2014/02/18

UDA土曜ゲーム会('14/02/15)

毎月恒例のUDA土曜ゲーム会です。

この日の参加者は僕を含め6人。途中で参加プレイヤーの入替えを行い、常時1卓を4人で囲む形で終日テーブルゲームを楽しむ、実に充実した時間を過ごすことができました。

プレイできたゲームについて簡単な感想、印象、雑感などについてこちらにてまとめておこうと思います。

“カイヴァイ”(ヘルゲ&アンゼルム・オシュテルターグ/プフィフィカス/2005年)

この日は9年前に発表された本作から開始。

南洋諸島群を舞台に釣りや行商を行い勝利点の獲得を行っていくやや重めのゲーマー向けユーロ。

流通量が少なかったせいか国内でのプレイログをあまり見かけることのないややマイナーなタイトルですが、システムの完成度は高く、プレイできたこと自体が収穫だったかと。

お金等の原資を使用しないラウンド開始時の競りで手番順や建物の建築コスト、船の移動力などの諸要素が同時に決定されることや、まるでワーカープレイスメントの原型のようなアクションの選択のメカニクス(あとになればなるほどコストが高くなるこのメカニクスはまるで最近の“炭坑讃歌”のよう!)などは最新のゲームに慣れ親しんだ2014年の今の目で見ても十分に先鋭的で、非常に刺激的。

ゲーム自体は非常に繊細な計画性の要求される重厚なマネジメントゲーム。運要素は釣果を決定するダイスロールのみで、ゲーム全体の印象はソリッドで鋭い刃。ちょっとした油断やミスが後々まで響いてくるようで、少なくない要素の量もあり、プレイヤーに対するハードルの高さはけして低くはないものかと。

全体的にシステムがかっちりと固まっているせいもあり、マネジメントの結果には言い訳の余地はなく、また広いようでいて実は窮屈な狭いマップやアクションに必要なトークンという基本的なリソースの入手すら容易ではないことからプレイ中の空気は間違いなくヘビー。息をするのもやっとという感じのマゾヒスティックなゲームでした。まあこの手の緻密でハードな本格的ボードゲームが好きな人には十分な訴求力のあるものかもしれません。

初版と二版の二つのルールがあるようですが今回は全8ラウンドの二版ルールでのセッションでした。にも関わらず約4時間の長丁場となりました。その点の収束性の悪さも気になって評価はPositive-

得点としては最下位に終わり残念。鋭すぎる刃を受けきるに十分なスキルを僕は持ち合わせていませんでしたw ただゲーム自体の出来は間違いなく高く、これでもう少し収束性が良ければリプレイバリューも高くなるのにな、といった印象にて終了。

“ゴールデン・ホーン”(レオ・コロヴィーニ/ピアトニク/2013年)

ハードゲームに疲弊した(笑)心身をシンプルなピュアユーロで癒そうと午後はこのタイトルから。

コロヴィーニ&ピアトニクというある意味不安材料が束になっている(失礼w)イメージから当初は期待薄の本作でしたが、どうも評判が上々なこともあり、なによりシンプルなピュアユーロなら一度はやらねばとこの日ついに立卓。

もうルールは本当に分かりやすくて、ヴェニスとコンスタンチノープルをつなぐ海路を船を使って物資を運搬し勝利点を獲得していきます。

しかしこの海路が曲者で、マゼラン海峡もかくやと思われるほどの狭路(幅は船1隻分のみ!)ながら、しかも往来する船は忽然と消えたかと思うとまた現れるという超常現象が茶飯事。この海域にはワームホールでも存在しているのでしょうか。(というのは上段半分ですがまあプレイして貰えれば分かりますw)

シンプルで完成されたルール(そして立体的かつ実用的なコンポーネント)で作り上げられた良質なピュアユーロの美しさがここに。45分で終わる素晴らしいファミリーゲームで評価はPositive。コロヴィーニのデザイン美学すら感じました(がそれは考えすぎでしょうかねw いや僕が悪かったです、コロヴィーニ!)。

“こびとのくつや”(山田空太/imagine GAMES/2013年)

これで2回目のプレイとなる国産同人カードゲーム。

気になることがあってくすぶっていたのもあって(そういう“ひっかかり”がリプレイの動機になることが僕の場合多い)今回のリプレイに。

やはりインストのハードルが高めの“練り練り”セットコレクション。

プレイヤーが手番に行うのはパスを含まない4つのアクションの中のひとつ。アクションによってはその先に更なる選択も用意されており、またアクションの内容自体が直感的に理解しにくいテクニカル的な内容のせいもあるのでしょう、最初はどのようにプレイすればよいのかが分かりにくいゲーム。

また大きく3種類に分けられるカードの内容も同じ内容のものが少なく、レアリティにも差が設けてあり、ゲームの全体像は平明に見渡すことがやや難しい初心者お断りタイトルではないかと。

今回が2回目のプレイだったせいか、初回プレイ時には見えなかった本作の奥深さ、取り得る戦略の幅の広さや各プレイヤーへの目配せの必要性、そういったものから生まれ得る本作ならではの面白みを感じることができたのが最大の収穫でした。

運要素の強さがいかほどかはまだ見えないけれど、それを上回ってプレイヤーのスキルに勝敗は依存している印象が強く、それも良いかと。

間口の狭さは否定できず評価はPositive-。冒険を恐れない、実に技巧的なゲームデザインだと思っています。

“パルミラ”(ライナー・クニツィア/egシュピーレ/1996年)

クニツィアの18年前の作品。リメイク作“モトリーフールの安く買って高く売れ”の方が(インパクトの大きさもあって)タイトルは有名かも。

手番では壺の売買を行い(パスも可)、その後で手札をプレイ(こちらは義務)する。じつにシンプルな相場コントロールのメカニクスがエンジン。

収束性よく、また適度な相場への介入感覚は良質で、全体的にはよくまとめられた、流石はクニツィアと思える佳作。

18年前のものとは思えない高い耐久性にも驚くが、個人的好みで言えば本作の捉えどころのなさ、ぼんやりとしてはっきり形の見えない全体像が僕に合わないサイドのクニツィアで、個人的印象はあまり、という感じ。ルールの解釈をめぐり議論が分かれてしまったこともあって評価はNegative。まあ個人的な好き嫌いはどうしようもない、というのはありますねw

“ビジネス”(シド・サクソン/リラックス/1998年)

古めのゲームをもうひとつ。16年前のサクソンのタイトル。

シンプルな競り&セットコレクションで、向こう3ラウンドにわたる短期的な将来の情報をもとに、プレイヤーは資本と株をマネジメントしていきます。

3、6、9、12月は配当がなぜか倍になる、またタイブレイクはダイス目勝負というのが伝統的なファミリーボードゲームっぽさを感じさせますが、この思い切ったデザインが握り競りによる一発勝負のダイナミズムにもマッチしており、これはこれでありという印象。

勝敗にこだわるなら高額配当時にいかに効率よく株を売却できるか、そのマネジメントにかかってきそうな気はします。

シンプルゆえにスタンダードたりえるひとつのサンプル。Positive-と評価。ワンプレイの価値はあるかと。

“プロスペリティ”(ライナー・クニツィア&セバスチャン・ブリーズデイル/イスタリ/2013年)

クニツィアとブリーズデイルによる師弟コンビによるイスタリからのエッセン新作を初プレイ。

建物を購入し国家を表す個人ボードに配置することで各種パラメータを管理する、まあよくあるタイプの都市(国家)発展ゲームですが、ファットになりがちなこの手のタイトルにしては全体がコンパクトに上手くまとめられており、にも関わらず取り得る選択肢も十分に用意されているあたりは素晴らしいかと。

おそらくシステムの骨子を担当したのはブリーズデイルの方ではないかと思われるほどクニツィアのデザインテイストは希薄で、まあ弟子にアドバイスする形でクニツィアが関与した結果このような秀作が生まれたような気が。

拡大再生産ということになると思うのですが、その成長曲線がストイックなまでに抑えられている印象で、アクションを実行しているにも関わらず、我が国家は本当に成長しているのだろうかという疑問から離れられないこの厳しいバランス感覚は全くもって正解で、つねにギリギリの緻密なマネジメントがもたらす緊張感と快楽から60分で収束するゲームながら十分なプレイ感が得られました。

ソロプレイ感の強い空気の中で、コツコツと一歩一歩的確に一手を刻んでいくことの快感がここに。リプレイバリューも高く、評価はPositive。これはエッセン5傑当落ライン上(どちらに転ぶかは今後のリプレイ次第か)。

ブリーズデイルは僕と相性の良いデザイナーなのかもしれません。これならこの作家の次作以降にも注目したいものです。

“エッベス”(クラウス・ガイス/パラティア・シュピーレ/2013年)

最後に本作で〆。昨年のエッセンで発表された話題のトリックテイク。

メインメカニクスは切り札ありのマストフォロートリックテイク。でここにプラス点や切り札などの各スート毎の役割がラウンドの進行と共に決定されていくという本作ならではの醍醐味を付加。

ラウンドの最初に各要素が決定されるトリックテイクは他にもありますが、このようにゲームの進行に伴うかたちで徐々に決定されていくというタイトルは他にもあったのでしょうか。とまれこのメカニクスが何とも言えない心地よい緊張感をもたらしており、シンプルながらきっちりとした良質のトリックテイクがもつ醍醐味をしっかり堪能できる良作。

またエッベス地方をテーマにとった渋くてクラシックなアートワークも本作のメカニクスと実によくマッチしており、スタンダードな大人のトリックテイクとして長くプレイされ得る可能性も秘めているかと。

まあとにかく僕はこのセンスあるシックなアートワークに一目惚れしてしまいましたねw

ということで評価はPositive-。手札が悪いときの逆転の可能性、マネジメント次第で如何に勝敗に絡めるか、この辺りが今後の研究課題でしょうか。



以上7セッションを一日にわたり堪能しました。まったくもってテーブルゲームのもたらす魅力からは離れられそうにありませんね。

お疲れ様でした。またの機会を。>参加者各位

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