プレイできたタイトルについての雑感等をこちらにてアップしておきます。
“バコン”(アントワン・ボザ/アスモデ/2009年)
まずはボザの変形双六から。
六面体ダイス2つを振り、ひとつでタイルをひっくり返し、もうひとつでコマを進めるという分かりやすさ。で、止まったタイルの効果が適用されるという塩梅だ。
実はちょっとルールを間違えており、やたらと甘いバランスでのセッションとなってしまった(残念!)のだけれど、収束性の良さ、遺跡を進んでいく雰囲気等々軽いゲームながらしっかり完成しており流石はボザ。Neutral。
個人ボードでリュックサックのスロットをやりくりしつつ、ステータスを管理するマネジメント感覚はやっぱり面白い。
“DTC”(ライナー・クニツィア/フェルティ/2012年)
荒っぽいのを承知で言えばクニツィア版“ファブフィブ”で、手札によるマネジメント成分を加味した感じ。
両者を比較した時にどちらに軍配を上げるかはまあ個人の好みに委ねられるのだろうけれど、僕自身は束縛よりもマネジメントによるプレイングの自由度がアップしているこちらの方が好みかもしれない。(“ファブフィブ”に対して抱いていた漠然とした不満点が良い方向に改善されているような感覚。)
僕にとってかなり理想的なブラフゲームであるフリーゼの“スプリングフィーバー”には一歩及ばないものの、完成度は高く、不思議な妙味も味わえる本作はワンプレイの価値あり。Positive-。
同氏の“詐欺師”よりいいんじゃないかと思うんだけど国内流通はないまま終わるのかな。(パブリッシャー的に流通に乗りにくい?)
“ウィザード”(ケン・フィッシャー/アミーゴ/1986年)
トリックテイクの古典をこの日初プレイ。
ビッドしたトリック数を目指すオーヘル系。
ラウンド数=トリック数というのが特徴で、ラウンドが進むにつれ徐々にプレイされる総トリック数が増えていく。
トリックテイク自体はシンプルな切り札ありのマストフォローに少々の特殊カードという構成で、システム自体はシンプルなんだけど、まあ予想の的中は当然簡単にはいかず悶絶のセッションというある種お決まりの光景が広がるのは本作が良く出来ている証左でしょうね。
トリックテイクのクラシックとして今後も末永く其処此処の卓上に登る資格アリと見た。Positive-。
“マハラジャ”(クラマー&キースリング/ファランクス/2004年)
クラマー&キースリングとファランクスという珍しいタッグ。もう何年振り?という感じの2度目のプレイ。
ネットワーク構築とエリアマジョリティ的陣取りの正統派ユーロだが運要素はゼロで、プレイヤーに求められる思考的難易度はけして低くはなく、不確かな未来を決定していくのはプレイヤー間のインタラクションのみ。
まあじりじりとした攻防の120分で(僕のファランクスのイメージに近い!)、硬派な男子ゲーマー御用達であることは確かか。クラキーはこんなにもがっちりとした競技性の高いゲームを10年も前に作っていたわけですね。Positive-。
夜半にゲーマー同士が熱い盤上での頭脳戦を繰り広げるのに最適な一作。熱いぜ。
“フリンケピンケ”(ライナー・クニツィア/アミーゴ/1994年)
何度もリメイクされている御大の名作のひとつをオリジナルアミーゴ版で。
シンプルにして十分なジレンマが味わえる、個人的にはユーロの代表作的位置付けの一作。
どこで終止符を打つのか、じりじりとした終了のタイミングをめぐる駆引きには手札を持つ手も汗ばむほど。Positive。
成長曲線というのか、ゲームの盛り上がりを折れ線グラフにした時にずっと右肩上がりのまま上昇していって最大値のまま終了の時を迎えるというイメージ。こういうのって珍しいという気もするのだけれど、そこが素晴らしいな、と。
あと可愛い動物コマがふんだんに用意されている“ボツワナ”も勿論悪くはないけれど、このオリジナルの唯一無二感は何物にも代えがたく、未所有者には羨望の眼差し。テーマなんかは全く無視されてますがw
“ティンダハン”(ペール・シルベスター/ニュー・ゲームズ・オーダー/2013年)
ママダユースケ氏の素晴らしいアートワークとともに日本語版化されたトリックテイクの隠れた名作“フィリピーノ・フルーツ・マーケット”。
最低4人は欲しいやや変わったシステムで、フルーツの“屋台”をめぐる一種のエリアマジョリティがトリックテイクと同時平行的に進行するのが特徴的。
オリジナルの高い完成度のシステム、ルールそのままに、脇を固めるのは美しいイラストが載るエンボス加工されたカードや各色の木製コマなどのコンポーネントで、全く死角のないプロダクトだなあ、と。
ニュー・ゲームズ・オーダーさんも渋い所に目を付けますね。Positive-。オススメ!
“エイジ・オブ・クラフト”(北条投了/芸無工房/2013年)
ダイス目セットコレクションに拡大再生産の要素を盛り込んだ国内同人の近作。
一度プレイしただけでは見えてない部分も多いに違いないけれど、デベロップに労力が割かれたことが忍ばれる各種バランスの良さは気持ちいいくらい。
やはりレーマンの名作“王への請願”が頭をよぎるけれど、あちらより腰を据えてしっかり地歩を固め一歩一歩進めていくマネジメントの妙味はゲーマーにはウケるだろうなあ。
角丸加工されていないカードなどコンポーネントの安っぽさは否定できないけれど、“寒村”のブースト的アイデア等々印象的な仕掛けも少なくなく、システム本体がこれだけの完成度であれば今後発表されていくことが予想される各種拡張も追いかけていきたいと思わせる。Positive-。
交渉が収束にブレーキをかけそうな気がしたので、今回は自分提案のハウスルールを採用させていただきました。(まあでも最初から交渉まではあまり思考が回りませんでしたねw)
“グレイハウンズ”(ベルント・ブルンホファー/ハンス・イム・グリュック/1985年)
この日のレガシー枠、というわけでもないのですが(笑)80年代半ばのハンス社長の一作。
ドッグレースにビッドして所持金の多さを競うもの。
流石に古臭さは否めませんが、どの犬(当然自分以外のプレイヤーの犬にも賭けれる)にビッドするのか、そして手札のプレイが順番になっていることから他プレイヤーの動向を確認してから意志を決定できることからマネジメントの妙味が生まれており、びっくりするくらい今のユーロと線が結べることに驚かされるなど。流石はハンス社を起ち上げられた方だけのことはあるなあ、と思えたのは大きな収穫。
存在感充分の木製の犬コマも素晴らしく、流石はドイツと思わせる。
単純にレースにビッドする面白さだけでも十分確立されており評価はPositive-か。
しかしこんなハンスのロゴを目にしたのは初めてだったので思わずパチリ。本パブリッシャー最初期のものでしょうか。ハンスのロゴも様々な変遷を辿っているようで、このあたりも非常に興味のあるところ。
“すき間にいれて”(シュテファン・ベンドルフ/NSV/2013年)
なんてことはないシンプルそのもののメカニクスなんだけど、それゆえ飽きずに何度もプレイしたくなるような、ちょっと文学でいうところの90年代米国ミニマリズムにも通じるような、そんな感覚もある爽やかでさっぱりとした一陣の涼風的カードゲーム。Positive-。
作者のベンドルフはあの“クウィックス”のデザイナーで、こういう作風を確立しつつあるのは今後の彼の武器となり得るのではないか。
NSVはテン年代のベルリナーというのが自分の持論(異論は認めますw)。
“カツカレー喰ってる場合か!?”(北条投了/芸無工房/2013年)
さっぱりとしたアートワークも印象的な国産同人の近作。タイトルからも分かる通り時事ネタで作者は北条投了氏。とはいえ単なる時事ネタゲーには終わっていない、光るアイデアが印象に残ったタイトルでした。
最高値でなければならない、しかし高すぎてもならないという特徴的な本作特有のメカニクスは、シンプルにして良いジレンマを生み出していて、例えばクニツィアなんかがこんな感じのシステムを載せた新作をある日突然発表したとしても違和感はないだろうな、と。
もう少し肉付けしてボリュームがあれば更に良かったかなー、とも思う反面単なる蛇足にもなりそうで、この辺判断が難しい。Neutral。
“スカルキング”(ブレント・ベック/シュミット/2013年)
話題のトリックテイク新作で、まあ本作を立卓したいがために“ウィザード”もプレイしておこうというのがこの日の主旨のひとつで。
ビッド系。4スートのマストフォロー、切り札はスートのひとつ黒で固定という基本はシンプルなもの。
切り札よりも強いいわゆるスーパートランプがいくつかあって、それらが三すくみになっているというのが大きな特徴のひとつ。“ウィザード”にくらべると基本4スートのカードに比して特殊カードの割合が多く、トリックの展開が読みにくいというか波乱万丈性とでも呼べそうな、成り行きのいい意味での出鱈目さが、カラフルなアートワークやにぎやかなテーマとのマッチングもよく、バラエティ豊かなトリックテイクとして成功しているという印象。Positive-。
いやはや楽しめました。ミゼール予想ラウンドは否が応でも盛り上がりますねw
プレイしたゲームは以上です。ではまた来月!
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