2014/10/14

UDA土曜ゲーム会('14/10/11)

毎月恒例の自宅ゲームスペース(とはいえ諸般の事情により今回の会場は公共施設でしたが)“UDA”でのゲーム会のレポートです。

プレイできたタイトルについて簡単な感想などをアップしておきます。

“ボード・ゲーム・ギーク・ゲーム”(リチャード・ブリーズ/R&Dゲームズ/2009年)

世界最大のボードゲーム・データベース・サイト“The Boardgame Geek”の創立10周年を記念して出版された、ギークによるギークのためのギークのゲーム。略称は“TBGGG”。

メカニクスはダッチオークション、セットコレクション、ダイスロール等々。その上にフレーバーとして大量の名作ボードゲームが載る、という構図。

シンプルで分かりやすいルールながらどこにも破綻はなく、適度なインタラクションやジレンマもあって、純粋にゲームとしてもそこそこ楽しめるという印象。おそらくブリーズがエリック・マーティンに依頼されて3か月くらいでサクッと完成させてしまったのでは?というのはあくまでも僕の妄想ですが…。Neutral+

ボードゲーム購入のための原資となるお金は自社のタイトルを他プレイヤーに勝ってもらう以外に入手の手段がなく、資本のやりくりは常にカツカツでした。

実在する大量のボードゲームが実名のままコンポーネントに採用されており、ネタの宝庫というかなんというか…。見ればわかる圧巻のクラマーフレーム等々すべてのゲームタイトルを言い当てたくなるのがフリークの性で、中には分からないタイトルもあるのですが…

このようにしっかり解答も用意されているのでご安心をw もうほんと徹頭徹尾マニア向け!

“ルークplus”(作者不詳/1992年/パーカーブラザーズ)

切り札ありマストフォローのトリックテイクで、獲得したトリックの中から任意の一枚を選択し、ビンゴを行うというもの。

自分の狙っているカードそして相手が欲しいカードがあることからそれを見越したトリックテイクをプレイする必要がありそこが本作ならではの妙味。

なるほどこういう風にトリックテイクとビンゴをリンクさせることも可能なのだな、という発見で、とはいってもまあそれ以上でもそれ以下でもないという印象も拭えず評価は可もなく不可もなくNeutral

収束するの?というモヤモヤとした空気の中で、しかしながら油断しているとスパッと終了することもあって、だから切り札ありのマストフォローは怖いのかなー、とか。

“郵便馬車”(アンドレアス・ザイファルト/ハンスイムグリュック/2006年)

複数の適度に絡み合った“条件”があって、その“条件”の達成を目指すのですが、他プレイヤーと比べて相対的に早いほど高く“評価”されるシステムなので必然的に“競争”が発生するという仕組み。この“条件”の設定の仕方がまずは上手い。だからゲームが面白いという印象。

盤面の状況つまり本作の場合自分や他者のネットワークの状況、オープンされている6枚の場札等々から1点でも多く点数を獲得するための最大効率の模索を強いられるキリキリとした一作で、カードドローという運要素はありながらそれを十分に考慮したとしても競技性は高く、また整理すべき情報量の多さから言って“フリーク向けの本格派”というのが僕の中での本作の立ち位置。

テキストなしでこの水準まで持っていけるというのはユーロの可能性の提示ともとれ、そこにザイフェルトの手腕の高さを感じるなど。

収束性の高さなど様々な要素も加味して考えると、ハンドマネジメントとネットワークビルド(という割とよくあるタイプのゲーム)のひとつの到達点という印象さえ。Positive

このセッションのあと“競争”は果たしてインタラクションを発生させるかどうかということをずっと考えてしまう始末。例えば100メートル走に駆引きはあるだろうか、フルマラソンには駆引きは間違いなくあるだろうな等々。

“Pairs”(ジェイムス・アーネスト、ポール・ピーターソン/チーパス/2013年)

ペナルティを被ったプレイヤーのみが自分の場札を流せるという“コンティニュアス”ルール採用で5人プレイ。

良質なジレンマが産まれており“ベーシック”よりも間違いなくゲーム性は上で、僕などはこれこそが本来の姿ではないかと思ったほど。Positive-

とはいえ“ベーシック”もファミリーでお手軽にパーティゲームとして楽しめる良作で、過大評価気味に言えばここに本作の懐の深さがあるのかな、とか。

瞬間的な最大風速で勝負するような10分ゲームとして秀逸で、アートワークも素晴らしいですし、国内流通しないのが実に残念。兎に角広くプレイを勧めたい走り幅跳びゲーム。

(付言:“ベーシック”および“コンティニュアス”の用語の使い方については多分に個人的なものである可能性もあることをここに付記しておきます。)

“宝石の首飾り”(アンドレ・フローベル/シュミット/2000年)

競り上げ競り下げの二つのオークションとセットコレクションのカードゲーム。

単体の宝石を複数組み合わせることでできあがる“ネックレス”は大きな価値を生む可能性があり、そこに夢を見て各種宝石を落札し、収集していくのは単純に楽しい。

マイナスポイントはシンプルとはやや言い難いいくつかの例外処理の存在で、ここをどう見るかで本作の印象は変わってきそう。

僕自身はもう一度ルールを整理した上での再戦を望みたいけれど、この手のシステムのゲームであればザックリとした例外の少ないルール(クニツィアのような)こそ生命線という思いもあり今回の評価はNeutral-

随分昔のゲームながら美しいアートワークは完成されており、それがコレクションの楽しさを後押ししている点は見逃せない。

“クシディット王国記”(レジス・ボネッセ/リベユー/2014年)

言い訳を一切許さないキッパリ、毅然とした態度で迫ってくる女子学級委員長(メガネ)のよう。ゲームが優等生だからなおさらそのイメージw

名作“ヒマラヤ”のボネセ自身によるリメイクで、出たばかりピッカピカの新作。

1ラウンドで各自が6つのアクションをプロット、計12ラウンドでゲームは終了。各プレイヤーはゲーム終了時に採点される3つのパラメータを上げることに凌ぎを削る。

プロットを終え計画ボードから手を離したらそこからは一種の自動処理で、盤面がどのように変化した後であろうとも手直しや意志介入が一切不可能な点は名作同様で、まるで切れ味鋭い刃のようなメカニクスだ。ただそれ故に目論見が的中し思惑通りの展開から十分なリターンが得られたときの快感も本作ならではのもの。

ダイスロールが廃止されタイルによってモンスターやリソース(本作では兵士の形をとっているけれど)が盤上に登場するのでその点で変な偏りが発生しない点、また終盤での、特定の都市、リソースを指定しないモンスター、タイタンの導入など諸々良質な改善かと。

三段階にわたる足切りで最終的な勝者を決定するメカニクスも言い訳を受け入れない厳しさを感じさせ、フェルトとはまた違った方向性でのマゾヒズムさえ感じたり。

比較的シンプルなルールながら広い視野と多彩な選択肢の発想、そしてそこからの取捨選択とプレイヤーに求められるハードルは低くなく、明るいアートワークの衣を纏った(その実)フリークゲームというのが僕の中での立ち位置。

サプライの徴兵タイル、脅威タイルの処理がやや煩雑な点のみがマイナスだがいやしかしよくできたゲームと唸った。Positive-

あと蛇足ですが個人的には本作により“ヒマラヤ”の存在価値が下がったとは思っていません。入手困難なこともありますし、あのタイトルはあれでリプリントしてほしいくらい。

“ブラックフリート”(セバスチャン・ブリーズデイル/スペースカウボーイ/2014年)

(古き良き)ボードゲームの楽しさのブリーズデイルによるアップデートな再構築。

自分と他人、複数のコマ同士が所狭しと行き交い、パチパチとぶつかり合う楽しさ。そこにテキストによる特殊能力や拡大再生産的な要素を取り入れ、その楽しさを助長するという構図。

分かりやすく後腐れのない実にさっぱりとしたドンパチで、直接攻撃は嫌だ云々といった議論とはまた別の次元でのぶつかり合いに僕は一種新鮮な感覚さえ。

この楽しさ、そして収束性の高さはプラスポイント。逆にテキストの占有率、マネジメント性の希薄さなどはマイナスポイントになってしまうかな。

ただ“ウィウィルウォクユー”や“レミング”ましてや“キーフラワー”とは一味違うがこの何とも言えない“彼らしいゲーム性”に僕はブリーズデイルっぽさを感じてしまったのも事実。

時間の関係で残念ながら今回は途中協議終了となってしまい評価は保留(多分Neutral~Positive-)だけれど楽しめたのは間違いなく再戦の機会を作りたいもの。

僕がボードゲームに求める緻密なマネジメントの妙、短期長期的な視野で戦略を練る楽しさ、また他プレイヤーとの盤面での熱い駆け引き等々はここでは希薄ながら、しかし“ゲーム”の面白さは十分に担保されているというのが現時点での印象。やっぱりスペースカウボーイは悪くない。

“四天王”(セドリック・ルフェーブル/ルドノート/2011年)

ケーキの切り分け問題とエリアマジョリティ、少々の特殊効果といったメカニクスの上に日本の戦国時代というフレーバーが載る。

勝利点となる陣地の確保のために必要な“兵力”または“石高”、そしてさらに特殊効果や手番順で差別化されている“四天王”が加わり、計3つのカテゴリからそれぞれのプレイヤーの取り分を親が決定するという“ケーキの切り分け”がメインのメカニクスとなるピュアユーロ。

ゲーム全体の情報量は分かりやすく、きっぱりとコンパクトにまとまられており、長くても全6ラウンドという収束性の良さ、そしてテキストに頼らないゲームデザインにユーロ愛好者はほっこりしてしまう。とはいえ問題のカードの分配には当然ながら頭を抱えざるを得ず、プレイヤーの手腕が試される厳しさも。

たった4マスで所有者が決定される陣地の奪い合いは熱く、カードの選り分けに関して言えば如何に自分に美味しく、他人にはゴミのような組合せを作れるかが肝心なところだとは分かっていてもそうそう上手くはいかず、そこはまあ理想論ですかね。

ジワジワと控えめながら効果的な特殊効果も味があってよろしいかと。Positive-

欲張っても欲張らなくても勝てない、絶妙な塩梅を目指す妙味。



というわけでこの日は全8ゲームを楽しむことができました。ありがとうございました。ではまた次回!

追加の一枚。(いろんな所にネタが!)

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