2014/05/14

UDA“ゴールデンウィークK君迎撃”ゲーム会('14/05/04)

黄金週間中の4日日曜日にUDAゲーム会を開催しました。

この日は地元福井の高専を卒業し、現在は進学した大学院で研究に励まれているK君が学業に忙しい中帰省されるということで、それなら久しぶりにゲーム会を、という趣旨で急遽開催が決定したクローズゲーム会でした。

午前10時にUDAに4人が集まりこの日のゲーム会は始まりました。

それではプレイできたタイトルについて簡単にレポートしておきます。

“炭鉱讃歌”(クラマー&キースリング/ペガサス/2013年)

昨エッセンで発表されたクラマー&キースリングのワーカー配置。僕自身は2回目のプレイ。

炭鉱にて石炭を採掘し、注文にあわせて出荷することで勝利点を獲得します。

メインとなるアクション選択のメカニクスはワーカー配置ですが、アクションポイントとセットコレクションの要素もある、見通しのよい重めのファミリーストラテジ。

ワーカー配置に関しても誰かが選択したアクションがその他のプレイヤーには選択できないというわけではなく、ワーカー1個の追加コストを支払うことで選択可能なので、“緩めのWP”と見ることも可能なところが大きな特徴のひとつ。

こねくりまわされたゲーマーズゲームに揉まれた体には、この晴れ渡ったような視界のクリアネスは爽快とさえ(笑)。それ故に可能だからこそ他者の持つ注文書にはしっかりとした目配せが必要で、その点も意識したアクション選択が本作の妙味で、ここから良質で適度なインタラクションが生まれており、その部分を楽しむのが本作最大の醍醐味。

運要素や重さ、競技性などが絶妙のバランスで、この気持ち良いプレイアビリティの高さはフリークにも受け入れられるかと。しっかり面白いナイスゲームで評価はPositive

セッションの方は開始タイトルからK君の快勝で早くも迎撃されるという結果にw やっぱり彼の強さは衰えていなかったようですw

“ブリュッセル1893”(エティエンヌ・エスペルマン/パールゲームズ/2013年)

昼食休憩の後、本日のメインディッシュの立卓。ベルギー発パールゲームズの目下の最新作です。

以前より再プレイの機会を窺っていたタイトルでしたが今回ようやく念願叶って2回目のプレイを実現できました。

1900年前後の欧州、アールヌーヴォーという建築様式のテーマが際立って印象的なワーカープレイスメント。

シンプルなWPを骨組みに、競りやエリアマジョリティ、各種パラメータ管理、多種多様な得点獲得方法などが肉付けされており、昨今のゲーマーズゲームの特徴のひとつでもある“一手の判断が複数の選択を兼ねる”こともあって初見での見通しの悪さは相当なもの。

とはいえ手番でやることは基本的にワーカーをひとつ配置していくだけなので、意を決してセッションに飛び込むと、インストを受けた段階でのモヤモヤとした霧がかかったようなイメージが徐々に晴れていって、プレイを終えるころにはむしろシンプルにさえ思えるプレイヤーもいるかもしれません。

むしろプレイヤーの頭を悩ませるのは多数用意された勝利点獲得の選択肢の中から最善の一手を見つけ出すことで、最近のタイトルにしては珍しいくらいの濃密なインタラクションのせいもあって、プレイヤー間のパワーバランスが刻一刻と変化していくのもダイナミズムを生み出していて面白い。

建築や人物、エリアマジョリティ、美術品の売却、終了後の追加ボーナスなど多岐に渡る得点獲得要素の中から、セッションの成り行きというダイナミズムの中で、もっとも効率の良い選択をコツコツと選んでいくことが勝利には必要で、緻密なマネジメントゲームの妙味がたっぷりと味わえる良作。Positive

セッションの方はこちらも初プレイのK君の快勝に。(いや、あれだけ赤い(K君)土地踏んでたらそりゃねえ、という声もw)

“トロワ”に始まるパールゲームズの諸作に僕は一種のクレバーなアカデミズムというか、迸る才気煥発というか、そういった“頭の良さ”のようなものをいつも感じます。まあもっともそういった部分がゲームに必要だとは思っていませんが、狙わずに製作しているにも関わらず毎回必ずそういったフレーバーを嗅ぎ取れてしまうところに彼らの“かっこよさ”を感じてしまったりします。

“イスタンブール”(ルディガー・ドーン/ペガサス/2014年)

注目のドーン、ニュルンベルク新作。

4×4で16枚用意されたアクションタイルを自コマが移動していくことで様々なアクションを発動し、勝利条件となる5個のルビーの一足早い収集を目指します。

都合16種用意された総アクション数が初心者にとってはトゥーマッチになるかもしれませんが、ゲーマーズゲームというよりはあくまでも“重めのファミリー・ストラテジという立ち位置”というのが僕の解釈で、間口は広い方かと。

各種のバランスが適度に手堅く纏められ、収束性もよい、これといった欠点の見当たらない良質なユーロのお手本のようなタイトル。まさにプレイして面白いエリート。

しかし一方で、磨きに磨かれた結果表面がツルツルになり、取り付く島もない球体のようなものを想像してしまったのは“宝石の煌き”の時と同じで、ただフリークには逆にそこが物足りないというか、どこかに一種歪な部分があって、そこにひっかかることで、そのひっかかりをめぐって検証したい僕のような好事家にはアンビヴァレンツな複雑な印象もあります。(まあそんなボードゲームファンはあくまでもマイノリティですがw)

運要素が低めなこともあり、頭の良い人は先々のアクションを頭の中で組み立てることでリードを確保することも可能でしょうか。参加者全員がその領域までいったとしたら本作の持つ競技性の高い一面も垣間見れるかもしれませんね。

良く出来た2014年の収穫の一作にPositive-の評価を。この完成度の高さこそドーンの力量で、その点において彼は評価されてしかるべきでしょう。

“太陽、海、そして砂”(コルネ・ファン・モーセル/クワリ/2010年)

南海のリゾート地にて集客による収入を競うオランダはクワリのモーセルの4年前のタイトルを初プレイ。

手番には4つのアクションの中から一つを選択。“時間”と“お金”がアクションのコストとなっており、アクションによってはラウンドを跨いでワーカーが拘束されることで、時間がコストとして処理されています。

モジュラーボード的に1ゲーム全体の期間である8週間の訪問客のデータがバッチリ決定されてゲームが開始されるとその後は運要素の全くない世界で、揺らぎは各プレイヤーの手番毎の判断によってもたらされるのみで、セッションの根幹を成すのはいわば“インタラクションのうねり”。

展開を注視し、最善のアクションを選択していくその見極めが本作最大の醍醐味。運要素ゼロのアブストラクト的なゲームシステムとカッツカツのリソース(本作の場合ワーカーに相当する“家族コマ”と“お金”)マネジメントが明るい南の島のイメージとなぜか非常にマッチしている印象で、優れた収束性もあって、セッションはあっという間に終わってしまいました。

自分の箱庭をコツコツと少しづつ大きくしていく拡大再生産のメカニクスは、理不尽な部分のないクリアな将来の展望から組み立てる計画性の妙味との相性も良く、ゲームは実に面白いものでした。

クワリやモーセルにそれほどの期待をしていなかった僕ですがこれは発見。Positive

バックパッカーの移動のルールなどルール読みの段階ではなにやらキワモノ的なイメージを持っていましたがプレイしてみると思いの外素直でシンプルなシステムで、その点も実に好印象。まだまだリプレイしたい一作との出会いでした。

“プロスペリティ”(ライナー・クニツィア&セバスチャン・ブリーズデイル/イスタリ/2013年)

昨エッセン新作のひとつ。3回目のプレイということもあり今回はじめて個人ボードは高難易度面を使用しました。

極端なまでに要素を削ぎ落とした文明発展型ともとれますし、成長曲線の実に緩やかな(いつまで経っても楽にならない!)拡大再生産型ともとれるタイトル。

手番で選択できる各アクションの内容や決算のシステムの明快さなどゲームのボリュームはあっさりとしたカロリーの低いものでありながら、セッションが進むにつれプレイヤー毎に進んでいる道が徐々に固有のものに少しづつ変化していくのが面白く、各自の思惑の違いから生じる結果の優劣を競うのが本作の主旨でしょうか。

まだ要検証ではありますが、シンプルながらいろいろなプレイの方針が考えられそうな奥の深さを予感させてくれる点に僕は大きな魅力を感じており、評価はPositive。ゲーマーを終始悩ませることになる悶絶するようなハードなバランスも実に素晴らしいかと。ということで本作もリプレイ欲求の強いタイトルのひとつ。

全てのタイル(施設)に名前が付されており、この辺りのフレーバーも同時に楽しめます。



以上5タイトルを一日にわたりクローズで楽しみました。

既プレイ3作、初プレイ2作でしたがいずれも当たりと言ってよく、非常に充実したセッションばかりだったと思います。

K君はじめ卓を囲んだみなさんお疲れ様でした。また帰省されたときは是非一緒にボードゲームを楽しみましょう。

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