2014/06/19

UDA土曜ゲーム会('14/06/14)

毎月恒例の自宅ゲームスペース“UDA”でのゲーム会を今月も開催しました。

プレイできたタイトルについて簡単な感想などアップしておきます。

“江戸職人物語”(imagine GAMES/2014年)

先のゲームマーケット2014春で発表された話題作のひとつ。この日はこのタイトルから開始。

手番になったらダイスを2つ(あるいは1つ)振り、それぞれのダイスに4つのアクションから1つのアクションを割り当て、計2アクションを行います。

アクション毎に、出目が大きいものが適しているものもあれば、小さいものが適しているものもあり、ダイスロールの結果を待って、ああでもないこうでもないとアクション選択のジレンマに苛まれるという構図。

この2アクションをゲームが終わる最終第12ラウンドまで、1ラウンド1手番つまりは24アクション(厳密には第1ラウンドでは1アクションしかできないので23アクション)を各プレイヤーは行っていくことになります。

“火消力”や“喧嘩力”といったパラメータ、長屋毎にグループ分けされたエリアマジョリティ的な得点システム、職人カードによるセットコレクション、表通りを周回していくことで行える各種アクションなどなど、ゲームの要素は少なくなく、あれもこれもと手を伸ばす暇はないので、状況を鑑みた上での最も効率の良い各種マネジメントが要求されるフリーク向けの本格派。

これだけの豊富な諸要素がバランスよく統一されていて、それでいてトゥーマッチな印象を与えない環境作りにはこの作者の力量が見て取れるのですが、参加者各々から出た否定的意見が“火事の強さ”でした。

1ゲームを通して計3回発生する“火事”。発生する場所は2D6で決定されるランダム要素で、直撃した場合回避はほぼ不可能と思われる事から、そこはもう“運が悪かった”と諦めることも肝心なのかと。この部分をどう受け止めるかで本作に対する印象や評価が分かれてくるような気がします。

個人的には、そこは(本作の趣旨にあっていると思われる)フレーバーの魅力、テーマの再現性(江戸時代の火事の怖さ)を優先した結果だと思われ、それほどのネガティブな印象はありませんでしたが、一部ルールの粗さや全体的な削り込みからもっとスマートなユーロ寄りになり得た感じもあり、完成度は高いのですが、そちらの方が自分の好みということもあって印象はNegative+

とはいえアートワーク、コンポーネント関係は一見の価値のある(カードは全てユニーク!)、圧巻ともいえる大変クオリティの高いもので、頒布価格5000円が安いとすら思えてくる本格的な国産オリジナルボードゲームなんて今までどれほどあったでしょうか。

“ビッグ・デール”(ブレント・ベック/シュミット/2014年)

先日の初プレイからずっと気になっていたカードゲームの新作をリプレイするべく立卓。

上限4枚(4人プレイ時)という厳しい手札制限の中で、2枚のセットを作り、自分の場にプレイしていく、基本は実にシンプルなカードゲーム。

肝心なのは他プレイヤーのプレイした場札を、同種のカードをプレイすることで奪える可能性があるアクションがあること。このアクションが有意義に機能するセッションだったかどうかで本作に対する印象も随分変わってくるのではないか、というのが僕自身の見解です。

上記略奪アクションは攻撃側防御側が特定のカードをプレイし続ける我慢比べで、ここで意地を張って手持ちのカードを使い切っている間は初心者。1枚や2枚での勝敗の決定が頻発するような中級者以上同士でのセッションになると本作が単なる運ゲーから読み合いや駆引きの楽しめるインタラクション豊かな妙味あるタイトルへとステップアップするような、そんなタイトルのような気もしているのですが…。

評判の良い近作“アブルクセン”に通じる部分もありますが、より面白さの見えにくいタイトルではないかという思いも(そういう意味では上級者向け?)。現時点での評価はNegative+。ジワリジワリと迫ってくるような面白さが垣間見え、少なくとも前回のセッションよりは楽しめたのは間違いなかったです。

“ハンザ拡張変化の風”(ミヒャエル・シャハト/シュピーレ・アオス・ティンブクトゥ/2006年)

熊本のゲームショップ、ゲームフィールドさんから復刻されGM2014春より国内流通が開始された、シャハトの名作の拡張。

主な変更点はマップ上にて矢印で表されている航路の調整や矢印の向きに逆らった移動も可能になったこと(要コスト)、またゲーム終了時に特定の条件を満たすことで入る各種勝利点など。

元々のオリジナルもシャハト特有のキッパリとしたキレキレの鋭いタイトルでしたが、状況によってはある特定の限られたエリアをぐるぐると船が移動するということも起こり得ました。それが今回の拡張の導入で、新風が吹きこんだかのように、船が自由自在に移動するようになった、というのがまずは僕の第一印象。

シンプルながら完成されたタイトルの拡張は成功させる難易度も高い印象がありますが、今拡張はオリジナルの良さを助長するような微調整がバランスを崩すことなく上手く本作特有の妙味を後押ししていることに成功しているという印象で、評価はPositive-

オリジナルタイトルは、シャハトの細心の注意が行き届いた、実に細かい部分にまでデベロップに気配りがなされた繊細なユーロという印象で、ここに手を加えるというのは一種の冒険ともとれますが、1点2点の勝利点を睨んだシビアな競技性の向上はまさに僕好みのアレンジで、今後本作をプレイする際は拡張の導入を前提にしたいものです。

“Futures!”(ワンモアゲーム!/2014年)

前作“Welcome!”につづいて同人ゲームサークル“ワンモアゲーム!”がGM2014春にて発表した注目の第二作。

先物取引をテーマにした本格株式ゲーム。

ゲームは8ラウンド(4人プレイ時)。各ラウンドは大きく前半後半2つのフェイズで構成されており、前半では手札を1枚、場の任意の表向きのカードの上に裏向きでプレイし、パスも含めて3つ用意されたアクションから1つのアクションを実行します。後半は前半で最後手番だったプレイヤーから反時計周りに手番を実行(つまりカタンの初期配置ですね)。今度は場の任意の裏向きのカードを1枚表向け、前半同様アクションの三択を行います。

前半後半のそれぞれの終了時に場のカードの状況を相場に反映させます。またラウンドの終了直前に手札を1枚補充し、手札の中から1枚ドラフトします。

この手の相場変動を楽しむゲームは、各種数値のバランスが肝だと僕は思っているのですが、本作の場合、相場の1マス当たりの変動値からバーストが発生する上限下限の限界値、総ラウンド数、カードの枚数や内訳、手札枚数などが実にバランス良くまとめられているせいか、濃密で緊張感のある株売買が存分に楽しめました。

バーストと最大利益は紙一重で、その点のドキドキハラハラ感も本作の醍醐味。

ハンドマネジメントの妙味豊かな、潔く風通しの良い良質のピュアユーロというのが僕の見解で、ここまでフレーバーを排除しシステムに重きを置いたタイトルに好き嫌いは分かれるかもしれませんが、ユーロ愛好者であれば悪い印象は持たれにくいのではないかと。

惜しむらくは弱い外箱と2枚のボード。頒布価格が上がってしまっても構わなかったので、しっかりとした外箱と二つ折りの1枚ボードがよかったという気も。まあその点を鑑みても評価はPositive-ですが。

一度のプレイでは本作の奥深さがどれくらいのものなのか見えていないので、プレイを重ねることでまだまだ評価は(本作の株価相場のように)変動しそうですが、この日のベストはコレ。

機能性とデザイン性が両立されている、すっきりとした各種レイアウトやアートワークのデザインがまた実に好印象だったことも忘れずに付言しておきます。

“漁火”(OKAZU brand/2014年)

コンスタントに良質な作品を発表し、既に海外からも高い評価を受けている日本のサークルのGM2014春の新作。

江戸時代の漁というあまり類を見ないテーマに、ユーロならではのアクションポイントシステムやリソースマネジメントが載せられた本格派。

僕のようなドイツゲームのプレイ経験豊かな者であれば馴染のある各々のメカニクスが上手くテーマに沿う形ではめ込まれており、安心してプレイに集中できる手堅い一作で印象は悪くない。

がそれゆえにオリジナリティや本作ならではの醍醐味は希薄ともとれ、奥深さに対する危惧や市場カードのめくり運の強さなどネガティブな面も。

経験を積み始めたドイツゲーム初心者がゲーマーズゲームの門戸を叩くのにお奨めできる一作という気もするけれど、まあすっかりフリークとなってしまった僕らのようなプレイヤーがゲーム棚に(必要以上に!)並べられた豊富なタイトルからこれを選ぶ理由は希薄というのが大きく、評価はNegative+

セッションは十分楽しめたのですが、この手の本格的なリソースマネジメント、アクションポイント制のゲームの、ドイツやその周辺諸国の平均水準の高さはそう簡単には追いつけない確固たるものがあるのでは、という思いも。(逆にワンアイデアを基にしたコンパクトなものなら国産の方が秀でている点も少なくないとも。)

“dois”(倦怠期/2014年)

こちらも実力派国産同人サークルのGM2014春の新作で、中身は本格的なトリックテイク。

特徴を大雑把にいえばスートとランクが分離されたビッド系マストフォロー。

このありそうでなかったスートとランクの分離というアイデアを聞いただけで、「こいつはマストバイだろ、コノヤロー」と予約した僕ですが、今回初めての実プレイで期待はやや裏切られたというのが正直な本音。

厳しいと感じたのは、ビッド系でありながら予想の的中に得点のウェイトがそれほど割かれておらず、ミゼールであれば単純に0点、獲得トリックが多ければ多いほど的中時の得点も高くなるというルールからはひたすらトリックの獲得を目指すのが前提にされているようで、これだとディールされた手札次第という運要素強めの側面もちらほら感じられたり…。

上手くスートとランクを組み合わせるという本作特有のプレイングでトリックの獲得に心血を注ぐという方針が狙いとしてあるのかもしれませんが、それが可能なのかどうかはまだ未知数。

この“スートランク分離”という素晴らしいアイデアを上手く違う方向で伸ばしていって、はっとするような本作ならではの面白さをクリエイトして欲しかったというのが本音としてありますが、まあしかしそれはそれで勿論ハードルは高いでしょうね。

今回の評価はNegativeですが自分の中でちょっと気になる点もあり、またアートワークが大変素晴らしい出来なので、ルールを読み込んでみてリプレイしてみたい欲求はあります。


このあと話題の“マスクメン”も立卓されたのですが、僕自身の疲れのせいかイマイチルールが飲込めず、消化不良感があったのでこのタイトルについてはまた後日再戦をまって感想を述べたいと思います。

まだまだ消化したいGM2014春の新作同人タイトルは少なくないのですが、まあマイペースでボチボチやっていけたらな、というところです。

この日も夜遅くまで参加していただいた諸氏に謝意を。また宜しくお願いしますね。

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