2015/01/17

越前市(福井)ボードゲームの会 1月ゲーム会(2015/01/11)

主催を務めるゲーム会への参加で今年初のゲーム会参加となりました。

プレイできたタイトルについて簡単な感想をこちらにてまとめておきます。


“ヤバラス”(キャメロン・ブラウン/ネスター・ゲームズ/2009年)

スペインに居を構え、秀逸なアブストラクトを発信し続けるネスター・ゲームズ。代表作といってよい2人用アブストラクトからこの日は開始。

ルールは端的にいえば三目作ってしまってはいけない四目並べ。つまり二目と間1マス空けて一目のラインを作るのが目的です。

シンプルながら奥深く味わい深い、また非常に分かりやすいアブストラクトで、いったんプレイし始めると中毒のように何度も続けてプレイしたくなる魅力が。Positive

先手が若干有利なのかなとか定石はあるのだろうかなどなど気になる点も少なくなく、今後も末永く立卓していきたいタイトルのひとつ。

盤面を通して二人の間で会話が成立するのも良く出来たアブストラクトの証左でしょうね。

長期戦になり盤面を埋め尽くすような展開になるといかに三目から逃れるのかという勝負にもなりそう。


“ゼロ”(ライナー・クニツィア/テンデイズ・ゲームズ/2014年)

クニツィアの名作を昨年国内ショップにより再版されたバージョンで。

ゲームは7つのスート、8つのランクからなる全56枚のカードからなります。

数字がそのまま失点になりますが、同じスートやランクをそろえていくことで帳消しにし、理論上の満点である“0”点をめざすハンドマネジメント、セットコレクション。

ディールが終わるとデッキからのドローが一切ないため場の5枚を含めたプレイヤーひとりあたり9枚×プレイヤー数のカードのみでセッションが進行するゼロサム構造。

数学者クニツィアのデザインしたこのカード構成が絶妙なのか、シンプルなルールながら濃厚なジレンマの連続で、控えめな存在感ながらピカリと光る完成度の高いカードゲームの絶好のサンプルのひとつ足り得る資格十分。Positive-

場の5枚を媒介にした緩やかなカードの循環という印象。

(ちなみにオリジナルは1998年ベルリナー・シュピール・カルテンより。)


“ドラゴン・スレイヤー”(デイヴィッド・J・モーティマー/インディ・ボーズ&カーズ/2014年)

ダイスロールによるシンプルなセットコレクション。

ヒット率の高いパブリッシャーゆえ本作にも期待していたけれどこれはちょっと…か。

プレイヤーの意志による選択やインタラクションが薄く、多人数ソリティア色濃厚ながら手番でのアクションもほぼダイスロールの結果次第で機械的な処理がほとんどゆえ、まあレッドドラゴンがどうこうとか参加者各位が展開にフレーバー的な味付けをして盛り上げていかなければ辛いタイトルか…。Negative

次作には期待してます。>パブリッシャー殿


“グランオクトパスの夜”(フレデリック・モラード/イエロ/2014年)

シンプルなプロット→バッティング、セットコレクション。アドバンスト・ルールもあるようだが今回は基本ルールを4人で。

“カルティスト”と“落し仔”という2種類のコマを各自が操り、勝利条件となるアイテムの収集を目指すクトゥルフテーマもの。

プロットするのはアクションではなく進みたい場所で、ミニマルに延々とその場所のプロットを続けるのみというのはシンプルというよりやや味気なく、なんだか物足りないという印象。

他者の行動をその所持アイテムの状況から推測するのがゲーム性を生み出すのは分かるつもりだけれど、端的に“お仕事”問題が発生しやすいという問題点も見逃せず、Negative+

メカニズム的に同ジャンルで(意外に激戦区という印象)、これより秀でていると思われるタイトルは少なくなく、僕にとって存在意義は薄いか。

存在感十分の木製コマ、美しいアートワークはイエロのナイスワークだけれどね。


“ドゥードゥル・シティ”(エイリフ・スヴェンソン、クリスチャン・アムンゼン・オストビー/アポルタ・ゲームズ/2014年)

ダイスロールの結果を効率よく自分のシートに書き込むことで得点に反映していく“クウィックス”や“ストリームス”、“ローリング・ジャパン”などど同系統のメカニクスのタイトル。

ひとつしかない青ダイスは全プレイヤーが共有、プレイヤー数+1個ある白ダイスをスタートプレイヤーから順に選択していくことで決定される1マスに道路となる線を引いていく。

先にあげた親戚関係にあるような他タイトル群にくらべて、ややゲーマーよりというか勘案すべき要素が増えているという印象で、テーブルゲーム初心者より多数のタイトルを経験済みの中級者以上にウケがいいかも。

脳内に描いていた当初の街の設計図どおりにいくはずもなく、そのままならなさに悶えつついかに美しく修正していくかが本作の妙味だろうか。Neutral+。リプレイ欲求も刺激されるし、まあ悪くない新規参入者という位置付け。


“ラ・イスラ”(ステファン・フェルト/アレア/2014年)

さてフェルト翁期待のエッセン新作。

①ラウンド開始時にドローする三枚の手札を三種のアクションに如何に割り振るか、②ボード上の動物を囲むことで入手し勝利点に繋げる、この①②のふたつが本作の二大柱という印象。

①は(デッキからのドローなので)運要素ありかつインタラクションなしの完全ソロプレイ、②は完全情報ゆえ運要素なしかつ動物は有限で早いもの勝ちなのでインタラクションありという構図。このふたつをマネジメントしていくのが本作の妙味か。

ルールやゲームの骨組みはシンプルでハードルが低いのは確か。しかし盤面の情報と手札(たったの3枚なのに!)をにらめっこして最善手は何かと考え始めると途端に深い深い迷宮の中に潜っていくようなこの感覚だ。

ふとなにやらパズルを解かされているような感覚にはっとすること少々。ここを面白いと思えるかどうかで本作の評価が分かれるような気がする。(ゲームなんてインタラクションが薄くなればなるほどパズルになっていくといってもいいかな、と。)

僕にはこのパズルはいささか難解すぎるけれど3枚の手札のハンドマネジメントの面白さはまた格別という印象で僕の評価はPositive-

しかしフェルトはほんとにいろんなアイテムを出してくるなあと、そこにも感心しきり。本作の丸いモジュラーボードにも新鮮な驚き。


“オロンゴ”(ライナー・クニツィア/ラベンスバーガー/2014年)

フェルトのあとは巨人クニツィアの新作を。4人と3人でこの日計2回プレイ。

握り競りと陣取りという分かりやすく熱い組合せ。

ルール、インタラクション、情報量、運要素といった各所のバランスの塩梅がまずは絶妙。

肥大化とシンプル偏重が二大潮流にも見える最近のユーロの中でこのシンプルな90年代的手触りは非アップトゥデートという感覚もまた否定できないものの大きな安心感とシンプル故に風化に耐えうる強靭な骨格には往年の名作ユーロの数々と同等の質が。Positive

既出なのかどうか、浅学の僕には判断できないけれど(おそらく初出だろう)、この独特な競りのメカニクスがまた良くできている。

ただ難点が皆無なわけではない。コンポーネントについて二点。視認性という言葉を持ち出したくなるタイルと白色のプラ製貝殻コマ。タイルについては“ある/ない”の判別が瞬時には着きにくい。また曲線を多用したデザインの貝殻は盤上に配置した時に安定性の面でやや難あり。これなら僕は単純に白円形ディスクを使いたくなる。(そしてこのために実際に発注したのだけれど。)

複雑なルールやテキストによる特殊効果がなくてもリプレイアビリティの高いゲームは作れるという好サンプル。


“マラケシュ”(ドミニク・エアハルト/ギガミック/2007年)

分かりやすいシンプルなルールと絨毯を敷き詰めていくという見た目のインパクトで掴みは十分な2008年度SDJノミネート作“ズライカ”の正確にはリメイク作。

手番開始時に市場のマネージャー駒の進行方向を3つの選択肢から選んだあとはダイスロールで自動処理というシンプルさ。“期待値”という言葉でもって短期的な視野での最大効率(あるいは予想される最小の損害)を考えつつプレイするようないわばすれっからしのゲーマーにはシンプルすぎて妙味が薄いというかなんというか。

手広く絨毯つまり自分の領土を盤面全体に分散させるか、一続きの広大な土地を形成し一攫千金の夢を見るかという選択肢もあるかもしれないけれど、そこまでのジレンマもないかなというのが率直な印象で、僕にとっての存在意義は薄く、端的にいえばノットフォーミーな一作。

流石はギガミック、コンポーネントの出来、魅力は十分だし、この“絨毯を敷き詰めていく”というギミックは立卓される場次第では大いにウケそうなのもまた確かだけれど。Negative+


“インフェルノ”(ライナー・クニツィア/テンデイズ・ゲームズ/2014年)

前述の“ゼロ”と同じく、東京三鷹のゲームショップ“テンデイズ・ゲームズ”から日本独自のバージョンとして再版されたクニツィアのカードゲームを5人で。

こちらはスタPがプレイしたカードと同じ色か数字を手札からプレイしていく一種のゴーアウト型。

プレイできない(あるいはしたくない)場合、それまでにプレイされたカード全てを失点として受け入れるというルールのせいでゲームが激辛の唐辛子のように刺激的になっていて流石はクニツィアとそのジレンマに身悶えすること必至。

クレバーかつ冷静な佇まいでもって、失点が低いうちに降りることも当然必要ながら、その押し引きの判断は容易ではなく、このジレンマこそクニツィアそのもの。Positive-

誰もが引かずに怒涛のようにカードがプレイされ始めるともう止まれなくなるこの光景は本作あるあるかとw

静の“ゼロ”に対し、動の“インフェルノ”と捉えることも可能で、それはまたクニツィアのデザイナーとしての多芸ぶりをなにより物語っているなあと。



この日は他に“キャメル・アップ”などをプレイ。

また他の卓では“コルト・エクスプレス”や“ナッソーの海賊”など新旧多数のタイトルが立てられ盛り上がっていました。

参加していただいた皆さんには謝意を。また今年も月1ペースでこのオープンゲーム会を開催していきたいものです。ではまた何卒。

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