2014/03/19

越前市(福井)ボードゲームの会 3月ゲーム会('14/03/16)

16日の日曜日は毎月恒例の僕が主催を務める地元オープンゲーム会でした。

ここでプレイできたタイトルを、例によってこちらにて報告しておきます。

“5本のキュウリ”(フリーデマン・フリーゼ/2Fシュピーレ/2014年)

国内流通の始まった最近話題の新作から。

1から15まで各4枚で計60枚のカード。これらを7枚づつ配り、トリックテイクのように各自が順番に1枚づつプレイし、最も大きい数字をプレイした人が次のトリックをリードしていきます。

プレイされた数字の中で最も大きいものと同数以上のカードか、手札の中で最低の数字のカードをプレイするというシンプルな縛りでカードプレイを行っていき、最終第7トリックの勝者は減点となる“キュウリ”を受け取らなければなりません。

各自の最低の数字が徐々に公開されていくこのシステムが面白く、生き残りラインが収束していくのは一種の快感。

トリックテイクと規定せず(スートはないですし)良質なカードゲームの一種と捉え、ここからトリックテイクへの入門の足掛かりとするのも一興かと。

オリジナルとなったトリックテイクの、フリーゼによるナイスリメイク。Positive

“中世の建築士たち”(フレデリック・アンリ/ボンビ/2013年)

新作が続きます。ホビージャパン取扱いのカードゲーム。

建物と人物の2種がメインのカードゲーム。

人物の雇用や建物の建築のための派遣といった4種類のアクションから3アクション(追加コストを支払うことで追加アクションも可能)を行い、建物の建築を行い、勝利点やお金を獲得していきます。

特殊なカードやテキストはなく実にシンプルでクリアなユーロ。

如何に効率よくどんどん建築を進めていけるかがカギで、時には追加コストの投入でもって大胆に他のプレイヤーを出し抜いていく見極めも勝利には必要で、このあたりが本作の醍醐味でしょうか。

シンプルすぎて、プレイヤーによっては想像していたものとのギャップを感じてしまうかもしれませんが、骨組みの完成度の高さはしっかりしており評価はPositive-。間口も広いかと。

“カラスと水差し”(シーン・D・マクドナルド/フィフス・ストリート・ゲームズ/2010年)

イソップ童話をテーマにした本格的なトリックテイク。

ややルールが複雑なため何をどうしたらどうなるのかが最初は分かりずらい。

トリックテイク特有のままならなさが強く、手札のマネジメントによるゲームの支配感が希薄だった感覚が強かったのだけれど、これは本作に対する習熟度不足からくるものかも。

とりあえず1ラウンドのみのお試しプレイ。まだ評価できる段階ではないので今回は暫定的にNegativeとしておきます。

面白そうな予感はあり、いろいろと気にかかるタイトルで、アートワークの良さもあり、是非とも購入したい一作。その後ルールやシステムをしっかり理解して再プレイに臨みたい。

“いろは”(たなごころ/2013年)

関西在住のクリエイターによる国産同人。

目を見張るコンポーネントが用意されたワード系。

3枚の手札から最低1枚と、場の何枚かのカードから単語をつくり、使われた文字の上を自分のおはじきでマークしていく。

ゲーム終了時にこのおはじきによるエリアマジョリティ的な点数計算があり、なるべく狙った文字を使って単語を作っていきたいところだが、これが非常に難しい。

すばらしいコンポーネントとそれにマッチしたシステムで水準は高いけれど単語作成のハードルが僕には高すぎて正直楽しめなかった。Negative+

ゲーム終了時に新たないろは47文字が出来上がるという仕組みにも注目。こんな手の込んだコンポーネントのタイトルが千円台で頒布されていたというのだから驚き。

“サマー・リゾート”(カロル・マダジ/グライ・レオナルド/2013年)

東欧のパブリッシャーによる適度ゲーム。

基本的には二つのワーカーを配置していくシンプルなワーカープレイスメントで、土地を購入してその上にホテルを建て、そのホテルを立て替えてより良い収入を齎してくれる客を勧誘していく。

天候による客の到来の決定がマネジメントに大きく影響を及ぼすためまずはここに細心の注意を払うことが効率的な利益を生むホテル経営の第一歩。

シンプルながら勝ち筋もいくつか用意されているようだし、戦略の研究にも興味のもてる地味で味わい深い一作。Positive-

なんということはないルールなのに最初はとっつきにくいけれど、次第に要領が飲み込めてきてやがてリプレイ欲求へと昇華されていく良質タイトル特有の感覚も。

天候カードによる運要素の大きさはどうだろう。

“私の世界の見方:新世界”(ウルス・ホステトラー/アバクスシュピーレ/2010年)

コミュニケーション系のスタンダードを4人で初プレイ。

各自がお題の空欄にもっとも適すると思う単語を手札から選択し、親に選んでもらえれば得点となる非常にシンプルなメカニクスのゲーム。

この手のタイプはある程度場が盛り上がっていかないと白けてしまうのでシチュエーションは選ぶけれど、お題も単語も練られたものが多く、文章にして読んでみると意味が通るような通らないような絶妙のものも多く、このなんとも言えない奇妙な面白さ。

これぞ大人の知的な言葉遊戯という印象。システムがシンプルゆえに時の風化にも耐えうる体力も持ち合わせているのでは。Positive

幻で終わらずに日本語化実現を願ってやまない一作。

“台湾スナックバー”(ムラ・クラキ/スワンパナシア/2011年)

10人までプレイできる、ウノバリエーションの一種か。

しっかりジレンマはあるし、特殊カードの応酬なども確かに盛り上がる。が流石に僕のようなフリークがあえて本作を選ぶ理由は希薄で、not for me度は高い。評価はNegative

多数のプレイヤーを飲み込んでくれるのはオープンゲーム会ではありがたいかもしれないけれど。

“えんかい”(たなごころ/2014年)

ゲームマーケット2014大阪にて頒布されたばかりの新作。

先程の“いろは”と同じ大阪のたなごころさんの作品で、レーザーカッターにて製作されたと思しきコルク製のコースターなどコンポーネントの水準は間違いなく高い。

ランダムに裏向きで十二支12枚のタイルを干支の並び通りに並べなおす協力ゲーム。

ゲーム開始前に決めた合言葉以外話すことは禁止されており、セッション中は緊迫感すら漂う独特の空気に満たされ、終わったときには重量級タイトルのそれにも似た体力の消耗感すら。

ボザの“花火”が引合いに出されるのも頷けるね、これは。

初プレイではハードルの高さにめげそうになるかもしれないが、アクションの種類や数もよく考えられており、正解へと至る難易度が絶妙で完成度は一級品。Positive

コンポーネントへの拘りゆえか大量生産できず、喜んでもらえそうな多くのプレイヤーの手に行き渡らないのは実に残念。

“バンパイア城”(クラマー&レーズナー/ラベンスバーガー/2003年)

11年前のクラマー他による子供向けゲーム。

いずれかのプレイヤーがボスとなるドラキュラ伯爵を退治した時点でゲームが終了するため他のプレイヤーより先行して得点を稼ぎたい(つまりより少ない手番で効率よくバンパイア一族を狩りたい)が失敗のリスクは少なくなく、それを回避するにはしゃがんで手札を増やさなければならない(つまりそのアクションに手番を消費しなければならない)という分かりやすいジレンマ。

右から左に流れていくバンパイアの動きや雰囲気十分のコンポーネントのセッティングなどなど、本作の舞台への感情移入への仕掛けには流石はクラマー(そしてラベンスバーガー)だな、と。

手札を使いニンニクを投げることでバンパイアを狩るのは快感で、ここに棺桶のボーナスなど得点効率も視野に入れた競技的思考を持ち込むことも可能なことから僕のようなフリークにも十分に楽しめました。

シンプルながらリプレイバリューもあって評価はPositive-

“アタック”(ライナー・クニツィア/FXシュミット/1993年)

クニツィア自身によるリメイク(ジェム・ディーラー)もある、こちらは93年発表のオリジナル。

馬上槍試合を挑むか、または体力の増強に努めるか(カードの補充)、手番での選択はこのふたつながらここにあるこの切れ味鋭いジレンマはまさにクニツィアそのもの。

勿論できれば勝負には勝ちたい、それゆえ十分な手札を準備したいのですが、安易なドローの選択は他プレイヤーに低コストでの独り勝ちを許してしまうリスクもはらんでおり、この構造を作ったクニツィアには感心の二文字のみ。いやはや素晴らしい。

“楯”という特殊カードもピリッとしたスパイスのように効いており、完成度は高い。Positive-

これもまた良質なユーロ。

“マミさんのティロ・ディエース”(2014年)

簡単にいえば“ぴっぐテン”の二次創作同人もの。

まあ“ぴっぐテン”にも“まどか☆マギカ”にも特別な思い入れのない僕のような者には訴えてくるものはほとんどなく…。

運ゲーというか作業ゲーというか、そういった印象も拭えず。

ライフがゼロになったときの“復活”という処理にも(なんとなくやりたかったことは分かるようなきがするけれど)疑問。

評価はNegativeかな。

“ポテトマン”(ブルクハルト&レーマン/ツォッホ/2013年)

トリックテイクの名手ブルクハルト他による佳作。

マストノットフォローというトリックテイクでは比較的マイナーなメカニクスが突然のラウンドの終了という緊張感ある結果を常に予感させることに成功しているというのが本作における僕の最大の印象。

その他スート毎に異なる枚数やその点と密接に関連しているスート毎の得点、ポテトマンとポテトキラーの設定などなどの面白いアイデアが無理のない範囲でひとつのトリックテイクタイトルとして上手くまとめられており、間口の広さを確保しつつもフリークへの訴求力も失っていない。

マストノットフォローという時点で僕はトリックテイク入門には向かないと思うけれど、トリックテイクとは捉えず、面白いルールのカードゲームとして楽しめばいいのではないかと。

一見プレイしやすいプレイヤーに親しいタイトルに見えて(そして実際そうだとも思うけれど)、流石はブルクハルトというか十分変態的なタイトルだとも思っていたりします。Positive-


以上12タイトルを終日にわたり楽しみました。

富山や滋賀など遠方からの参加者にも恵まれ総参加者数は10名(うち初参加者1名)。参加していただいた皆様お疲れ様でした。また同卓した際は宜しくお願いいたします。

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