2013/08/28

UDA土曜ゲーム会('13/08/17)

毎月恒例、土曜日に開催している自宅ゲームスペース“UDA”でのゲーム会でのセッションメモです。

ウヴェ・ローゼンベルクの90年代のカードゲーム、“クランカー”から開始。

シンプルとは言い難い、やや複雑な構成のセットコレクション。

自分の場に同種のカードが4枚スタックされた時点で強制的に換金化されるのですが、場に出ているカードの種類が少ないほど高く売却(換金)できるというのが大きな特徴のひとつで、当然ながらひとつの種類に絞った収集を行いたいところですが、まずそう簡単にはいきません。

他人とのカードのやり取りには同じ作者の有名タイトルを想起させるところがあり、どうしても比較してしまいたくなるのですが、さっぱりとした後腐れのない分、個人的な好みではこちらの方が上。(まあ僕は“ボーナンザ”の良き理解者とは言い難いところがあるのですがw)

ただ全プレイヤーのコレクションに注意を払ったプレイが必要なので把握すべき情報量は少ないとは言えず、カードゲームの割には方針が立てにくい面もあり、この部分は気になるプレイヤーも少なくないかもしれませんね。

やや古いゲームながら、作りはしっかりしているので、今プレイしてもがっかりさせられることはないでしょう。一度プレイしてみる価値はあると思います。

アラン・R・ムーンの古いゲーム、“サンタフェ”。

手番でのアクションは都市カードのプレイや鉄道の敷設などなどの三択で、いわゆる勝利点と持ち金が一元化されていることもあって基本的にはシンプルな構造の鉄道ゲーム。

セッション開始前には二倍効果のカードの効果が強すぎるのではないかと、各プレイヤーから声が上がりましたが、実際には貴重な限られた手番の中でのアクションということもあり、この点ではバランスはとれていた印象。

接続された会社の種類数がその都市の価値となるなど、後続のムーンの作品ならではの面白さのエッセンスがすでにこの作品でもちらほらと散見されるのが興味深かったです。

さすがに古臭さはあり、今ならより洗練された鉄道ゲームの数々が手軽にプレイできる環境にあるので、プレミア価格のついた本作にあえて手を出すのは一部の好事家に限られるかもしれませんが、ユニオン・パシフィックやチケット・トゥ・ライドなどこの後ムーンが発表することになる綺羅星のような名作群に魅了されたのであれば、その始祖を辿る意味で、本作をプレイする価値、意義もあるかと思いました。

トリックテイクの御三家のひとり(と勝手に呼んでいるw)、ギュンター・ブルクハルトの“ピサ”。

ディールのあとで、参加プレイヤー全員の投票により、切り札や強さ、ミゼールか否かを決定。その後マストフォローのシンプルなトリックテイクを10トリックプレイするのが1ラウンドの流れ。

上手く言えませんが、相反する要素が同時にそのラウンド限りのルールで決定されるようで、ままならなさを否が応にもプレイヤーに強要されるような感触から、各プレイヤーが悩ましさに悶絶させられる、そこがブルクハルトのデザインの上手さかも。

変則的といえばたしかに直球勝負のトリックテイクではないのでそう言えますが、実際のプレイ感は良質でシンプル、スタンダードとも言えるもので、風化に耐えうるしっかりとした骨格をもった完成度の高いトリックテイクというのが個人的な印象。

ちょっと一回だけでのプレイでは見えない部分も少なくなく、これはもっとプレイを重ねてみたいところ。ルール決定での駆け引き等々を含め、マネジメントの力がもっと勝敗に影響してくるようであれば、評価はさらに上方修正するでしょうね。

エリック・ソロモンというデザイナーによる“カサブランカ”。

スタート地点(アジト)からエージェントを動かしていき、スーツケースとともにアジトに持ち帰ることができた時、そのエージェントに最も投資していたプレイヤーが勝利します。

いわゆる“自分のコマ”に該当するものがなく、投資というメカニクスもあって株式ゲームに近いプレイ感。

各プレイヤーがいかにエージェントを動かすか、そこから推理をはたらかせていく心理戦がメインで、またそこが本作の最大の醍醐味でしょう。

古いゲームですがオリジナリティの高さから僕は新鮮な気持ちで本作をプレイできました。好き嫌いは分かれそうですが、こういうのもまたボードゲームの醍醐味のひとつであって、何度もリメイクされているのも納得できる元々のタイトルの完成度の高さを窺い知ることもできるかと。

クラマー&ウルリッヒによる“ホットドッグ”。

ホットドッグとドル(任意)とテーブルの3種類のカードをセットでプレイし、自分のホットドッグを売りぬいていくことを目指します。

各テーブルには売却できるホットドッグの上限があり、バッティングした結果このキャパシティを超えてしまうとひとつも売れないというのが肝要。

状況を鑑みて、他者の動向を読み切り、自分だけが美味しい思いのできる最善の一手は何か、について考えるシンプルな心理戦が非常に面白い。

“貨モッツァ”なども本作の影響を受けているのは顕著ですが、オリジナルをデザインしたクラマーとウルリッヒのアイデアはたいへん素晴らしいかと。

古いゲームですが今後も長くプレイしていく価値のあるスタンダードな一作ではないでしょうか。

“フラワーパワー”という一種の変形双六。

まず最初に自分の順位を予想。その後手番では任意のプレイヤーをひとり選び、お互いがプレイしたカードの組み合わせで双方のコマが進んでいきます。いずれかのプレイヤーがゴールした時点で順位が決定し、自分の予想が当たっていれば道中で入手した花カードを得点化できます。

実にシンプルな完全情報ゲームで、まあそれほどの深みはありませんが、ライトにゲームを楽しみたい向きには悪くないという印象。

ちょっとままならなさが強く、マネジメントの妙味は希薄なので、ゲーマーがガチでセッションに臨むには不向き、女性や子供も楽しめる完全情報という立ち位置で、それはそれで希少価値もあるように思います。

ぼくはフリークですが、このメカニクスの新鮮さ、独創性からセッションは十分楽しめました。

ディルク・ヘンが自身の個人ブランド、dbシュピーレから発表していた“カラット”。

ヘンがクィーンから意欲的に作品を発表する前の、自己資本のみでの作品だったせいか、コンポーネントはチープながら、システムのアイデアは完成されており、またガチガチのアブストラクトに近いプレイ感覚など、いろんな意味で良い方向での溜息が出るタイトル。

たった一手のみでのダイレクトなマジョリティチェックがプレイヤーにのしかかる重圧もあって、先述もしましたが、手番ではうんうん唸ること必至の“唸りゲー”。

こういう悩ましさから逃げたいプレイヤーも少なくはないと思いますし、それもまた正しいと思いますが、システムの完成度に魅了されるようなプレイヤーであれば手番での思考に没頭してしまうかと。

カラフルなタイルが敷き詰められていく光景から特にゲーム終了後の盤面の美しさも美点。

のちに“庭師の技”としてヘン自身がクィーンからリメイクを発表しているようです。わたしは持ってなかったのですが本作のプレイを機に俄然欲しくなってしまいました。

ラインハルト・シュタウペ作“カムバック”。

シュタウペによる非常にシンプルな競り&セットコレクション。

1から7までの4色のカードがあり、1には3つ、2には2つ、その他全てには1つの星マークがあります。ゲーム終了時には4色それぞれについて数字の合計×星の数が得点となります。

山札のトップのカードが順次公開され、それを競るわけですが、パスするかあるいは最低でもそのカードの数字以上でオーバービッドしなければならない、というのが本作のミソ。

4人でプレイするときれいに4色それぞれにいわゆる住み分けができてしまい、あとは誰がお仕事(他プレイヤーの集めているカードに入札)するか、という構図で、これは4人というプレイ人数にもよるものでしょうが、基本となるシステムのシンプルさにも起因しているかもしれません。次回のプレイがあるなら3人か5人で臨んでみたいところです。

日本語版にて復刻なったアレックス・ランドルフ“チャオチャオ”。

手番には1~4と×が2つの六面体ダイスを振り自分だけが結果を確認。この時出た目を正直に申告してもいいですし、うそをついても構いません。申告した目の数だけ自分のコマを進めます。×だった時は必ずうそをつく必要があります。この申告について他プレイヤーはブラフかどうか手番プレイヤーに真偽の程をめぐって挑戦することができます。

今回初プレイだったこともあり、なるほどこういうゲームでしたか、と感心。

こういうブラフゲームは正直ノットフォーミーなんですが、コンパクトにしっかりとまとまった完成度の高さで、なるほど名作とされているのにも納得。

オープンゲーム会などでの需要は高そうなのでそういった機会に是非持ち込んでみようと思います。

ブルクハルトとW・レーマンによる共作、“ポテトマン”。発売されたばかりの新作。

フォローしてはならない、つまり誰もプレイしていないスートのみプレイできるトリックテイクで、出せるカードがなければ手札を公開してラウンド終了となります。

実にシンプルで明快なルールに、4つそれぞれのスートで数字の構成にちょっとした違いがあったり、いつもは弱いポテトマンのカードがポテトキラーと登場を同じくした時には最強になるなど、ちょっとしたアクセントが注入されており、シンプルながらも考えどころの用意されている小気味よい佳作という印象。

各ソートごとに用意されている得点カードが尽きると高額な5点均一の得点カードが登場し、この取り合いがまた熱く、リプレイアビリティのある新作カードゲームの登場でしょうか。

まだ時間があるということでオマケで延長戦に突入。シド・サクソンによる“フォーカス”。これにて〆。

基本は2人用のアブストラクトを4人で。

スタックを移動させて他プレイヤーのコマをつぶしていく生き残りゲーム。

まあこれもシンプルなルールで純粋な思考戦の楽しめる良質なタイトルだとは思うのですが、古いゲームにありがちな収束性の悪さも手伝って、結局は時間切れ、協議終了となりました。



ここで時間(すでに午後11時半!)となり、この日のUDAゲーム会も終了。毎度足を運んでくださる参加者の皆様には謝意を。また一緒にテーブルゲームを楽しみましょう。

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