入手以来未プレイのまま一年近くゲーム棚に眠っていたタイトルのひとつをこの日遂にプレイすることができました。
この日はこのメインディッシュと、その前の前菜とでも言うべき3種のゲームを立卓、計4つのゲームを一日にわたりプレイできました。時系列に則り立卓した順に各タイトルの簡単な感想をこちらにて紹介したいと思います。
“グランド・ナショナル・ダービー”(ライナー・クニツィア/ピアトニク/1996年)
まずはクニツィアの旧作から。初プレイ。3人。
8頭の出走馬が計5回篩にかけられ、生き残る3頭の馬を予想します。
早い時点での正解ビッドほど点数が高いことからゲーム終了までの未来を見越したハンドマネジメントが求められるのと、プレイされたカードは誰でも何枚でも上書き可能というのが特徴的。
手札の内容からマネジメントの将来的な計画を練ることの醍醐味が、シンプルなシステムの中で端的に楽しめる、クニツィア的な切れある一作。十分に面白い。
3人はやや少なかったせいもあるのか、今回のセッションでは終盤で明らかなキングメイカー問題が出現してしまいましたが、それもそれまでの展開の結果として納得できてしまう説得力の強さを感じるなど。Positive-。
似たようなシステムのゲームがトランプにもあって、クニツィアがそれをどこまで意識していたか等々は興味深いところ。
“カテナ”(ライナー・クニツィア/プロリグノ/1992年)
ひきつづきクニツィア。こちらも初プレイ、3人。
大雑把に言えば、7つの陣地をめぐるエリアマジョリティ。エリアは個々のマスからなり毎回指定されたマスに全プレイヤーが同時ビッドを行いマスを落札。マジョリティを得たプレイヤーがそのエリアのマス数分の得点を得る。
贅肉の一切ない、骨組み、システムのみで構成されたソリッドな一作。加えて運要素もないから多人数アブストラクトとも言える。
コマの数値の関連性で若干の遊びが設けられてはいるものの、本質的には極めて限定された情報量をもとに行われる純粋な心理戦で、僕なんかは好きだけれど、淡泊と敬遠される向きも否定はできないか。
1ゲームが15分で終わるいわば50メートル走のようなタイトル。Neutral+。
ボードやコマそしてコマのスタンドまで総木製のコンポーネントは“立派”の一言。ここまでくると工芸品の域。
レアリティの高いタイトルでもありますね。
“サマルカンド”(シド・サクソン/アバクス/1998年)
巨匠サクソンの市場ゲーム。3人。
セットコレクションをメインに、ハンドマネジメントやダイスロールといったメカニクスからなる、砂漠を舞台にした商いゲームで、移動については変型双六をベースにしているとも見える。
3種のマスにて商品の交換、購入、売却を行うことで利潤を得、いずれかのプレイヤーが既定の財産を築くことでゲームは終了。
運も戦略もバランスよく取り入れられた、古き良き直球のピュアユーロ。
本作ならではの突出したポイントこそ少ないものの、“行商”というフレーバーが上手く再現されており、無理も無駄もなく手堅くまとめられたデザインで、セットコレクションの妙味を誰もが安心して楽しめる一作かと。Neutral+。
ドーン“イスタンブール”と本作を関連付けましょうか、どうしましょうか…。>識者各位
(余談:本作もそうですが同名別ゲームって結構ありますよね。どれだけ上げられるかでゲーマーレベルが計れるバロメーターとしても機能するかもw)
“マデイラ”(パウロ・ソレダード、ヌノ・ビザロ・センティエイロ/ホワッツユアゲーム/2013年)
前菜3種を終え昼食休憩ののち4人となって本日の主菜となりました。
ポルトガルによって発見された“木材”を意味する名前を冠する孤島を舞台にした開拓系。
ワーカープレイスメントやリソースマネジメント、ダイスロール、フードサプライ、個人ボードといった近年のフリーク向けユーロのメカニクスが網羅された感もある、ここのパブリッシャーならではのボリュームあるタイトル。そのボリュームがインストのハードルを高めるのは勿論のこと、情報量の多さから初回からスイスイとゲームを進めるのは困難な重量級。
要素が多いので何から手をつければいいのか途方に暮れそうですが、勝利に不可欠な大量の勝利点獲得のためには必須とも言えるタスクの達成を当面の目標に据え、そこから遡ってひとつひとつ足場を固めていくというのがまずはオーソドックスな攻略法か。
このタスクはある程度選択できるので、なるべく他者とかぶらないものを選択することで払う労力を軽減し、そこから複数のタスクを高い達成率でコンプリートし大きな勝利点をモノにするのが理想のカタチ。これらのタスクが絡み合っていることで本作の重厚なプレイ感が産まれているようにも思いました。
特徴的なのは一因多果とでもいえばいいのか、ひとつの判断が複数の結果を決定する場面が少なくない点で、それが一手一手の重みの要因にも繋がっているという印象。
良質なバランスで各種要素が無理なく詰め込まれた戦略性十分の歯応えあるフリークゲームで全5ラウンドはあっという間。Positive-。
マイナスポイントは要素の量の割に取り得る戦略の幅は存外狭そうな気配があったことと、やはり収束性の悪さというか1ゲームに要する時間。これでもう少し早く終わるのであれば何度かのリプレイも考え得る完成度の高さはあるのですがね…。(やはり表記120分は伊達じゃない!)
とはいえトータルな完成度は非常に高く、この見知らぬ孤島を舞台にした未開の地の開拓やギルドや国王の補助、植民地への船出や貿易などからなる3時間半の攻防は濃密な現代テーブルゲームの快楽を存分に提供してくれました。
以上4タイトルにてこの日のゲーム会は終了。帰途では“やはりたまには重量級ゲーマーズゲームもいいものだ”という余韻にひたっていました。
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