プレイした感想、雑感などをこちらにて報告しておきます。
この日は当ブログでも開封記事を掲載した巨大ボックス入りのステファン・フェルト、キックスターター発の新作“アメリゴ”から。
大航海時代を背景に、大小入り乱れる諸島群からなる海域へと乗り込み、新天地を開拓していく正統派ユーロ。
ディルク・ヘンの“ヴァレンシュタイン”や“将軍”でお馴染みの巨大なキューブタワーがフェルトにより再登場となりました。
各ラウンドのフェイズ毎にこの巨大なタワーにキューブを放り込み、その結果でアクションポイントと選択できるアクションの二つが決定されるメカニクスで、なるほどこれは上手いアイデアだな、と。
アクションは計7つで、こちらも航海や建設、手番順への作用などシンプルにして十分なものが用意されており、分かりやすく、プレイアビリティは良好。
島の開拓をめぐる陣取り争いやリソース収集におけるセットコレクション、毎ラウンドの海賊の襲撃への備え(フェルトらしいマゾヒスティック要素)、完全アイコン表記非テキスト依存の特殊タイル、手番順決定に対するプレイヤーの意志介入などドイツゲームならではの快楽とフェルトらしいデザインの妙がトゥーマッチにならず、適度なボリュームで見事に融合しており、運要素やインタラクションなどいろんな意味でバランスが絶妙な優秀作で好感が持てました。
今年発表されたフェルトの4タイトル(ボラボラ、リアルト、ブルッヘ、アメリゴ)はこれですべてプレイしたことになりますが、一長一短のあった先の3作に比べ、特に不満点の見当たらない本作は(僕にとって)やや評価を落とす傾向にあったフェルトの見事な失地回復ともいえるもので、評価は間違いなくPositive。
箱が大きすぎることからゲーム会への持ち込みにおける負担が懸念されますが、自分にしては珍しく、早くも拡張(現在3種発表されている模様)への期待さえ芽生えているという有様です。
じつはあまり期待していなかっただけにこれは思わぬ拾い物でした。(こんな事ならバックしておけばよかった…w)
つづいてクワインド・ゲームズからの“アメリカン・レイルズ”。
鉄道に株式要素付与というシステムの割には比較的シンプルで収束性も高い鉄道ゲーム。
アクション選択のメカニクスが、手番順の選択も兼ねており、またアイコンで見た目も分かりやすく、アクション自体も簡潔なものであるためプレイアビリティは実に良好。
各都市に設けられた独占時収益と共有時収益というアイデアが秀逸で、株価の変動への操作介入もシンプルに用意されており、株式経済ゲームならではのプレイ感も味わえます。
ただ思うに本作の肝は株券の入札における競りであり、ここでの成功の可否がゲーム終了時の各プレイヤーの現金資産にダイレクトに影響してくるわけで、勝敗のカギがここであることを考えると、メインのメカニクスからいえば本作は競りゲームなのではないかという印象がこの時のセッションでは強く感じられました。
地味渋ないぶし銀、50を超えた老練な職人のような佇まいという印象の本作で、もちろん悪くはないのですが、もう少し株式操作や会社運営への操作介入の要素が強いとさらに良かったか(まあでもそれは贅沢な気もしますが)。で評価はPositive-。
しかしくどいようですがこの収束性とプレイアビリティの高さは貴重。シカゴエクスプレスやサマルカンドをより硬派よりに再調整したともとれるかも。
ベルギーの孤高のゲームメーカー、パールゲームズからのエッセン最新作“ブリュッセル1893”。
アールヌーボーというボードゲームには珍しいテーマを大胆に取り込んだ、ゲーマー向けのワーカー配置がメインメカニクス。
特徴的なのはマジョリティや競り、リソースマネジメント、果ては“ケイラス”のような副次効果などなど豊富な要素の数々が、プレイヤーのワンアクションによって決定される点で、プレイヤーは限定された選択肢の中で、あれやこれやといった多方面への影響を念頭においた一手を打つことを強いられます。
これだけの要素をひとつのアクションに集約させるこのデザインには“変態的WP”という言葉さえセッション中には想起しましたが、全く破綻のない高い完成度は精工につくられた正確に時を刻む高級時計をも思わせるものがあり、これこそが時代の最先端を走る最新型のボードゲームなのかもしれません。
勝敗について細かい計算をなしえるのはエキスパートにのみ許された領域で(それに各人各様の意志決定および判断が少なくないインタラクションの本作で作用しないはずもありませんしね。言い換えればすべてのプレイヤーの手の打ち方など予想できようはずもなく、論理的に将来を見通すのはまず不可能です)、そういう意味での見通しの悪さ、ハードルの高さは否めませんが、豊富に用意されている勝利への道程のなかで、己の感覚のみを信じて最善と思える決断を下し続けるのは間違いなくテーブルゲームの最大の醍醐味。
間口の狭さは否めませんが、よくぞここまで纏め上げたものですね、パールゲームズは。ということで評価はPositive。やっぱりパールゲームズとは相性がいいw
インスト時、各プレイヤーからは溜め息やら感嘆やら形容しようのない声が少なくなかったのですが、意外にストレスなくプレイできてしまう不思議さは一体なんなのかと。
流石はパールゲームズと思わせる美しいコンポーネントにも注目。
ジェフ・アラーズのエッセン新作“シトラス”フロムdlpゲームズ。
名作“アクワイア”を思わせるタイル配置がメインの王道的ピュアユーロ。
シンプルでのんびりとした雰囲気から牧歌的なユーロかと思いましたが、実際にはあらゆる手段を講じて生き延びるジリジリピリピリの陣取りで、特殊タイルの取り合いも熱い仁義なき戦いに終始する始末。いやいいですねえw
見通しの良さ、シンプルで分かりやすいメカニクスとアクション、適度なランダム要素とインタラクション、そして高い収束性。こんないいゲームが作れるのか(失敬w)ということでアラーズを見直しました。
タイルの購入における面白いメカニクスやフィンカから4方向に伸びていく4色のタイルといったアイデアは高く評価されてもいいかなと。
ということで評価はPositive。まずシステムありきのシンプルなピュアユーロならではの風化に耐えうるリプレイバリュー面での強さにも十分期待できるか気がします。
以上エッセン新作4タイトル以外に、時間調整もかねてクニツィアの“綱渡り”(1ディールのみ)と“ドラダ”の2タイトルも立卓。旧作も楽しみました。
今年のエッセン新作も少しづつ消化できていますが、昨年に劣らず秀作が多い印象でなによりかと。
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