかるジレンマは相当なものです。
多人数アブストラクトはいろんな意味で難しい部分があるように思っていますが、本作は卒なく上手くまとめられており、これはドーラのデザインの勝利ではないかと。
やばい、面白いじゃないか! ということでこの日のベストはこのタイトルに。
好き嫌いはかなり分かれそうですが、ほぼシステムのみで構成されている完成度の高いゲームのお手本のようなタイトル。
勝敗結果は惨敗でしたがプレイできて本当に良かった。こんなドイツゲームと出会えるから旧作もやめられないんですよね。
“アルハンブラ”のダイスゲームバージョン、“アルハンブラ・ダイスゲーム”を久しぶりに立卓。作者はもちろんディルク・ヘン。
手番では2回までのリロールが可能なダイスロールでもって建築ポイントを稼ぎ、勝利点の獲得をプレイヤーそれぞれが目指します。
ダイスゲームはダイスロールがシステムの中核に据えられている以上、運要素が強めであることは一般的には免れませんが、そのダイスロールの結果がどのようにシステムに取り入れられているかによって、パーティよりのシンプルな運ゲーにもなれば、フリーク向けのストラテジックな要素もあるタイトルになり得るところが面白いところ。
本作は若干の戦略性が上手く取り入れられたファミリー向けのバランスの良いダイスゲームで、間口は広く、新規プレイヤーの参入しやすいタイトル。
各種チップの使いどころやレーンの選択がよいジレンマを生み出しており、運だけで勝敗が決まってしまうようなバランスではないので、僕のようなフリークでもセッションを十分に楽しむことが出来ました。
逆転の難しさは本家“アルハンブラ”同様で、今回のセッションでも序盤でのリードが埋められることなくゲームが収束してしまい、この辺りで好き嫌いが分かれるかもしれません。ただ総じて良質なダイスゲームだというのが僕の感想です。
おなじみクニツィアの“ラー”の自身によるリメイク、“ラーの司祭”。これも久しぶりのプレイ。
本家との大きな違いは多くのタイルに表裏の別があり、ドローしたプレイヤーがどちらの面を使用するか選択できる点。
なるほど!と納得できるアイデアの導入で、元々のタイトルのシステムが時の風化に耐えうるに十分な強度を持っていたこととも相俟って、これも十分に面白いドイツゲーム。
個人的にはタイルの表裏の選択がもっと戦略的で、そこがゲームとしての面白さに直結していたほうがベターか、とも思いましたが、セッションを重ねることでタイル毎の得点方法がすべて頭に入っているような習熟したプレイヤー同士のゲームであれば十分戦略的でヒリヒリするような展開になりそう。
覚えるまでは点数計算についてプレイヤーひとりひとりにサマリがあったほうが絶対良かったかな(というか必須か)。
“ラー”とこれとどちらに軍配を上げるか、僕はまあ“ラー”の絶対的ともいえる完成度の高さを選びますけど…。
アラン・R・ムーンを代表するシリーズの目下のところの最新作、“エアラインズ・ヨーロッパ”。
大好きな“ユニオン・パシフィック”の後継作ですが、ややマイルド調整が強すぎ、陣取りのヒリヒリするようなやり取りのシビアさが失われてしまっているようで、僕はやっぱり前作のほうが好み。
まあこの辺りはプレイヤーの好み次第で、本作の、のびのびとしたムードの方をとるプレイヤーも少なくはないかと。
いずれにせよ株要素と路線拡張のメカニクスの共存を、家族でもプレイできる高いプレイアビリティでもって間口を大きく広げることに成功している、ドイツゲームを代表する一作であることは間違いないですね。
エア・アバクス株のマークが甘く、3株で筆頭株主になりえたプレイヤーがタイブレイクまでもつれこんだ接戦に勝利。これはちょっと甘すぎたかw
そして本作“雄牛のパーティ”にて〆。
クラマーのお馴染みのアートワークでのカードゲームですが、内容は某ビッグタイトルとは大きく異なります。
ざっくばらんに言えば、場札を引き取り、自分の場に昇順にプレイしていく、ということなのですが、実に不思議なプレイ感で、この日が2回目のセッションだったのですが、いまだにどこかルールを間違えていたような気がして止みませんw
ソロプレイ感も強く、クラマーの割にはイマイチというか、失敗作の気配も感じましたが、もう一度ルールを精査して、新たにセッションに臨みたい欲求があります。本当の評価はそれからでしょうか。
以上7ゲームを消化してこの日のUDA会を終了。
“セッションのため”を中心に用意された環境の中でのクローズ会はやはり格別の充実感がありますね。足を運んでいただいた参加者各位に感謝しております。
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