2013/10/24

UDA土曜ゲーム会('13/10/13)

10月のUDA卓上ゲーム研究会にてプレイしたゲームの感想、雑感など。

今回は半ば試験的に各タイトルにPositiveまたはNegativeの評価を付加してみました。

3人で“俗語論”から開始。がっつりインスト込みで3時間半強。

中世イタリアを舞台にしたアクションポイント制のゲーマーズ向け立身出世ゲーム。

作者はマリオ・パピーニで“シエナ”や“封土”の人。“シエナ”も職業が変遷していくメカニクスをもっていましたが本作も商人から始まり、托鉢修道士、枢機卿と職業を変更することが可能です。もっとも勝利のためにそれが本当に必要かどうか、その判断はプレイヤーに委ねられるのですが。

運要素低めのかっちりとしたゲーマーズゲームで、これはファットというより複雑というか、絡まりあった各種要素の糸を解きほぐすのが難解で、ゲームとしては面白いのですが、まあここまでを求める向きも限られるのでは?という感じ。翻ってそれが本作の普及のバリアともなっているのかな、と。

シンプルに知識を増やしていって、直接的に勝利点となる写本の収集に励むというのも悪い手ではないと思われるので、あまりにもああだこうだと考えすぎるのが嫌いな人はそれも手ですしそのようにシンプルにプレイする余裕も含まれているのかな、とも解釈できます。

アートワークを含めたコンポーネント全体のクオリティは実に上質で素晴らしく、現代のボードゲームが大人のホビーとして立派に成立しうることを証明しています。

ですが、まあここまではいいかな、と評価はNegative。ただリプレイはありうると思えたので今回の結論としてはNegative+としておきます。

ドイツ、ミュックシュピーレからの“ナミビア”。

中央アフリカの小国ナミビアにてダイアモンドや金、銀、銅などの鉱物資源を採掘し、それを海外に出荷することで資本の獲得を目指します。

所有権がフリーな公共交通機関としての鉄道や各鉱物の相場変動のメカニクスはよくできており、一プレイヤーとして純粋に挑戦欲求を刺激されるしっかりとした完成度のものでした。

ただメインボードが小さすぎるという根本的な欠点がどうにもプレイアビリティの低下をもたらしており、そこがなんとも残念。セッション中に狭いマップに辟易するという感覚を実に久しぶりに味わいました。あと最低でも20パーセントは大きくしなければ同様の不満を抱くプレイヤーも少なくないのでは?

もしリプレイがあるのなら拡大コピーでもってボードを自作したうえで臨みたいものです。

コンポーネント面でのマイナスもあり評価はNegative。全体的にメカニクスは良くできているだけに残念。ただちょっと冗長でもあるかな。

ティルシットからのピュアユーロ、“ヒマラヤ”。

作者は近作“十二季節の魔法使い”などのレジス・ボネセ。

おそらく雪深い中央アジアの辺境を舞台にした、アクションプロットとその結果としてのエリアマジョリティ等々で覇を競います。

衝立を使用して移動やパスなど6つのアクションをプロットし、実行フェイズで順番に実行していきます。

ユーロらしい歯切れの良さで、言い訳のないすっきりとしたシステムがまずは好印象。盤面の情報も絡み、良質なジレンマがもたらす快楽が味わえる90分。

ラウンド開始時にこれから向こう6手先のアクションまで決定してしまうこのプロットのルールは失敗やケアレスミスが許されず、ピンと張りつめたロープを渡っていくかのような緊張感をプレイヤーに強いるもので、時間が経つのも忘れてセッションに没頭。

脱落式の三段階の最終決算がもたらすプレッシャーも相当。

プロットその他のメカニクスの妙味がたっぷりと味わえる良作で評価はPositive+

米国グリフォンゲームズからの新作“枯山水”。

中央のボードから競りで入手した石を各自の庭園に配置していき、ペナルティカードに指示されている配列となれば減点を得て、石を清算し、サプライに返納します。
つまりなるべく石は取らないようにプレイするゲームで、競りの原資も自分の庭園に配置済みの石から任意に使用していきますので、最初のビッドには多めの石が競り値として付けられ、それからどんどん少なくなるように競り値が更新されていきます。

どこまで我慢できるか、じりじりとした攻防が楽しめる洗面器ゲーム。

他者の庭園の石配置の状況、そしてペナルティとなるカード(これが三種類の山札となっており、最初は各マイナス1点ですが誰かが引き取る度に-2、-3、…と増加していきます)の情報なども鑑みてプレイヤーは最善手と思われる一手を打っていきます。

60分サイズの良質なユーロで評価はPositive。ワンプレイの価値はあるかと。

シュミットから90年代に発表されていたクラマー&キースリングによるトリックテイク、“ペッパー”。

シンプルなマストフォローのトリックテイクで、ラウンド終了時に獲得していたペッパーカードおよびそれと同色のカードがマイナス点となります。

全てのカードがディールされるわけではないのでカウンティングの限界は最初から設けられていますが、それでもカウンティングは重要となってくる、実にジリジリとした駆引きの楽しめる、巨匠作のカードゲーム。

どこで勝負をかけるか、いかに目の前のペッパーカードを押し付けるか、そして逃げ切るか。

傑作とまではいいませんが、しっかりとした完成度をもつ一個のゲームで、評価はPositive

ライナー・クニツィアの“ゼロ”を現在流通しているアシンクロン版で。

手番では①パスか②場札と手札の交換の二択。

決算時、同じ数字のカードは1枚としてカウント、また5枚以上あれば0点。また同じ色のカードが5枚あればこれも0点として計上し、点数の低い人がゲームに勝ちます。

いかにもクニツィアらしいシンプルでさっぱりとしたメカニクスにまずは好印象。ルールを聞いただけで評価したくなるような潔さ。

非常に美しいゲームでワンプレイの価値は間違いなくありますが、運要素強め、手なりで判断を下さざるを得ず、駆引きを十分に楽しむまでにはギリギリ至らないというやや厳しい視点も自分の中にあって、今回はPositive-と評価します。


以上この日は6タイトルを消化しました。

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