プレイできたゲームについて簡単な感想、雑感をこちらにてまとめておきます。
“サンタクルーズ”(マルセル・アンドレ・カサソラ・メルクル/ハンス・イム・グリュック/2010年)
この日は寡作なメルクルの2010年作から開始。4人。
インスト30分、実プレイ60~90分、テキストのない中量級ピュアユーロ。
各プレイヤーは美しいサンタクルーズ島に入植し、開拓を進めます。
手番では建設カードをプレイして自分の建物を島に配置するか、決算カードをプレイして盤面の状況を得点に反映するか、大きく分けてこの二択。
ネットワーク構築と早い者勝ちの陣取り的要素がメインメカニクスなのですが、他者との差を広げるには効率の良い決算カードの使用が肝で、各プレイヤーの動向から決算カードを類推し、自分のプレイに反映させていくのも本作の醍醐味。
手番に使えるカードは1枚だけなのでどこで決算にいくか、そのタイミングの見切り、ここは待って建設を進めるのか否か、そういった良質なジレンマがシンプルで見通しの良いメルクルのゲームデザインによってもたらされており、本作ならではの快楽が生まれています。
流石はハンスと思わせられる良質なアートワークと素晴らしい木製コマの数々で、プロダクツとしても申し分のない仕上がり。評価はPositive。
久しぶりにプレイしましたが“あれ、こんなに面白かったっけ?”と首を傾げるほど楽しめました。
シンプルな骨組みのようなシステムゆえに読み合い、駆け引きに意識を集中できる良作。僕の中の理想のユーロ。
“ピック・ア・ディリー”(ハルトムット・コメレル/アバクスシュピーレ/2005年)
シンプルなルールのプロット&バッティング。
他者がどう出てくるか、その心理戦オンリーといってもいい運要素ゼロゲーム。
ゲーム開始時にはプロット(といってもほぼいずれかのプレイヤーを指名するだけのものだが)の方針が立てづらく、方向性が見えにくいが、進めるに従いおぼろげに取り得るべき指針のようなものが見えてくるような見えてこないような、そんななんともいえないもどかしさのうちにセッションは終了してしまうという印象。
軽妙なアートワークがシステムやルールとのマッチングも良好でなんとも憎めない。
十分に楽しめたし、プレイを勧められるけれど評価は厳しくNegative+。もう少し判断に具体的な材料が欲しいという気もするし、先行するプレイヤーを止めにくいというのは欠点と判断。しかしアイデアは面白いしゲームとして十分完成されてはいますね。
“BIRTH”(Product Arts/2013年)
拘りの国産同人ゲーム創作集団プロダクト・アーツが昨年暮れに発表したタイトルをようやくプレイ。
2~3人用というプレイ人数が特徴的な一種の変形双六とエリアマジョリティ。
各プレイヤーに支給される全11個のダイスをゲーム開始時に振り、以降の手番で1個ずつ選んでアクションを実行していきます。
ルールはシンプルで遊びやすく間口は広い割には、判断にジレンマはしっかりと生まれており、奥の深さもある好タイトルというのが第一印象。
ダイスというアイテムとエリアマジョリティというメカニクスが友好的に手を結んだ結果シンプルなシステムの中で実に見事にこのタイトルならではの面白さを演出しているなあ、と。
3人プレイ時のキングメーカー的問題などデリケートな部分でやや気になるところもありますが、アイデアや完成度などはプレイヤーを魅了するに十分かと。Positive-。
このグループならではのコンポーネントの完成度も流石で、このクオリティは海外商業タイトルにもひけをとりませんね。
(それにしても星や星座が出てくるゲームはそれだけでロマンチックですなあ。)
“ブラッド・バウンド”(カレ・クレンツァー/FFG、アークライト/2013年)
二つの陣営に分かれて行う正体隠匿系、人狼系を9人で。
今回はお試しプレイということで手探りの中でのプレイ。各キャラクターに割り振られている特殊能力やそれに付随するアイテムの確認などを行いつつのセッション。
人狼というか正体隠匿というカテゴリーにおいて、なるほどこういうアプローチもあるのかという新鮮さは確かに。
参加者全員がルールおよび特殊能力に熟知した上でのセッションであれば本作の真価に迫れるのでしょうね。現時点での評価はNegative。
思い切った収束性の良さも本作ならでは、という感じはしました。
“写本と修道士ダイスゲーム”(スティーブ・フィン/ドクター・フィンズ・ゲーム/2012年)
“ビブリオス”としてリメイクされた米国の同人タイトル“写本と修道士”のダイスゲーム版を5人で。
手番プレイヤーが計7つのダイスを振り、ゴールドダイスの出目に応じたフェイズを実行。リソースを得たり、それらリソースバリューの増減などを行いつつ資産を増やしていきます。
単独で先行してしまうと他者から分かりやすいほど妨害されてしまうので、息を殺して存在を消し、とは言えトップにそれとなく追随しその恩恵を享受しつつ、終了間際で如何に出し抜けるか、というのが勝利への道でしょうか。それと競り。ここはセンスというか嗅覚か。
元々のタイトルも斬新ながらコンパクトに上手くまとめられた佳作でしたが、本作もダイスゲームならではの遊びやすさとそこから発生するアピールも十分なまずまずの良作かと。
ややダレるのとプレイヤーを保護しない直接的なアクションの効果はユーロに慣れ親しんでいると刺激がやや強いような気も。評価はNegative+。
完成度は十分でプレイは推奨できるレベルです。
“ペアペア連想ゲーム”(アンドレア・マイヤー、エリック・ニールセン/コスモス、アークライト/2004年)
久しぶりに“7人リンク”。いまだに自分の中で7人プレイ時のベストゲームはこれ。
ヒントを出すことで相手にのみ自分がペアであることを伝えるコミュニケーションゲームの秀作。
好き嫌いは分かれるかもしれませんが、未プレイのままスルーで終わらすのは勿体ない一作で評価はPositive。
今回のセッションで議論になったのですが得点は非公開がいいと僕は思います。本作の問題点のひとつがこれで解消できるかと。
“プロスペリティ”(ライナー・クニツィア、セバスチャン・ブリーズデイル/イスタリ/2013年)
先日の初プレイの印象が良く早速のリプレイ。
箱庭のように非常にコンパクトにまとめられた都市(国家)発展ゲーム。
手番毎に公開される1枚のタイルがゲームに揺らぎをもたらし、また同時に予測できない未来を少しづつ確立していくという構図。
最近の傾向に則り、インタラクションは薄くソロプレイ感強め。各自がメインボードに居並ぶ各タイルと個人ボードの状況を見比べながらああでもない、こうでもないとジレンマに頭を悩ませることの快楽。
ここまでパラメータ管理メインなのに殺伐とした感覚がないのは何故なのかとか、どうにもクニツィアらしくないとかいろいろひっかかってて、まあこれはブリーズデイル主導のせいか、あるいはふたりの化学変化の結果かとも思ってますが…。
収束性の良さが素晴らしい。前回同様Positiveと評価。
繁栄点を重視し、前回よりも上手く回せて勝利できたのも非常に嬉しかったです。
“トップ・バナナ”(ジム・ウィンスロウ/シュミット/2002年)
子供向けゲームの皮を被った多人数アブストラクト、“トップ・バナナ”。4人。
立体的でカラフルなコンポーネントにまずは目が行きますし、その愛嬌のある猿コマから牧歌的でのどかな和気藹々としたゲームかと思いきや(いやある意味実際その通りなんですがw)、大人同士だと熱い頭脳戦が展開されるガチガチの良質アブストラクト。
変形双六の一種ともとれる、こんなありふれていそうなメカニクスはどこにでも転がっていそうな気もしましたが、このコンポーネントとセットで来られるとオリジナリティ感がアップするのですからそういう意味でもやはりボードゲームにとってコンポーネントは重要な要素なのかな、とか。
感想戦ではスタP有利説が有力で、僕自身も同意見。ここが崩せるかどうかで今後の評価が変わってきそうです。
まだ見えない部分も多々ありますが評価はPositive-。
ワンプレイの価値は間違いなくあったと12年前のこんなゲームに僕のようなフリークが思ってしまうのですからテーブルゲームはやめられないのです。
“ひつじグーグーグー”(ブルーノ・カタラ/ハリケーン/2013年)
カタラによる新作カードゲーム。4人。
降順または昇順に手札を場にプレイしていく我慢比べ。
最初はまあ普通のカードゲームかなくらいの印象でしたが、セッションを進めていくうちに、如何に場札の状況を自分の手札と相性の良い状態、つまり手札をプレイしやすい状態にもっていくか、そのマネジメントがひとつの肝なんだと思い始めてから評価が上昇。
少ないながらもリスクのある狼カードや一部の特殊カードも上記のマネジメントに程よいスパイスとなっており、このあたり流石はカタラ。
狼カードがプレイされた時のシャッフル等の処理でセッションの速度が一時的に落ちることや終了フラグが立つ75点という得点設定がやや長すぎるという印象はマイナスながらリプレイバリューのある体力は持ち合わせているようでPositive-と評価。
ホビージャパンの添付和訳ルールには致命的なエラーがありますのでプレイの際はご注意を。(この点に関しましては公式ブログで告知されています。)
それにしてもカタラはなぜ75点に設定したのだろう。(どうにも長すぎる気が拭い去れない…。)
以上9タイトルを一日かけて存分に楽しみました。
この日は小学生2名を含む総参加者18名と久々のにぎわい。参加していただいたみなさんお疲れ様でした。また同卓した際はよろしくお願いいたします。(^^)
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