2014/05/14

UDA土曜ゲーム会('14/05/10)

10日の土曜日に月1ペースで開いているUDA土曜ゲーム会を開催しました。

例によってプレイできたタイトルについて簡単に感想をまとめておきます。

この日は午前中は3人だったので最初の2タイトルのみ3人でのセッション、“造船所(シップヤード)”から終了まで4人でのセッションとなりました。

“ヴォーパルス(拡張ヴィシャス入り)”(I was game/2010、11年)

100年間にわたる戦乱の世界を再現した国産ドラフトカードゲームを拡張のヴィシャス入りでは初めてのプレイ。

救いのないテーマと暗いアートワーク、両隣との軍拡競争、カツカツのリソースマネジメント、“経年”のメカニクスにより次々と死んでいくユニットたちとゲームを構成する各要素がどれもシリアスなあまりにも正統派な一作。

ドラフトとの相性も考えられた配置や戦争などからなる4つのフェイズで構成される1ラウンドを4回つまり4ラウンド行えばゲームは終了で、1時間弱のセッションでこれだけ豊かなプレイ感が得られるのだから高く評価されているのも充分頷ける一作。

各種カードのシナジーや土地と建物も絡めた戦略、そこに絡むドラフト時のプレイヤーのスキルなどなどリプレイに耐えうる奥深く豊かな世界を予感させる本格派で評価はPositive-。あまりにも硬派で完成された“閉じた世界”ゆえ気軽に誰にでもプレイを勧められないところがネックか。

拡張“ヴィシャス”で建物が3種といくつかのユニット、それに5金カウンターなどが追加されています。がこちらは本体をヘビープレイしたすれっからし向けか。あくまでも本体のシステムに沿ったささやかなエクステンションながら正直なところ僕にはまだ早いように思えました。まあそれくらい本体の完成度が高いということでしょう。

“ヴァルハラ”(アレッサンドロ・ズッキーニ/アミーゴ/2008年)

海賊テーマの、一種の変形エリアマジョリティ。

手番には船タイルを1枚ドローし、侵入するフィヨルドを決定。進めた先の土地に上陸し、その土地での効果を処理していきます。

ラウンドの区切りで3つある各半島のマジョリティチェックを行い、1位と2位に勝利点が入る仕組み。これを3回つまり3ラウンドでゲームは終了。

面白いのは上陸における戦闘で、防御側が一方的に防御するかしないかを選択できる点。この時ヴァルハラやアスガルドといった本作特有の名前を持つリソースプールのメカニクスが活きるようにデザインされています。この辺りの攻防が実にドイツゲームらしくシステマチックにデザインされており、そこがプレイアビリティの高さや収束性の向上につながっている点に感心しました。

シンプルながら適度なインタラクションから駆引きの面白さも十分に堪能できるすっきりとした収束性のよい良質なユーロで、システム重視派も満足できる一作。Positive

このクオリティならズッキーニもシャハトやクニツィアと対等に渡り合えたはず。リプレイバリューも十分かと。

“造船所(シップヤード)”(ウラジミル・スーヒィ/CGE/2009年)

午後1でこの日のメインディッシュの登場。地味ながら評価の高い本作をようやく初プレイ。

“グレンモア”を連想させるようなアクショントラック上でアクションを選択し、自分の船を建造していきます。他人に選択されているアクションは選べないという厳しい制限はワーカープレイスメントのそれを彷彿とさせます。

ゲームが開始されるとタイルのドロー以外には運要素はなく(しかしそれとて開始前に山札として確定はされているのですが)、競技性の高い一品。

インストや大量のタイルのせいで準備に手間取りますが、セッション自体には冗長な部分がなく、プレイに入る前は一見要素が多すぎてトゥーマッチかと思えましたが、プレイアビリティが抜群に高いせいか、セッションの間はコツコツとマイシップの組み立てに集中できるオモシロゲームでした。

繰り返しになりますが、デベロップに労力の割かれた末に完成をみたと思われる高いプレイアビリティが保証された環境で、船の土台から完成後の試運転までを視野にいれた長期的短期的プランニングの妙味を存分に味わえる楽しさは現代の良質なフリーク向けのボードゲームならではで、この手のフリーク向けモダンユーロが好きなプレイヤーのツボをしっかりとおさえてくるあたり、流石はチェコ。

無駄な部分は一切ないとは思いますが準備からすべて込みで4時間以上かかったのは気になったこともあり評価はマイナス付のPositive-。同好の士が夜な夜な繰り返しプレイするに足りる、リプレイバリューも十分なタイトルかと。

“辛いトウガラシ”(アルヴェ・D・ヒューラー/ツォッホ/2014年)

ビッド系マストフォローの新作トリックテイク。

4つのスートの中で、最大獲得と最小獲得のスートをそえぞれひとつビッドします。完璧な正解で10点が獲得できます。

トリックを獲得した時にプレイされたカードに加え、場のカードも獲得するルールなので、その点も考慮したビッドが必要になります。

ビッド系はその場の成り行きの操作性のバランスがゲームの面白さに直結してくると思っています。要するに“ままならなさ”の匙加減が肝要ではないかと。

その点このタイトルはギリギリでままならなさが強すぎるという印象。こちらのスキル不足もあるかもしれませんが、トリックの成り行きが予想の範疇を外れすぎる感がいささか強めでした。

シンプルで面白いメカニクスと良質なアートワークには好感が持てましたが本セッションでの評価はNegative+。もう少しプレイを重ねてみたいものです。

“ラムと名誉”(ステファン・フェルト/アレア/2006年)

未プレイのまま棚に眠っていたフェルトのアレアデビュータイトルを初プレイ。

各所でのダイスロールがやはりなんといっても本作でメインとなるメカニクスですが、セットコレクションの要素があったり、またアクション選択に手持ちのコマを消費する構造は一種のアクションポイント制のメカニクスとして僕の目には映りました。

今でこそそのイメージは軽減されましたが、当時のアレアブランドのイメージからすると拍子抜けするようなシンプルなダイスロールの寄せ集めで、発売直後にリアルタイムでプレイしていたら先入観も手伝って肩すかしを食らっていたかも。

とは言え程よい考えどころやジレンマは残されており、胃が痛くなるようなフェルト流マゾヒズムこそ希薄なものの、競技性優先のフリークも充分に楽しめるダイスロールという位置付けで、これはフェルトの確実に存在する“別の一面”の側を代表してもおかしくはないまずまずの良作という印象。

海賊どうしの“乱闘”フェイズはダイスロールの面白さを端的に提供することに成功しており、こんなある種軽妙洒脱ながらしっかり面白いゲームに仕上げてくるあたりにフェルトの才覚の幅の広さをあらためて感じました。もっと早くプレイしておくべきでしたね。Positive-

見た目の暗さがマイナス方向にしか作用していないように思われるのが残念。このシステム、メカニクスならもっと明るいアートデザインの方が広範な人気を博していたようには思えます。(ただ個人的にはこの暗い海賊テーマは好きだったりするのですがw)

“七つの印”(ステファン・ドラ/アミーゴ/2003年)

ドラによるビッド系マストフォロートリックテイク。

配られた手札から予想するのは獲得するスートとその数。そこまでならよくあるタイプといえそうだが、本作では“妨害者”になることも宣言できる点で、そこがオリジナリティに寄与している。

先の“トウガラシ”と同じく、この手のトリックテイクではトリックの成り行きへの支配の塩梅がひとつの肝になると思っているわけですが、切り札が“赤”と指定されていることが上手くバランスの調整に寄与している印象で、この適度な“ままならなさ”はかなりいい線いっているかと。

“妨害者”がかなり安直に逃げられるという点で、完成度において画竜点睛という気もしないでもないのですが、専用デッキのトリックテイクでここまでしっかりしている点は間違いなく評価できる。

ドラの実にクールで鋭い一品にPositive-の評価を。

15トリック中7トリックを予想し見事に的中させたH君は間違いなくこの日のMVP。心洗われるようなファインプレーでしたね、あれは。



このあとシャハトの“カランバ!”もプレイしましたがルールに不明点もあり協議終了に。ルール再確認のうえ再プレイに臨みたいものです。


以上6つ(プラス1)のタイトルを一日かけて楽しみました。

参加していただいた皆様お疲れ様でした。またの機会を宜しくお願いします。

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