まずはこのタイトルから。“トゥルネー”の上級ルールを初プレイ。
名作“トロワ”のデザイナー陣による、アートワークも素晴らしい、上質な戦略的カードゲーム。
上級ルールでは一部のカードの差し替え、そして第6のアクションとして、ドゥニエの支払いによるワーカーのリクルートが任意に行えるようになります。
序盤で黄色カードによる資金源を確保、白カードとの連携でゲームメイク、マネジメントが上手くいき勝利。イベントからのドゥニエの供給もあって、一ゲームを通して資金が比較的潤沢だったのも勝因だったかもしれません。
3人でのプレイもよかったのでしょうが、3×3という限られた空間でいかにマネジメントしていくかという妙味、またパールゲームズならでは(と僕には思われる)のクレバーで洗練されたシステム設計の持つ魅力に僕は魅了されているようで、今更ながらやりこんでみたいほどです。
一部のカードには使いづらいと思われるものもありますが、習熟することで、この辺りを上手く使いこなしていけるようになるのかもしれませんね。
縛りのある基本ルールも悪くないですが、本作の醍醐味は上級ルールにあるような気がします。
アンドレアス・シュテディンクによるネットワークビルドの秀作、“ハンザ・テウトニカ”。
定期的にプレイしているフェイバリットタイトルですが、久しぶりの立卓でまずはルールをおさらい。
アクション数、色、移動などの各種能力をコツコツと上げていくのはいつもの序盤の展開ですが、プレイヤーの思惑次第で細かい手の打ち方に違いがあるのも面白いのが本作の魅力か。
ボーナスタイルの引き程度にしか不確定要素がないということでいえばアブストラクト寄りで、また実に競技性の高い、プレイヤーのスキルが勝敗に直結する言い訳のきかないハードなタイトルで、ただそれにも関わらず、見通しの良さ、一種の風通しの良さから潔さのような感覚さえ感じることがあります。逆に淡泊で無味乾燥、フレーバーへの配慮の希薄さから魅力を感じられないプレイヤーもいるかもしれませんが。
ネットワーク構築の失敗など反省点の多いセッションでしたが、能力アップに見切りをつけるのが遅れ、当初より狙っていたケルンボーナスに後塵を拝したのが最大の敗着か。ゲーム終了に向けての収束の速さ、タイミングの見極めはやはり本作の肝のひとつですね、慣れたプレイヤーには言わずもがなの基本事項ですが。また移動の能力アップによる丸コマの獲得なども要注目なのかな、とか。
このゲームの特性を理解した3人での足の引っ張り合い、バランスを意識したセッションは緊張感があり、引き締まりました。今回も濃密なセッションが楽しめましたと思います。
多彩な戦略の考えられる、懐の深さがまた魅力的。
昨年発表されたワレスの新作、“エアロプレーンズ”を4人で。初日はこれにて〆ました。
メカニクスでいえばエリアインフルエンス、ネットワークビルド、ピックアンドデリバー、そしてダイスロールといった要素からなる、20世紀初頭を舞台にした航空機産業のゲーム。
ワレスというとそのカラーの強さからか、どうしても先入観というか偏見を持ちがちで、セッションに臨むほうも身構えてしまいがちですが、本作は随所でダイスロールが取り入れられていることもあり、ガチガチのプレッシャーをユーザーに与えるようなものではなく、比較的分かりやすいルール、明るいアートワークもあって、プレイアビリティにも配慮のされたものでした。
ただ逆に言うと一手一手の痺れるようなシビアな重みのようなワレス独特の味は希薄で、この辺りでプレイヤーにより評価や作品の印象は分かれるかも。
得点源となるのは①欧州、アフリカ、アジアでのエリアマジョリティと②効率的な航空機の運用への評価の二点で、特に①をめぐる陣取り争い的なプレイヤー間のインタラクションは緊張感もあり、僕自身は十分本作を楽しめました。また②についても客の奪い合いは盤上のネットワークとの兼ね合いもあり、プレイヤー間の思惑の絡み合いは濃厚で、この辺りにはワレスらしさもあるかな、と。
往年のワレスファンからは好評をもって迎えられているとは言い難いようで、それもよく分かりますし、僕自身がワレスに求めているものとはやや異なるような気もしますが、これはこれで十分面白いマネジメントゲームだと思いました。
余談ですが、この日のセッションで緑色のプレイヤーマーカー一式がどうも欠品であることが判明(ショック大!)。
あけて二日目は本作、“ブルッヘ”から開始。4人。
国内流通も始まったシュテファン・フェルトの新作ですが、僕自身はこれで4回目のプレイになります。
ハンドマネジメントをメインにダイスロールで揺らぎをもたらしている、というのがざっくりとした全体のイメージ。
ここからは僕自身のイメージとしての話。
本作に限らず一般論としての話ですが、セッションに参加するすべてのプレイヤーはゲームに勝利すべくゲーム全体を支配あるいはマネジメントすることを目指します。当初より自分の目論みのとおりマネジメントが進めばプレイヤーはゲームに勝利できますが、この時障壁となってプレイヤーの支配を阻害する要素があり、ここではとりあえずそれを“ままならなさ”と総称します。
“ままならなさ”はプレイヤーの勝利を阻もうとする、プレイヤーにとっては“招かれざる客”ですが、この“ままならなさ”がなければゲームは単純な“作業”へと還元され、エンタテイメントとしての資格を失うわけで、ゲームにおいては必要不可欠な非常に重要な要素です。
この“ままならなさ”は①他プレイヤーによる意思決定からの遡及、②ダイスロールや山札からのドローなどの結果からの遡及、のふたつがメインとなっていると考えています。そして面白いゲームの多くがこの①②の導入に上手く成功しているという印象があります。
話を本作“ブルッヘ”に戻すと、本作においてもこの①②両方の“ままならなさ”の設計がフェルトによって実に上手くなされているというのが僕の印象。
ただ①による他プレイヤーからの干渉がドイツゲームにしては強めで、プレイヤーによっては自身の方針を大きく狂わされる可能性も孕んでおり、その都度最善手を一から考え直す必要も少なくなく、そういう意味で本作は随所で短期的な戦略を楽しむゲームであり、そこから逆に重すぎない戦略ゲームとして独特な妙味をもたらしているというのが僕なりの理解。
災害や他プレイヤーからのプレッシャーに耐え抜き、運河メインの方針がドローしたカードとの相性もよく勝利。
コンポーネントの素晴らしさ、カードの強さなど諸々の面でのバランスも良い良作。
“惨劇RoopeR”にて颯爽とデビューしたBakaFire氏の第二作、昨年のゲームマーケット秋にて発表された“OWACON”。(ちなみにタイトルは日本語だと“終わった世界と紺碧の記憶”、英語だと“Old World And Code Of Nines”で略すとどちらでも“OWACON”あるいは“オワコン”となります。)
ゲーム終了時の決算方法等々が決定される18枚のカードの中から各プレイヤーに2枚づつが配られてスタート。各ラウンドにおいて各自3つのワーカーを配置していき、5ラウンドでゲーム終了。つまり都合15アクション行い、その結果で勝利点が算出されるという仕組み。
アートワークがごちゃごちゃしているせいか、もっとクセのある、参入しにくいゲームを想像していたのですが、システムは意外にも王道的なワーカー配置で、ルールの理解にはそれほどの労力を要しないはず。
ただ重要な決算の方法が、基本的に隠蔽されており、そのカードをめぐる類推や駆引きによって本作ならではの濃密なインタラクションが発生するのが本作の最大の醍醐味。
盤面がフレーバー重視に振れたアートワークのデザインで、視認性は悪いのですが、テイストを楽しむのが本作の狙いでもあり、これはむしろ正解かと。
初めてのプレイでは見えない部分も多く、どのようなメモリーがあるのか、また様々なアクションについても習熟してくるとこの世界ならではの魅力も見えてくるような気がしました。
同卓の面々にも好評だったので、同好の士が集まる機会があれば今後も立卓し、本作の真価により近づきたいところです。
ファランクスから出版されていた2007年のカードゲーム、“順風満帆(ビフォー・ザ・ウィンド)”。僕は発売直後にプレイして以来だったので6年ぶり、実に久しぶりのプレイです。
商品を仕入れ、商店に保管し、船に出荷するとういう三段階のアクションを経て勝利点を獲得していきます。
基本的には出荷する商品を集めるセットコレクションですが、アクションの選択において他プレイヤーからそのアクションを任意の金額で買収するというメカニクスから実にシビアな値付けが要求される、一種の競りゲームともとれます。
美しく落ち着いたアートワークと作品背景から良質な大人向けカードゲームという印象。
いわゆるお仕事の問題に直面することが少なくないのはマイナス評価ですが、6種の特殊アクションを加味しても全体的にはシンプルなシステムで、思考を駆け引きに専念できる、よくできたゲーム。
カードゲームでもここまで戦略的なものができるという意味で、良いサンプルとも言えるかと。
勝利一歩手前までいきながら特殊アクション“確約”にてアクションを阻害され残念ながら敗北。勝利こそ叶いませんでしたが、引き締まった充実のセッションが楽しめました。
以上二日間にわたる平日ゲーム会で、参加者の希望により“ダンジョン・オブ・マンダム”もプレイしましたので7タイトルのゲーム(うち2タイトルが初プレイ)がプレイできました。
UDAでは今後も平日ゲーム会を考えております。皆様の参加をお待ちしております。
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